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163 牽制

「許さねえっ。セシルは俺の嫁になるんだ。おまえは諦めろ!」

「いいえ、私の方があなたより格が上です。あんたこそ諦めてください」

 レイヴはレットドラゴン、シルヴァは公爵級悪魔だものね。比べるようなものじゃないけれど、もし格という意味で比べるなら、シルヴァの方が上かもしれない。

「格なんて関係ない。セシルが選んだ男が、セシルをモノにできる」

「くふふっ。そのとおり。選ぶ権利があるのはセシル様です。私や、ましてやあなたではありません」

 シルヴァは自分の腕の中にいるわたしをぎゅっと抱き締め、そっと下に降ろしてくれた。

「………こう見えて、私は嫉妬深い男なのです。好いた女性が他の男の腕の中にいるのは、もう我慢なりません」

 なるほど。それでレイヴを牽制するために、シルヴァは自分の思いを告白したんだね。

 でも、いい迷惑だよ。これでレイヴはシルヴァをライバル視することになるから、いままでみたいにシルヴァと馬に相乗りできなくなる。まぁ、でも、相乗りならとうさまかエステルとすればいいよね。


「はいはい!着替えるから、ふたりとも出て行ってね」

 レイヴをベッドから引っ張り出し、ふたりの背中を押して部屋から追い出した。

「セシル、ドアの外で待ってるからな!」

「お待ちしておりますよ」

 耳をすましてみると、扉の向こう側でふたりが喧嘩する声が聞こえた。

 やれやれ。

 ため息をつくと、洗面器で顔を洗ってからハンター装備に着替えた。

 一緒に食事をするリムハム辺境伯夫妻には、こんな恰好は失礼だとわかっているけれど、我慢してもらうしかない。わたしは、場面に合わせて何度も着替える貴族じゃないんだから。


 部屋を出ると、シルヴァとレイヴは、どっちがわたしを食堂にエスコートするかで揉めていた。

 ふたりを無視して食堂へ行くと、クロードの姿がなかった。ザカリーの取り調べをしているらしい。自分に関わりのあることだから、気になるよね。少しでも情報を集めたいと思うのは、しかたないことだと思う。

 わたしもザカリーのことは気になるけれど、こういうことは諜報活動に長けたクロードに任せたほうがいいよね。

 朝食のあとは、まっすぐハンターギルドの納品所へ向かった。そして、今日の分の獲物を納品して料金を受け取った。

 そして、情報収集のためハンターギルドにも顔を出した。


 かららん


 ここに通って3日目だから、他のハンター達もわたし達に慣れて視線を集中させることはなくなっていた。

 依頼ボードにも、情報ボードにも、特に気になる情報はなかった。

 う~ん。なにかあると思ったんだけどなぁ。

 そのとき、受付嬢がわたし達を手招きしているのが目に入った。

 受付に近づくと、受付嬢を身を乗り出してきた。

「あなた達、いつもどこで狩りをしてるの?」

「うん………まぁ、近場でね」

「そう。昨日、この近くの森で魔物の大量死体が発見されてるのよ。誰がやったのかはわからないけれど、その近くに大量に出血した跡もあってね。その人物がもし生きているなら病院へ行くはずだけど、まだ目撃情報がないのよ。もし倒れてたら、助けてあげてくれないかしら?あなた達なら楽勝でしょう?」

 それって、ザカリーのことだよね。たぶん、黙っていたほうがいいよね。

「わかりました。今日も出掛ける予定なので、見かけたら助けますね」

「ありがとう」


 今日は遠乗りも、狩りもするつもりはなかったけれど、見回りも兼ねて出掛けた方がよさそう。

 今日のメンバーは、わたしとシルヴァ、レイヴ、エステル、そしてフィー。馬は連れてきていない。

 徒歩で行けるところだと、近くの森かな。

 クレーデルの近くの森は、獲物が豊富でハンターランクD~Fランク向け。あまり修行にはならない。とりあえず、目についた獲物を狩りながら進んだ。

 ザカリーは、クロードを呼び戻すために派遣されたけれど、他にも多くの諜報部員が派遣されているはずだよね。オ・フェリス国には、どれくらいの諜報部員が入り込んでいるんだろう?それにしても、ザカリーはクロードを見つけたら、どうやってア・ッカネン国に連絡を取るつもりだったんだろう?どこかに連絡手段を隠しているのかな?

 わたしだったら、フィーに飛んでもらってヨナス山脈の向こう側に待機させている仲間に連絡をとるよ。だって、どのルートを通ってもア・ッカネン国へ行くまでは時間がかかるし、連絡だけでもして相手を安心させたいから。

 ということは、ザカリーも仲間への連絡手段を持っているはず。クロードは聞き出したかな?


「セシル様、そろそろ館へ戻りましょう」

「そうだね。ずいぶん深くまで来ちゃったよね」

 考え事をしていたせいで、森の深いところまで来ていた。

「あ、あれなんだろう?」

 木の上にある鳥の巣に、なにかが隠されている。

「私が見てまいります」

 そうシルヴァが言って、ふわりと浮いて高い木の上まで飛んで行った。

「これは………発煙筒と魔法陣が仕込まれていますね」

「えっ。どんな魔法陣かわかる?」



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