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186 クロードの結婚3

「………わかった。結婚を認めよう。だが、まだクロード殿下を認めたわけではない。それを忘れないように」

 とうとう、マーレ公爵が言った。

 やった!これで、セルドリッジ侯爵の後ろ盾も得られる。

「それで結構ですわ」

 ユリアナ令嬢がにこやかに言った。

 普段は使わない筋肉を使っているのか、笑顔がぎこちないけれど。満足しているのは間違いないと思う。

「そうと決まれば、特別結婚許可証を手に入れよう。なあに、私の権力と金を使えば、すぐ手に入れられるだろう」

 なるほど。権力とお金は、そういう使い方をするのか。


 それから、ひとまず婚約者としてクロードはマーレ家に泊ることになり、わたし達も客人として迎えてもらえることになった。バラバラでいるより、一緒にいた方が安全だからね。エステルとレギー、ロイがへルメイラ商会に残っているから、マーレ公爵家の従僕が迎えに行ってくれることになった。

 マーレ公爵家の屋敷は大きく、客室も人数分ありそうだったけれど、防犯の面から独りになるとはよくないと判断して、いつものような部屋割になった。と言っても、間もなくユリアナ令嬢と結婚するクロードは、初夜に備えて個室が与えられた。

 マーレ公爵様はあわただしく教会へ出掛けて行き、夜遅く、一枚の紙切れを手に戻って来た。特別結婚許可証だ。


 通常、貴族が結婚する場合は、結婚することを教会に届け出て、そのことを3週間に渡って新聞に載せるんだって。その結婚に異論があれば、申し出ることができるように。そうして問題がなければ、告示から3週間後、ようやく結婚式をあげることができるそうだ。

 でも、教会が特別に認めた特別結婚許可証があれば、その3週間を待たずに結婚することができる。

 思い立ったらすぐ結婚できる平民と違い、貴族って面倒なんだね。


 そして朝を待たず、牧師を呼んで結婚式が執り行われることになった。

 マーレ家の応接室に、呼ばれてあわただしくやって来た牧師と、美しく着飾ったユリアナ令嬢、持っている服の中でも一番いいものを着たクロードが、結婚誓約書の前に立った。クロードは着ている物は質素でも、クロードはユリアナ令嬢に見劣りしないほど美しく、男らしく見えた。

 そして室内には、この結婚を見届けるべく、マーレ公爵夫妻と、わたし達仲間がいた。マーレ公爵家の執事と家政婦もいる。

 慎ましやかに結婚式は執り行われ、牧師が誓いの言葉を読み上げると、クロードとユリアナ令嬢がそれぞれ誓いの言葉を繰り返し、結婚誓約書に署名して結婚式は終了となった。


 時間も遅かったことから、結婚祝いのパーティーなどはなく、参列者はそれぞれの部屋へ引き上げていった。

 わたしはいつものように、レイヴとシルヴァに挟まれて眠った。広いベッドで良かった。

 朝になって食堂へ行くと、仲睦まじい様子のユリアナ令嬢とクロードが見られた。ユリアナ令嬢は冷たい表情を保とう努力しているようだけど、クロードを見る目が優しい。クロードのほうも、ユリアナ令嬢を見る目が優しく、柔和な表情をしている。

 マーレ公爵は、その様子を冷たい目で見つめていた。ふたりを祝福していないのが、一目瞭然だ。

 けれどマーレ公爵夫人は柔和な表情でふたりを見つめている。娘の幸せな様子が、本当に嬉しそうだ。


 少しして、セルドリッジ侯爵もマーレ公爵家の屋敷へやって来て、今後の打合せをすることになった。

「まずは、クロード殿下、ユリアナ令嬢、ご結婚おめでとうございます」

 セルドリッジ侯爵は会釈して、にこやかに微笑んだ。自分の望んだ結果以上のものが得られて嬉しそうだ。

 セルドリッジ侯爵が言っていたのは、結婚じゃなくて婚約だからね。それでも十分すごいことだけれど、クロードが結婚できたのはユリアナ令嬢がマーレ公爵の野心をうまく刺激した結果だ。


 さてと。うまく後ろ盾を手に入れたことだし、これからの方針を決めないとね。

 ユリアナ令嬢と結婚できたからには、クロードの存在を隠すより、おおやけにすることがクロードの身を守ることに繋がるとわたし達は考えた。そして、正面からアーカート王と対立するようなことはせず、アーカート王が亡くなるまで待つという作戦で行くことになった。

 とは言っても、クロードの存在を公表すれば、利用しようとする存在も、敵もかなりの数が現れることが予想できる。それに、クロードが本物の王弟か疑う者がほとんどのはずだ。なにか、クロードの身分を証明する物はないのかな?


「ございますよ」

 シルヴァがなんでもないことのように言った。

「以前、クロードの記憶を覗いた際に見ました」

「なにを見たの?」

「王家の者に贈られる宝です」

 よくわからないけれど、それがあれば、クロードは王弟を騙った罪で捕まることもなくなる。

「どんなものなの?どこにあるかわかる?すぐに取って来れる?」

「ア・ッカネン王家に伝わる宝剣ですよ。場所は、この王都です。お命じくだされば、すぐにでも取ってまいりましょう」

 


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