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58 オルランコスの目的とは

 子供達のことは気になるけれど、ここから先はとうさまに相談してからにしよう。

 いまのところ、子供達に危険はないようだし。慎重に動いたほうがいい。

「フォタリ、いまの話をわたし達にしたことは黙っていてくれる?」

「え、いいけど、どうして?」

「たぶん、グラン伯爵はこっそり子供達をかくまっているのでしょう?だったら、その話が広まることは望んでいないはず。だから、あなたが話したことを知られれば、あなたや、この孤児院の院長も責められるかもしれないよ」

「なるほど。あの方は謙虚な方だから、たしかにこの話を広めるのはよくないな」

 納得してくれたようでよかった。


 宿屋に戻り、とうさまが戻って来るのを待った。

 夜に活動する可能性に備えて、仮眠をとることにした。

 3時間ほど寝ると、すっきりと目覚めた。

「ふわぁ~っ。う~ん。よく寝た」

 そして、頭の下にある腕と、お腹に回された腕に気づいた。ううむ。これはレイヴの腕だな。正面にいると殴られるから、後ろから抱き締めることにしたんだね。

 わたしが起きたことに気づいたレイヴが、わたしからそっと離れた。というより、殴られる前に逃げたという感じかな。

「とうさまは、まだ戻ってないの?」

「あぁ。まだ………いや、帰って来たな」


 がちゃり


「いま戻った」

 とうさまが部屋に入って来た。

「とうさま!わたし達も情報を手に入れたよ」

 ベッドからひょいと出て、とうさまに抱きつく。

 とうさまが目を細めて、わたしの頭を撫でてくれた。

「では、情報交換といこうか」

 そう言って、結界を張るとうさま。


 とうさまは、オルランコスと攫われた子供達について調べていた。カー・ヴァイン国で攫われた子供の数は3人。密かにレ・スタット国の王都に連れて来られて、隠されているらしい。そして子供達は、召喚の儀式に使われる生贄として集められたらしいが、なにを召喚するかまではわかっていない。

 わたし達が手に入れた情報と合わせると、攫われた子供達は、グラン伯爵の館にいる3人の子供達だろう。

 召喚の儀式が行われる前に取り返さないと、生贄になってしまう。

 でも、敵はオルランコスだけだと思っていたのに、レ・スタット国の貴族まで絡んでくるとなると………チャールズ国王の影がちらつく。

 犯罪組織として知られるオルランコスの事実上の支配者は、レ・スタット国の国王チャールズ・レ・スタットだ。

 今回の件に貴族や兵士まで関わっているとなると、チャールズ国王の命令で動いている可能性が大きい。


「…おそらく、あの外道の指示だろう」

 とうさまは、チャールズ王を嫌っているからね。

 わたしもチャールズ王は嫌い。というか、アシュリー王太后以外であの王様を好きな人なんているのかな。

 たしか、チャールズ王は結婚していたはず。子供は、まだいなかったはず。国王にとって、後継者がいないって大問題じゃないのかな?うん?もしかして、召喚の儀式って、後継者問題に関係あるの?いやぁ~、違うか。だって、後継者がほしいなら、いくらでも側室を娶ればいいんだもの。王妃が産んだ子だけが後継者になれるわけじゃないし、国王という地位にいれば、好きなだけ高貴な女性を集められるよね。


 まさか、チャールズ王が子供を作れない体質ってことはないよね………?それだったら、どれだけ女性を変えても後継者は生まれない。

 兄弟は異母姉だったわたしのお母さんだけで、いとこもいない。つまり、近い血統から養子を迎えることもできない。

 あ、1人いた。わたしだ。わたしは、チャールズ王から見て姪にあたる。死産だったことにしているから、チャールズ王はわたしのことを知らないけどね。

 それにわたしの存在を知っていたとしても、あのチャールズ王が自分の後継者にすることはないよね。

 

ということは、チャールズ王はなんのために、誰を召喚をしようとしているんだろう?

 生贄が必要な召喚ということは、悪魔かな?

いやいや、ちょっと待って。悪魔なんか召喚してどうするの。万が一、大物の悪魔が現れたら国が滅ぶかもしれない。誰がそんな危険を犯すっていうの?あぁ………王国軍を強化して戦争の準備をしている愚かな連中なら、やるかもしれない。

 正攻法で攻めても、レ・スタット国に倒せる国はない。だから、悪魔の力に頼るっていうの?


「とうさまはどう思う?」

「…そうだな。あの男なら、なにをしても不思議ではない。子供達を助け出しても、また、儀式を行うために子供達をさらうだろう。だからと言って、見過ごすことはできないが」

「今後のことは、子供を助けてからか考えたらどうだ?」

「う~ん。そうだね。わからないことばかりだしね」

 ここで悩んでいてもどうにもならない。

「俺が子供達を救出して来よう。助け出したら、夜のうちに王都を出るんだ。セシルとレイヴは、東門の外で待っていてくれ」

「はい、とうさま」

東門は、カー・ヴァイン国方面への出口だ。子供達が攫われたカー・ヴァイン国に逃げるということだ。 



ちょっと、書き溜めが増えすぎた気がするので、予定にはなかったけれど2話投稿しますね。

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