ビストルの正体見たり、枯れ尾花 #4
それから数日が過ぎた。
父が目を覚まし事情を尋ねると、物音を聞いて裏庭に出たところを三人組に襲われたと言う。
ひとりはナイフを頭に突きつけ、もうひとりは喉元を締め上げ、最後のひとりは顔に『ビストル』を突きつけてきたそうだ。『ビストル』とは最近発見された古代の武器で、掌サイズの『ワ•ゴム』という伸縮する細長い輪を用いる。
まず、利き手の人差し指の爪の間にその『ワ•ゴム』を引っ掛けっ、手の甲側から掌にグルリと一周させる。
このとき注意しなければならないのが、親指をピンと立てていないと『ワ•ゴム』がするりと抜け落ちてしまう。
さらに掌側にまわした『ワ•ゴム』の端を小指で抑えると、古代の武器『ビストル』の完成だ。
使い方はいたって簡単。小指から『ワ•ゴム』を離すだけ。
それにより元の形に戻ろうと弾性力を生み、人差し指から前方に発射されて相手にダメージを与えるという、とてつもなく恐ろしく、殺傷能力に長けた武器といえる。
だが、犯人はそんなものをどうやって手に入れたのか。相当な後ろ盾がなければ入手どころか、拝むことすら難しい。
クララはたまたま家にあった科学雑誌でその存在を知っていたが、普通の人にはとうてい縁のない代物だ。
三人は父を脅し、ガラス瓶の在処を聞き出すと、それを奪って逃走した。
幸いにも『ビストル』を使われることはなく、父はナイフで頭に軽傷を負い、喉元を締められて気を失った程度で済んだ。
ただ一つ気がかりなのは、犯人が「ガラス瓶を返せ」と言ったということ。
そもそも本来の持ち主はリジーである。彼女本人から譲り受けたものなのに「返せ」とは一体……。
色々とわかったことを含め、リジーにはしっかりと報告しなければならない。
それを聞いて、彼女が寂しそうな表情をするのが想像でき、クララは少し悲しくなった。




