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おっさんのごった煮短編集

完璧 ~現代に婚約破棄するタイプの残念くんがいたら~

タイトルまんまです。

かなり、痛い奴なんで、彼女さんが何処に惹かれてるかは謎です(容姿と家柄かな)



 俺は完璧だ。



 たまたま駅前の通りで小学校のクラスメート3人と出くわしたのは、最近付き合い始めた彼女とのデート中だった。


 「おう、久しぶりだな正志、俺だよ、市ノ瀬だ。」 

 小学校の頃に比べてすっかりガタイが良くなった幼なじみに声をかけた。

 「ん、市ノ瀬? あー直ちゃんか、久しぶり。」

 直道で直ちゃん、小学校時代のあだ名が懐かしい。

 「直ちゃんとか、やめろよ、しかしガタイ良くなったな、一瞬わかんなかったよ。」

 「ん、そうか、そんなでかくなったかな?」

 自分じゃわからないんだな、案外。小学校時代は小さくて俺の後ろで良く泣いてたのに。

 「勝則は変わんないな~。」

 「そうか、直ちゃんは結構変わったな。」

 俺から見て右隣にいる勝則にも話かける、俺はそんな変わってないんだけどな~、そういえば、こいつは昔から勉強がダメだったっけ、俺に良く教わってたもんな~。

 「俺は実家の鍵屋ついだんだけど、直ちゃんは大学出てから官庁務め何だっけ?」

 やっぱり相変わらずダメ何だな~、家業があってよかったな、勝則。

 「あぁ、俺の出身校はだいたい官僚になるから」

 家柄含めてエリートの俺とは大違いだな。

 えーと、正志の左隣は佐藤何だっけ?

 「なー市ノ瀬、一緒にいるの須藤か」

 ん、佐藤がいきなり聞いてくる。誰と間違ってるんだ、俺の彼女は藤崎 茜だ。

 「良くわかったね、駿くん」

 「あ、やっぱり須藤か」

 え、どういうことだ?

 「でも、小学校の時、親が離婚して母方の姓になったから、今は藤崎だよ、駿くん。」

 「あー、そういや途中で転校したの、そのせい?」

 「おい、駿、デリカシーないぞ、てか、まじで茜ちゃん、全然わかんなかった、良く駿わかったな」

 「確かに俺もわかんなかった」


 3人が盛り上ってるが、須藤 茜が思い出せない。そんな奴クラスメートにいたか。

 その時、後ろから声がかかった。


 「あれー、あんたたち、2組の正志とか? 久しぶりじゃん。覚えてる、里美だよ~」

 振り替えると、何処と無く見覚えのある女性がいた。里美と名乗ったが、中島 里美だろうか。

 俺は小学校時代、こいつに告られて「結婚とか考えてないし、うじうじしてる奴って嫌い」って振った気がするが、こんなハキハキした奴だったか。


 「久しぶりじゃん、里美、ほら、こいつ直ちゃん」

 「え、直ちゃん? うそ、すごいガタイ良くなってんじゃん、あんな小さくて正志の後ろでピーピー泣いてたのに(笑)」

 何言ってんだ、こいつ、記憶大丈夫か。

 「てかさ、勝ちゃんもいるじゃん、実家継いだんだっけ、クラス一の秀才が勿体無いな~」

 「鍵屋継ぐのは昔から決めてたし、結構、安定してんだぜ」

 何言ってんだ、本当に。勝則がクラス一の秀才って。

 「てか、もしかして茜ちゃん?」

 「そう、久しぶり里ちゃん、懐かしいね」

 「本当に久しぶりだね、てか、もしかして直道と付き合ってんの」

 「そうなんだ、小学校の時は振られたんだけどね」

 「だってあの頃はこいつ私一筋だったもん」

 「確かに、まあ、私のこと覚えてなかったみたいだけど」


 何、言ってるんだ、こいつら。

 さっきから、おかしいぞ、

 「いや、おかしいだろ、俺が里美一筋だったとか、茜のこと振ったとか、覚えてねーし」


 「あー、本当に私のこと、覚えてなかった。名字は変わったけどさ、仕事で再開して思い切り初対面ってオーラだったもんね」

 「まじで、最悪。てか私に告って振られたんも忘れてるの」

 何言ってんだ、振ったのは俺だ、いや、振ったのは茜の方なのか、じゃあ、小学校時代の里美ってどんなんだった。

 「おい、まじで忘れてるわけないだろ、冗談だって、なぁ直ちゃん」

 正志がそうフォローしてくる、こいつ、こんな頼りになる奴だったか。

 いや、正志のいう通りだ、俺が忘れてるんじゃない、さっきから里美と茜は変な事ばっか言ってるし、きっと昔、俺に振られたの根にもって記憶がおかしくなったんだろう。しょうがないやつらだ。


 まぁ、俺は完璧だからな。

 こいつはバカだからしょうがない。


 「当たり前だよ、全部しっかり覚えてるさ」

お読み頂きありがとうございましたm(_ _)m


落ちはないです。

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― 新着の感想 ―
[一言] あまりに信頼できない語り手……! 痛いとか残念というより、病気を疑ってしまいました。 これ、本気で本人が思い込んじゃっているのか。 それとも自己保身のために蓋を閉ざした記憶の存在と、そん…
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