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172 Bランクハンター

「さぁ、着きましたよ!今日も稼ぎましょうね!!」

 ハディットが明るく言って、腕まくりをした。

 ア・ッカネン国はヨナス山脈の南側にあり、南に大きく張り出した半島にある国なの。だから寒気はヨナス山脈に遮られ、とても暖かい。持って来た服では暑くなってきている。新しい服が必要かもしれない。

 この町は王都からほどよい距離にあり、とても栄えていた。人々の表情が明るく、町は活気に満ち溢れている。見るからに、生活に余裕があるように見える。ということは、嗜好品が売れるということだ。嗜好品は稼ぎも大きい。ハディットが張り切るわけだね。

「じゃあ、わたし達はハンターギルドへ行って来るね。帰りに古着屋へ寄って、皆の服も買って来るよ」

 皆というのはもちろん、魔力で服を作れないとうさまやわたし、クロード達と指す。あ、フィーもね。シルヴァとエステルは、すでに魔法で服をア・ッカネン国風へ変えている。

 ア・ッカネン国は、ヨナス山脈が寒気を遮ってくれるおかげで一年中暖かい。荒野と広い砂漠があり、水はどこへ行っても貴重だ。そして、質のいい魔石の産出国であるおかげで、魔法が発達したと言われている。

 確かに、町の街頭には魔石が使われているし、町や村を魔物から守る防御結界にも魔石が使われていた。マノ村のお粗末な柵も、防御結界があればこそだったんだね。


 かららん


 このドアベルの音は、世界共通なんだね。

 わたし達がハンターギルドに入ると、見慣れない恰好の外国人ということのせいで、視線が一斉に集中した。警戒されているのがわかる。

「なんだぁ?ここはガキが来るような場所じゃねえぞ」

 昼間から飲んだくれている人に言われたくない。

「おいこら、無視するんじゃねえ!」

 赤ら顔の男が立ち上がってこちらへやって来る。

 シルヴァとレイヴが前に立ち、その男と向かい合った。思ったり大きい。

「ちっ。騎士気取りかよ。その態度も、お綺麗な顔も、なにもかも気に入らねえ」

 酒臭い息を吐きながら、男が言った。酒が回っているのか、目が座っている。昼間から酒浸りでいる男にしては体は引き締まっていて、質のいい装備を身に着けている。

「ほどほどにしろよゴド!なんたって、おまえさんはBランクなんだからな!」

 Bランク?そんな高ランク、滅多に会えないよ。Bランクの腕前がどれほどのものか知りたい!


 わたしが戦いたくてうずうずしているのに、ゴドは気づいたらしい。

「ん?なんだぁ、てめえ。なにやる気になってやがる」

 薄ら笑いを浮かべて、わたしを嘲笑った。

「てめえ、なにランクだ?」

「Eランク」

 さすがに、名乗るのは控えた。誰が聞いているかわからないからね。

「ぐわっはっはっは!ハンターになりたてのひよっこじゃねえか。それが、どうして海を渡ってア・ッカネン国まで来た?てめえの国で悪さでもしたか?」

 他国からア・ッカネン国への正規ルートは、カー・ヴァイン国から船に乗るルートだもんね。この酔っ払いには、わたし達が魔法陣でヨナス山脈を越えてきたとは想像もできないだろうね。

「よく見りゃあ、可愛い顔をしてるじゃねえか。可愛がってやろうか?」

「わたしに勝てたらね」

「ちっ。生意気なガキだぜ。だがまぁ、それを手懐けるのも悪くねえ。よし、訓練場を借りるぜ!」


 そういうわけで、わたしはゴドとハンターギルドの訓練場で向かい合っていた。

 ゴドの得物は大振りの大剣。ごうごうと音をたてて振り回している。大剣は長い分、間合いは広い。でも、間合いに入ってしまうば、こちらにも勝機はある。というか、勝てる気しかしない。

 だけど、油断は禁物。相手は腐ってもBランク。昇格試験を受けて、実力を認められた者なのだ。

 見物客は、皆にやにやとしている。わたしがゴドにやられる姿を想像しているに違いない。

 シルヴァが審判を買って出てくれた。それには、ゴドもにやにやしながら同意してくれた。

 なにも準備しないで戦うのは失礼だと思って、身体強化の魔法をかけておいた。

「それでは、初め!」


 先に動いたのは、ゴドだった。大剣の柄を握りしめ、走って来るその勢いのままわたしの肩目がけて突き出した。遅い。びっくりするほど遅い。あまりに遅くて、避けるのを忘れた。

 肩を押され、体が後ろに傾いた。それを利用して地面を蹴り、体を捻って後ろにジャンプした。

「なんだいまのは?手ごたえがあったはずなのに、避けられた??」

 ゴドが混乱している。たしかに、大剣はわたしの肩に当たったからね。でも、わたしは後ろにジャンプして倒れなかったし、血も出ていないしで、わけがわからないのだろう。

「次はわたしから行くよ!」

 わたしはゴドに向かって走った。ちゃんと、ゴドにも見える速度でね。

 

 キンッ

 

 ボキッ


 振り下ろした短剣がゴドの大剣の根元に当たり、大剣がボキリと折れた。

「うわあああああああっ!!」

 ゴドが折れた大剣を抱えて膝をついた。

「お、俺の大剣があああああっ!!」

 おかしいな。そんな脆い素材でできてたの?

 地面に落ちていた刃を拾ってみると、普通の鉄だった。でも、手入れをさぼっていたのか、刃こぼれが激しい。大剣ともなると切るというよりその重さで叩き切る感じだから、これでもいいのかもしれないけれど。武器を大事にしないのはだめだよね。




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