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190 ゴドのアジトへ2

「お、村についたぜ」

 とゴドは言ったけれど、集落と言ったほうが正確な気がした。なにしろ、家が5軒しかないのだ。

 村人は家の外に出て来ないけれど、観察されているのは視線から感じる。ドアの隙間や窓の陰から、部外者を観察しているんだろう。

「ついて来てくれ。村長に紹介する」

 レンガの塀で囲まれた村に入り、一番奥の、村の中では一番大きな家へ向かった。

 入口に垂らされた布を腕で除け、ゴドは家の中に首を突っ込んだ。

「じいさん、客を連れて来たぜ」

「ふんっ、ゴドか。久しぶりじゃな」

 どうやら、歓迎されていないらしい。


「おい、おまえら。遠慮はいらねえ。入ってくれ」

 ゴドに言われて、そろそろと家の中に入ると、そこはかまどの泥炭のわずかな灯りだけが頼りの、薄暗い部屋だった。

 レンガと土を積み上げて作った家で、むき出しの地面に敷物を敷いておじいさんがあぐらをかいていた。

「じいさん、こいつらが例の騒ぎを起こした連中だ」

「ふむ」

「セシル、このプロフェじいさんはレジスタンスのリーダーだ」

「え!」


 レジスタンスって、つまり、アーカート王のやり方に反発して抵抗運動をしている組織ってことだよね?こんな老人に、リーダーが務まるのかな?

 というより、そんな大事なことを、初対面のわたし達に話して大丈夫なの?

「………このばかの目を覚まさせてくれたのも、あんただそうじゃな。まず、そのことについて礼を言おう」

 プロフェさんが立ち上がり、頭を下げてくれた。

「え!?やめてください。わたしには、なんのことだか………」

「ゴドはわしの孫じゃが、名を上げると言って飛び出して行ったきり、ろくに連絡をよこさんでの。井の中の蛙が、いい気になりおってふんぞり返っておったのじゃ。そんなゴドの大剣と、ばかなプライドをぽっきり折ってくれたそうじゃないか。おかげで、こやつも王の悪行に対抗しようという気になれたんじゃ。礼を言わせてくれ」

「え、はい、わかりました。お礼を受けます」

 よくわからないけれど、ゴドの大剣を折ったことがいい方に転んだらしい。


「すまんの。では、なにもないところですまんが、座ってくれ」

 プロフェさんに促されて、わたし達は円形に座った。

 そして、わたしがシルヴァとレギー、ロイの紹介を行った。

「ぶしつけだが、聞かせてほしい。セシルさんは外国の人間じゃろう。それは見ればわかる。なぜア・ッカネン国へ来たんじゃ?」

 一瞬、本当のことを言うべきか迷った。でも、わたし達を助けてくれたゴドのこともあるし、先に自分達がレジスタンスだと言うことを明かしてくれた。それが、とても危険なことであるのにも関わらず。だから、話すことにした。わたし達が、どうしてア・ッカネン国へ来たのか。


「わたし達の仲間に、クロードという男がいます。ア・ッカネン国の出身で、王家の血を引く王族です」

「なんと!それは本当か?」

「そんな話聞いたことがないが、どういうことだ?」

 興奮気味のプロフェとは違い、ゴドは落ち着いて見える。わたしの話が本当か、確かめようとしているようだ。

「間違いないと思っています。国王側がクロードを狙っていることからも、本当だと思うます。それに、わたし達は、クロードが王族であることを証明するための物を手に入れています」

「王族であることを証明するじゃと?サンドワームを操る笛でも手に入れたか?」

「え?」

 そんなものがあるの?欲しいな。


「違ったか」

「はい。ア・ッカネン王家に伝わる宝剣です」

「もしかして、その宝剣があの井戸に隠されていたって言うんじゃ………」

「ゴドさん、その通りです。宝剣は、貧民街の井戸に隠されていました。これが宝剣です」

 そう言って、マジックバッグからナイフを取り出した。何度見ても、食事用のナイフにしか見えない。それでも、わずかながら魔力を感じる。

 宝剣を見たのは、レギーもロイも初めて。わたしとシルヴァ以外の人間が、ぽかんとした顔でナイフを眺めた。


「………セシル様、これが宝剣ですか?ただのナイフにしか見えないんですが………」

「いや、ロイ。ただのナイフなら、井戸に放置されていたら錆びついているはずだ。これは綺麗な状態だから、なにか魔法の品に間違いない」

 ロイの素朴な疑問に、レギーが的確に答えた。

「この宝剣は、正統な王族の手にあるときだけ真実の姿を現します。クロードが王族であるいい証明になるでしょう」

 そうシルヴァが言い、宝剣に手を触れようとするとなにかの力に手をはじかれた。

「私を拒むとは………井戸に眠っていた、聖剣ですか。くふふっ。おもしろい」

「シルヴァ、大丈夫?」

 シルヴァの手が火傷したようになっている。

「これくらい、なんでもありません」

 そう言ってシルヴァが火傷した手を振ると、一瞬で綺麗になった。


 その様子を、プロフェとゴドが目を丸くして見つめていた。

「シルヴァ………聖剣に触れない………黒焔の悪魔か?いや、まさかな」

「王都を灰燼に帰した悪魔シルヴァ??」

 あ、ばれたか。

「そうです。シルヴァは、かつてア・ッカネン国の王都を焼いた悪魔です」

「「ひいっ!」」

 プロフェとゴドは悲鳴を上げてのけ反った。


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