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194 王城跡地へ

 有名なアンデットといえば、ゾンビ、デュラハン、スケルトンだけど、サニー・アローズの場合はどのアンデットだろう?騎士がゾンビになったとは聞かないなぁ。ということは、首無し騎士のデュラハンかな?でも、サニー・アローズは首を切られたわけじゃないし。スケルトンという可能性も………。

 まぁ、会ってみればわかるか。

 王妃が眠れる騎士を起こそうとしているのなら、やっぱり王都跡へ行くよね。ということは、わたし達も王都跡へ行くべきかな。

 レイヴがいれば、ひとっ飛びで行けたんだけどなぁ。いまは馬もないし、徒歩で行くとなると、絶対に王妃達に追いつけない。それなら、大人しく眠れる騎士が起こされるのを待つべき?いやいや、待ってるだけなんて性に合わない。

 

 そうだ!シルヴァに飛行魔法で飛んでもらえばいいんじゃない?前にレイヴを抱えて飛んだこともあるし、わたしひとりくらい抱えて飛ぶのは平気なはず。うんうん!それでいこう!

 あ、でも、それじゃあレギーとロイを置いていくことになるんだよね。うわぁ。絶対に反対されるよ。う~ん。どうしたらいいのかなぁ。よし。ここは、シルヴァに聞くのが早いよね。


「ねえシルヴァ、レギーとロイを連れて王都跡まで飛べる?」

「………それは、セシル様もご一緒で、という話でしょうか?」

 シルヴァが、にこりともしないで聞いてきた。

 あれ。わたし、なにか変なこと言ったかな?

「セシル様のご命令とは言え、こんな所にセシル様を残して行くと思ってらっしゃるんですか」

 なんだが、レギーとロイを殺しそうな殺気を発しているけれど、なんでだろう。

「あ、ごめんね。言葉が足りなかったよ。もちろん、わたしも一緒に行くよ。それに、命令じゃなくてお願いだからね。嫌なら、しなくていいんだよ」

「お願い?………くふふっ。それなら、叶えて差し上げなくてはいけませんね」

 さっきまでとは打って変わって、嬉しそうな様子のシルヴァがいた。


「お願い。わたしとレギー、ロイを王都跡まで運んで」

 そう言い直すと、シルヴァは嬉しそうに微笑んだ。

「かしこまりました、セシル様」

 ずいぶん嬉しそう。シルヴァの能力を疑うような言い方が嫌だったのかな?

「では、さっそく参りましょう」

「そうだね。王妃達より先に王都跡に着きたいから」


 使いのカラスが早く来てくれたから、幸い、まだ日は昇っていない。今なら起きている人も少ないし、人の目につくことも少ないだろう。

 毛布を片付けて外に出ると、心配そうな顔のプロフェとゴドがついて来た。

「飛ぶってことは、飛行魔法を使うんだろ?ひとりで、どうやって3人を運ぶんだ?」

「くふふっ。セシル様は抱きかかえますが、レギーとロイは首根っこを掴まえて飛びます」

 楽しそうに言うシルヴァとは対照的に、レギーとロイは「ゲッ」と声を漏らした。青い顔をしている。


「シルヴァ………」

 つい声を上げると、シルヴァがわたしを止めるように片手を上げた。

「というのは冗談で、ふたりには私に掴まってもらいます。重力操作をした上で身体強化をするので、容易いでしょう」

「なるほど………?」

 自力で、落ちないように掴まってもらうってこと?もし落ちたら、大怪我どころじゃないよね。


「さあ、セシル様。こちらへおいでください」

 手招きされてシルヴァに近寄ると、ひょいっと抱き上げられた。見た目は細いのに、服の下にはしっかりした筋肉が隠されていて、つい照れてしまう。そんな様子のわたしを見て、シルヴァは嬉しそうに微笑んだ。

「それでは、おふたりは私の肩をと腰にお掴まりください」

 シルヴァに言われて、レギーはシルヴァの肩に、ロイはシルヴァの腰に掴まった。

 そのとき、ふわりと体が浮かび上がるような感覚を味わった。まるで、体重がなくなってしまったかのようだ。不思議な感覚に心もとなくなり、シルヴァの服を掴んだ。すると、シルヴァはわたしを抱き締める力を強めた。

「大丈夫ですか?」

「うん。ちょっとびっくりしただけ」


「では、参りますよ」

 シルヴァがそう言うと、全員の体が地面からふわりと浮かび上がった。そしてシルヴァが軽く地面を蹴ると、一気に空まで浮かび上がった。羽根のように軽くなった体が、地面から離れたはるか上空で浮かんでいる。その不思議な感覚は、初めてのものだった。

 レイヴに乗って移動するときは、レイヴと一体になって飛んでいたから、ここまで体が頼りない感じがすることはなかった。

 風に吹かれたら飛んで行きそうで、不安になる。

 

 そして、シルヴァは王都跡の方向を確認したあと、体を傾けて飛び始めた。というか、最初から飛ばし過ぎ!怖い!

 シルヴァが前方に結界を張っているのか、風は当たらないけどね。わたし自身の体が風になったかのようなスピードで移動していくのは、ちょっと怖い。うっかりシルヴァが手を離したら、わたしの体は地面に叩きつけられてぐしゃぐしゃになってしまうだろう。ちらりと想像してしまったせいで、吐きそうになった。うっ。気持ち悪い。

 

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