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竹の中のうつくしき姫

あとがきに原文を書きます。

今では、もうむか~し昔の話。


 讃岐地方に竹細工を作って生活している竹取りのおじいさんとおばあさんが住んでいました。


 裏山に入って、竹を取り、竹を加工して笊や籠、つり竿などの竹細工を作って生活していました。おじいさんの名前は讃岐さぬきみやっこといいました。


 ある日、山奥の竹林に入って竹をとっていると、その竹の中に根元が光っている竹が一本あります。

 不可思議に思い、そろそろと近寄ってみると、竹筒の中がひと際輝いていました。


 「ひゃぁ! こりや魂消たわい」

 竹筒はなぜかすでに斜めに切られており、その中を見ると三寸(約9.1cm)ばかりのとてもかわいらしい女の赤ちゃんがいました。



 女の赤ちゃんは思いました。


『こんなところに飛ばされてしまったわ。なんで小さくなって竹の中に入ってないといけないのよ。しかも裸だし・・・ ゲ ・・・男の人に見つかってしまったわ』



 おじいさんは思いました。


『幸いにも私が毎日、朝と晩に見ている竹藪の中にいたので気が付くことができた。これは子のない自分たちへの授かりものであろう』


 おじいさんは都合のいいように解釈し、手の中に入れて家に持ち去ってしまいました。


 妻のおばあさんもたいそう喜んで大事に大事に育てることにしました。

 とても美しくかわいらしい赤子で、とっても小さかったので竹籠の中に入れて、とても大事に育てました。


 女の子は思いました。


『うわ~汚い家ね。 小さいからって竹かごに入れるとか・・・兎じゃないのよ』


 ピピピ…… 至急、金を送れ …… 女の子は巣魔法スマホを使って月の国にふみを送信しました。


巣魔法スマホ:月の国の魔法鳥の巣を集めて作った魔法道具。

  簡単な文を送れたり、「兎と亀の競争」などのお遊びができる。


 竹取りのおじいさんが、この子を見つけたすぐ後のことです。竹細工を作るため山に竹を取りに行きました。


「なんだ? あの光っている竹は!?」 恐る恐るその竹に近寄っていきます。


 スパッ!

 っと竹をなたで切ってみると、節と節との間に砂金が入った竹を見つけました。


「これは!?」


 おじいさんは竹に砂金が入っていることは不思議に思わず、にんまりと笑みを浮かべこっそりと砂金を持って帰りました。 


 その後も砂金の竹を見つけることが度重なり、おじいさんとおばあさんは、だんだんとお金持ちになっていきました。 


 竹林で見つけた幼子は、竹のようにすくすく大きくなっていきました。

 たった三か月で、髪も長く伸び、たいそう綺麗な大人の女性になってしまいました。


 おじいさんとおばあさんは、化け物であるとかまったく思うことはなく、急に大人になってしまったので髪あげの祝いなどをして、裳着の儀を執り行い元服させました。


 裳着を済ませた後も大切に育てられ、女の子は終始御姫様扱いで帳の中から一切出ず、箱入り娘と化して巣魔法スマホで遊び惚けていました。


 この子の美貌は目鼻際立っていてたいそう美人でした。

 なぜかその周りは明かりもないのにいつも輝いているのです。

 お屋敷の中は、巣魔法スマホの光で満ち溢れ、暗いところはありません。


 おじいさんは気分が悪く苦しい時も、この子を見るだけで、苦しいこともなくなりました。

 腹立たしいことがあっても、この子の傍にいるだけで、気分が紛れてしまいます。

 なんとこの子には治癒能力まで備わっていたのかもしれません。


 竹取りのおじいさんは、その後も密かに砂金入りの竹を度々取って暮らしていたので、その一帯では一番のお金持ちになりました。

 おじいさんは、この子が大人になったので御室戸斎部みむろどいむべの秋田を招いて名をつけさせました。


「秋田君、うちの娘に名前を付けておくれ」

「分かり申した。名付け料は高いぞ」

 秋田は一目(砂金の山を)見て相好を崩し、名前を「なよ竹(女竹)のかぐや姫」とつけました。


 此の時から、三日間というものは、命名式を公開しどんちゃん騒ぎをして祝いました。

 管弦、歌会などこの世にある様々な遊戯を行いました。

 誰かれかまわず男という男を招き集め、たいそう盛大にお祝いをしたそうです。


原文


いまはむかし、たけとりの翁といふものありけり。野山にまじりて竹をとりつつ、よろづのことにつかひけり。名をば、さぬきのみやつことなむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一すぢありける。あやしがりて、寄りてみるに、筒の中光たり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。


翁いふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ。子になりたまふべき人なめり」とて、手に打ち入れて、家へ持ちて来ぬ。妻の媼にあづけてやしなはす。うつくしきこと、かぎりなし。いとをさなければ、籠に入れてやしなふ。


たけとりの翁、竹を取るに、この子を見つけて後に竹取るに、節をへだてて、よごとに、黄金ある竹を見つくることかさなりぬ。かくて、翁やうやうゆたかになりゆく。


この児、やしなふほどに、すくすくと大きになりまさる。三月ばかりになるほどに、よきほどなる人になりぬれば、髪あげなどとかくして髪あげさせ、裳着す。

張の内もいださず、いつきやしなふ。この児のかたちの顕証なること世になく、屋の内は暗きところなく光みちたり。


翁、心地悪しく苦しき時も、この子を見れば苦しきこともやみぬ。腹立たしきこともなぐさみけり。

翁、竹を取ること、久しくなりぬ、勢、猛の者になりにけり。この子いと大きになりぬれば、名を、御室戸斎部の秋田を呼びてつけさす。秋田、なよ竹のかぐや姫と、つけつ。このほど、三日、うちあげ遊ぶ。よろづの遊びをぞしける。男はうけきらわず招び集へて、いとかしこく遊ぶ。






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