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魔女の恋  作者: aki
1/1

大人の恋愛って難しい


去年一年付き合っていた会社の先輩と別れた。


その前も一年付き合った大学の先輩と別れた。


どちらも私から別れを切り出している。


別に浮気されたわけでも、嫌いになったわけでもない。




ただ、もっと、心が心臓が抉り出されるような




愛され方をしたい。





そんな具体性のないぼんやりとした感情を




私はいつも抑えることができない。



わかってる。ドラマのような急展開は現実ではそうないって。




別れた元彼たちに別れ際はいつも

「あんまりなめてんじゃねえ。」

「他人の心配より自分の心配しろ。」

と捨て台詞を吐かれる。





そのたびにいつも思う。



やっぱりこの人じゃなかった。


いつかどこかに運命の相手がいる。




でも近頃はそんな相手いないんじゃないか。




どの相手とも運命を感じない。




ただ愛されることが幸せなんじゃないか。現実はそんなもんなんじゃないかって




人生に怯えるようになった。




いつまでもロマンチックな私は



悶々としたまま日々を過ごしていた。





そして、ある日高校の友達と飲みに出た。





友達「最近どう〜?あの先輩だっけ?別れたの?」


私「あ〜う〜ん。笑」


友達「へ?また〜?なんかさ〜男変わりすぎじゃない?笑」


私「いや〜ね〜。だよね〜。だからしばらくは作らないことにする。」


友達「またまた〜。笑 どーせすぐ作るんでしょ〜?笑」


私「はあー?なにそれ!」


友達「だって、あんたって明るいし、モテるもんね〜。こう、ポイント抑えてるって感じでさ。笑 どうやったらこんな明るい子育つんだってね、思うもん。笑」


私「 。。。笑」




私って明るいのかなあ。

なんかいつでも明るくいなきゃいけないって

言われてるみたいで、しんどい。




こんな心の声を昔から抑えている。

明るいねって。ポジティブだね。って

いつも同じこと。

笑顔がいいね。って



いつのまに都合のいいピエロみたいになったんだろう。





みんな私の中の


この強い欲求を知らない。





友達「そろそろ店かえる?」


私「あっ。先輩の店行こうよ。」


友達「あ〜!あのイケメンの?好きだね〜笑」


私「そだよ〜イケメン拝みながらお酒飲もうよ〜」


友達「あり〜笑 いこ!」




ひとつ上の高校の先輩が働いているビール専門店へ

飲みに行くことにした。


わたしは先輩の整った顔もすきだけど、

飾らない人柄がすきだった。




お店へ入るといつもより忙しそうに働いている先輩がみえた。




私はガラス窓の向こうから

「いいですか?」と口パクで合図した。


先輩「(おっけー!)」


お店はいつもより混んでいるようだった。


先輩「二階の席でもいい?」


私「はあーい。」



2階は誰もいなかった。貸切じゃーん。なんて騒いで飲んでいると、


先輩「一階の席空いたよ。下降りる?」


私「おりまあ〜す。」




すると、友達がカウンターを指差し、


友達「あれ、あの人大学一緒かも。あの〜高校の先輩だよ。」


私「え?どれ?」


友達「え、あれだよ、あれ。あの2人組。あ〜先輩と仲良かったんかな〜。飲みにきてるのかもね。」




私「へ〜。みたことない。」




友達「たしか、バスケ部だとおもう。まあ、うちら先輩とほぼ交流無いしね笑」



私「あんな人いたっけ?あ!先輩!一緒に飲みましょうよ〜。」


忙しそうな先輩に絡んだ。




先輩「久々やね。なんかおつまみ頼む?」


私「あの〜前来た時に食べた、カリカリのビーフジャーキーみたいなの、ないですか?」


先輩「あ〜今日もうそれ終わったわ〜。」


私「じゃあピスタチオで。」


先輩「全然ちがうおつまみ急に頼むやん。笑

即決なのね。笑 」


友達「あ、先輩〜あそこに座ってるのって、同じ高校ですよね?」


先輩「そうそう。この後飲みに行く。お前らも行く?」


私「えー!いいんですか?」


先輩「聞いてみるわ。


いいってよー。」


私「やったー!高校の先輩に良くしてもらうの憧れてた〜。」


先輩「いやいや、俺だいぶ良くしてるよね?笑」


私「そおでした笑」







そんなこんなで、みんなでカラオケへいった。



もう私も友達も出来上がっている。


飲みっぷりのいいわたしたちは、どんどんハイボールをあけていく。


初対面に近い先輩たちにも学生のようなノリで

ハイボールを飲ませる。


いくら飲ませても潰れない。


つよいなあ。


こんな日があってもいいよね。


なんて騒いでいると、1人の先輩が、耳打ちをしてきた。




先輩「お酒つよいね。」


私「もうそろそろ限界がきそうです。笑」


先輩「笑 みんなよく飲むよね。このメンツ笑」


私「まだまだ飲み足りてなさそうですね?」


先輩「もういいって笑 名前なんてゆうの?」


私「。。。こはるです。」


先輩「へ?こざる?」


私「こはる!!!笑 なに子猿って。笑」


先輩「いやいやごめん。笑 こはるか。」


私「先輩は?なんてゆうんですか?」


先輩「ゆういち。」





綺麗な顔、、、

前髪でよく見えてなかったけど



私は飲みすぎたなーと思いつつ、カラオケの部屋の隅の方に座った



もうこの謎メンツは揃わないだろうな〜


そう思いながら大盛り上がりのカラオケを眺めていた。


気づいたら、ゆういち先輩が隣にいた。




ゆういち「こはるは、何してる時がしあわせ?」




急に?なんの質問?




はあ、考えるのめんどくさい。


私「幸せなんて、ずっと感じてない。」


ハッとした。

素をだしてしまった。


先輩はきっとさっきまでの明るい飲みっぷりのいい私と話したいんだ。



私「あー、みかん!みかん食べてるときがしあわせ〜」


満面の笑み。これでいい。

また「笑顔がいいね。」「悩みなさそ〜。」


なんて言われて、明るい子。好印象。


なんだよ私。結局いつも通りじゃん。



ゆういち「幸せじゃないの?どうして?」




びっくりした。

一気に酔いが冷めた気がした。




心の奥底で言って欲しかった言葉を

言われたような気がした。







私「なんでかわかんない。笑」


ゆういち「ちょっと水飲みに行く?散歩しない?」


そう言うとゆういちはカラオケに夢中な先輩達に一声耳打ちして


ゆういち「いこうか」


と私の腕を掴んで外に出た。



ゆういち「寒いね〜。」


私「さっむい。笑」


ゆういち「おでんたべたくなるね。」


私「たべたーい!」


ゆういち「あ。みて、おでん屋さんだ。笑」


私「あー!ほんとだー!行く?笑」


ゆういち「行こう。」


私「え。いくの?」


ゆういち「おなかすいたよ〜!食べよ!」


今の顔、まゆげが八の字になってた。可愛い。



カウンターで席に着くなりすぐ、肩をすくませながら


ゆういち「ほお〜あったか〜なにたべたい?」


優しい笑顔を向けてきた。なんだかすっごい嬉しそう。この人こんな顔するんだ。ていうか、表情豊か。

さっきまで馬鹿騒ぎしてて、名前も知る気すらなかったのに。



私「えっとー、じゃあ〜だいこん!」


上にあるメニュー表を見ながら答えた。


ゆういち「だいこんね!あ!だいこんひとつと巾着ひとつください!あとは?」


私「あ!あたしも巾着!」


ゆういち「じゃあ、巾着2つで。」


ゆういち「はあ〜!」


と手を顔の前ですり合わせながら寒そうに

でも優しい笑顔で私の顔をみてくる。



私も自然と笑みがこぼれる。



するとすぐにおでんが出てきた。


私「わあ〜」


ゆういち「たべよ〜」



細身だし綺麗な顔してるのに

食べるときはがつがつ食べるんだな〜

よっぽどおなか空いてたのかな



おでんで頰を膨らませながら

眉をひそめて喋りにくそうに


ゆういち「たべて。おいしい。」



私「いただきまあ〜す。ふん、ほいしい。」



ゆういち「美味しそうにたべるね。笑」


私「。。。



よく言われる。」




小さい頃から美味しそうに物を食べるね。って言われてきた。

好きじゃないものまで期待に応えようと美味しそうにたべた。



嫌な自分を思い出した。



ゆういち「嫌なの?そう言われるの。」


私「え?顔に出てた?笑」


ゆういち「一瞬怒った顔した。」


私「怒った顔。笑 別に怒ったわけじゃなくて、こう、言われすぎて嫌。みたいな。そんなの無い?」




なんだかよくわからない。

この人には、いつもの計算高い、打算的な私を出さなくてもいいみたい。




もう何も考えたくない。今は。




そうやって自然と気持ちを委ねていた。



委ねざるを得なかった。


丸裸にされた気分で、もっと剥がして欲しい。


そう望んでた。




ゆういち「あー。あいつらから電話だ。戻ろっか。」


私「うん。」


ゆういち「さみしい?」


私「へ?」


ゆういち「いや、ほら、今なんかちょっと寂しそうな顔したかな〜って思って。笑」


私「寒いから外でるのやだなって思ったの。笑」



そう言いながら私は

心をすぐに読みとる彼を



優しい人だな。と思った。




カラオケに戻ると何人かはもう寝てしまい、


先輩がしっとりとバラードを歌っていた。



先輩「そろそろ帰りますか。はい、帰るよ〜」



私はべろべろの友達を起こし、お金を清算し、タクシーに乗るみんなを見送っていた。



家は歩いて帰れる距離だから、寒い中、酔い覚ましにちょうどいいやなんて思ってふと振り返ると



まだゆういちがレジにいた。



私は気づかないふりして歩きはじめた。



ゆういち「こはる、歩きなの?」


小走りで白い息を吐きながらゆういちがきてくれた。


私「うん、近い。」


ゆういち「危ないし送るよ。歩こう。」



私は思った。

ゆういちは私を抱きたいのかな。

家の前まで来たら

「上がってもいい?」

なんてゆうのかな。



体から始まる恋なんてないよって、聞いたことあるなあ〜。




どうしようかな。。




そんなこと思いながらゆういちのフード姿を半歩後ろから見つめながら



男見る目ないし、

たぶん家にあげてしまったら

今までの自分と変わらない。



そう、私は簡単に身体を許す。



求められたらよっぽど嫌じゃないと



受けいれる。



ロマンチックを求めるくせに



心と身体は矛盾だらけ。



わたしは嘘だらけ。



昔父親によくいわれたことがある。



「お前は嘘をつかないところが、良いところだ」



私がどうしたいのか、どんな人間なのか

分からなくなった。



平気で嘘をつくのに。自分の心にも他人にも。




私は卑怯で臆病。



だから本当はこうしたいっていう

自分を見ないふりして

楽なほうへ流れていく



どこにでもいる女。



変わりたいって思うたびに

涙してきたのに。



その上、惚れっぽいって致命的。



そんな自分はわかってる。




嫌気が指してる。



優しいと思ったゆういちも



憎く思えてくる。



私「あ、ねえ。1人で帰る。」



ゆういち「なんで?」


私「私のこと抱きたい?」


ゆういち「。。。」


私「そーゆー気分じゃないから1人で帰る。」


ゆういち「。。。」


なんなの、無視?


危ない。私ってだめだなあ。すぐ運命とか感じる。

向こうは今日初めて会った人。

簡単かよ。私。



もうはやく帰ってねよ。



ゆういち「本当に夜道危ないから。送らせて。」


私「家あがらない?」


ゆういち「上がらない。」


私「ふ〜ん。」


ゆういち「でも、もしこはるがいいなら、まだもっと話したい。」


私「話したい?」


ゆういち「うん。俺明日休みなんだ。」


私「で?笑」


ゆういち「うん。だから、映画でも見ない?」


私「私の部屋で?」


ゆういち「僕の部屋でもいいよ。」




どうしよ。。行きたい。。




私「じゃあ、ポップコーンとコーラ買いに行こう。」






今日はもうなにも考えたくないの。























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