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お約束

まずお約束の馬車が襲われていて姫を助けるという話

森を出て適当に歩いているとそれはお約束の馬車が魔物に襲われていた。

襲っているのはキンググリズリーという立ち上がると8mほどある巨体の熊の魔物だ。

護衛をしていたであろうお揃いの装備をした男たちが12人倒れている。

キンググリズリーが馬車に襲い掛かろうとしていたその時。


「そろそろ昼飯時だし、今日は熊でも食うかぁ!」

と、森から出てきた少女は軽く剣を振るった。


軽く振るった剣は刃渡り3mはあるとても150cm程の少女が振り回していい剣ではなかったのだが。

いや、大男であったとしても振り回せるような物ではなかった。

それを軽々と枝を振る様に片手で自在に振るった彼女は人なのだろうか。


キンググリズリーを一刀に伏した彼女は近くで倒れた男達に気付く。

「おぉ〜!人間だー!おーい!あんた人間だろー!俺も人間だー!はははははっ!」

彼女の明るさとは逆にシリアスな様子で最後の力を振り絞る様に男は答えた。

「…キンググリズリーは?…姫だけでも逃げ果せれただろうか…?」

「どうした?元気ないのか?人間がいっぱい落ちてるなー?みんな元気ないしな。エリアヒール!」


既に事切れていた者もいたが全ての男達の傷が初めからなかったかのように癒え、切り離されていた手足が元あった位置に復活する。

それは聖女の奇跡、いや、神の御技とまごうばかりの光景であった。

幸いそれを目撃した者は倒れた男達にも馬車の中の人物にも居なかったのだが。


「とりあえず人間が目覚めるまで時間があるしな!飯を食うぞー!熊鍋だ!ひゃっほーい!」

実に楽しそうである。

馬鹿なのかもしれない。

13.4歳の少女がこれで良いのだろうか。


熊とそこら辺にあった食べられる植物を魔法で作った鍋に入れ魔法で水を張り、魔法で火を起こし、煮込んでいく。


なんとなくせっかく人間がいるのだこいつらが目覚めたら一緒に食べれる様に大きな鍋で沢山作ろう。

そう思って30人分はあろうかという分量を煮込んでいた。


辺りにいい匂いが漂い出し、馬車から1人の少女が恐る恐ると外へ出てくる。

彼女は襲われていたはずの馬車の周りが静かになりいつ襲われるのか不安なまま過ごしていたらいい匂いが漂ってきたのだ。

どうなっているのかわからずこのままこうして馬車の中に閉じこもっていても好転する事はないだろうと意を決して馬車から出てくると

馬車の周りで自分を護衛していた騎士達があちらこちらで倒れており、

それを気にも留めず何やら大きな鍋で美味しそうな匂いがする何かを作っている少女がいるではないか。

一体何があったのか想像もつかない事態だ。


馬車から出てきた少女は何か知っているであろう鍋を煮ている少女へと恐る恐る話しかける。

「もし、其方は此処で何をしておる?何を知っておる?妾に教えてたもれ?」


「おおー、…あっしはしがない浪人でござんして方々の御仁が伏してござんしたので精の付くものと愚考し、鍋を用意してござんした。…んだよー!!」

なんとも適当な返事をしたものだ。

しかし、馬車から出てきた少女は気にした様子もなく

「??其方はこの者達が襲われていたのを見てはおらぬのか?」

「うーん?襲われてたの?分かんない!俺は昼飯にちょうどいい獲物がいたから狩ったらこいつらが元気ない感じで倒れてたから元気の出るおまじないして目が覚めたら腹減ってるだろうからめしつくってやってたんだ!えっへん!!」

「其方さっきと言葉遣いがえらく違うが、まぁよい。襲ってきた者は近くにおらんかったという事でいいのかの?」

「分かんないけどそうだと思うぞー!」

もちろん鍋の中に居るのだが。


そうこうしているうちに倒れていた騎士達が目覚め始めるのであった。


少女が森から出なかったif


騎士達が殺され

馬車も破壊され

隣国の姫も喰われ


100年戦争の勃発

文化も自然も破壊され

周辺を巻き込み

生き物達は住処を追われ

飢えて

魔物が蔓延り


世界は静かに終焉を迎えた


そんな可能性

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