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牛さんナメんなよ!!マジ痛い目みっから!!!

BLだ!!

何処までも何処までもそうらしい……

正直へこむな…。

苦手、知らないなら見るなよ。純粋なあの頃には戻れなくなるぞ。


「……あ……………………ゴメン。」




……目の前には床に尻餅をつく金髪、白いパック牛乳、液体。


ヤバい。確かコイツ、この学園でもかなりっつーか物凄く有名な………


「………。」


「ヤッベ……マジゴメン!!制服牛乳まみれだし!!!」


オレは勢いよく謝った。だって、コイツすげー人気あるし、ファンとか怒らせたら後が怖いし!!目ぇつけられたらお終いだ!!


ファンって言う事から分ると思うが………コイツかなりの美形だ。アレだ、華だ、華。学園の。


「おい〜、勇二何やってんだよ〜。あーあー、我が私立泉院学園一の美形、山下尋貴サマに牛乳ぶっかけちゃったのか〜。………オレ、苛めあいたくねぇし、お前の友達やめるわ。」


説明口調お疲れ。後、例え冗談でも友達やめるとか言うな。オレ寂しくなったら死んじゃうよぉ!!………んな訳ねーっての。ぐしし。


「ハァ?黙れ純也。元はと言えば諸悪の原因はお前だろ!!?…………全く。悪いな、山下。着替えあるか?」


オレは未だ尻餅をついたままの山下に手を差し延べた。山下は無言でオレの手を握り、立ち上がった。


「……ない。」


……なんだ?要件だけかよ。っつーか、山下さっきから全然喋らねぇし。単語しか言ってねーじゃん。やっぱ怒ってんのかな……?そりゃそうだよな。だって牛乳だもん。衣類に付いたらカメ虫よりキツいってーの。



…そもそも、どうしてこんな事になったのかっつーのが問題なんだ!!


原因は、オレ……じゃなくてやっぱり純也なんだよ!!全く、余計なマネしやがって!!!




これは、昨日の放課後の話だったりする。


オレは、純也と放課後の教室で、部活やってる友達を待ちながら二人寂しくポケ○ンをやっていた。


「よっしゃああぁあぁあぁあっ!!!またオレの勝ちだぜ!!ずっとオレのターン!!!」


「煩えぇえぇええぇ!!!黙れええぇえぇえ!!!!つうか純也氏ねぇえぇえぇ!!!オレはまだ負けてない!!もう一回やるぞ!!!」


………思いの他、盛り上がっていた。


オレ達は久々のポケ○ン、ケーブル、通信、愛、勇気とかが一気にバーッってきたから一時的に精神年齢が年相応じゃ無くなっていた。




「だああ〜!!また負けかぁ!!!」


「っていうか、レベル差20あんのに勝てる訳ねーっての。オレはこの瞬間のために昨日完徹したんだからな!!!」


畜生!!物凄く悔しいぜ!!!


「あーっはっはっはー!勇二がゴミのようだ!!!」


ヤッベェ、超ムカつく。


「んで、お約束どうり、罰ゲームな。」


「は!?絶対嫌だ!!!」


オレ達はポケ○ンを始める前、一つの約束をしていた。


―――負けた方が、学校の自販機にあるだーんれも買わない牛乳を買って、飲む事。



そして、次の日、つまりは今日、の昼。


「あああぁあぁああぁ〜……オレの110円……。」


がちゃん、がちゃん


ピッ


ガラガラガタン。


「ほら、飲めよ勇二!!!」


畜生、純也の晴れ晴れした顔が、血祭りに上げたいくらいにムカつくぜ。


牛乳のパックは、下手な牛のイラストが描いてあって、なんと言おうか……作ってる人には申し訳ないが、物凄くダサい。


「酷い羞恥プレイだ………。」


流石長年に渡りこの学園で罰ゲームに使われてきた牛乳なだけある………猛者だ。


道行く人全てに笑われてる気がするぜ!!


「何やってんだよ、早く飲めって。」


純也………氏んでしまえ!!!


「しょうがねぇな〜。」


純也はオレからパックを取り上げ、ぷつっ、とストローをあの銀色の所に差し込んだ。


「ほれ、飲め。」


ずいっ、と前に出された牛乳パックを見つめながら、オレは溜め息を吐いた。


「わぁったよ。のみゃいいんでしょ〜。」


早く飲み終わって、この状況から脱出したいしな。


「ホレ、イッキ!イッキ!!」


純也が後ろで飛び跳ねながら煽り立ててくる。


「煩ぇえぇえぇえぇい!!!ちょっとは黙れんのか!!!」


オレは一気にストローを咥えて、中身を吸った。


「うわ!!?」


ドン。


後ろで飛び跳ねていた純也が、バランスを崩して倒れ込んできた。


「は!!?」


オレの目の前には人。


「危な………!!!」


 


………んで、今に至る。


だから、山下が牛乳被ったのは、オレじゃなくて純也が悪い。これは間違え様のない事実だ。


「おい、純也。教室からオレの体操着とってこい。」


「お、おう。」


ちょっと怒ったような声を出すと、純也は直ぐに走り去って行った。


……思ったより素直でびっくりだ。


…まあ、アイツは何だかんだ言ってオレに依存してる所があるからな。宿題とか、宿題とか、宿題とか、テストとかだ!!……思い出したらイライラしてきた。畜生、これ位当然だ!!!


オレは近くの手洗い場で、持っていたスポーツタオルを水で濡らした。


「山下、服脱いだ方がよくねぇか?体に臭い付くぞ。」


「…あ、ああ。」


山下は制服のカッターシャツを脱いだ。通り掛かった野次馬が、小さく歓声を上げる。


……いや、本ッ当、イケメンは何やってもサマになるよな。なんだその無駄のないキレイなボディラインは!!アレか?モテないオレへの当てつけなのか!!?………くたばっちまえ!!!!


「……どうした……?」


ハッ!!


「い、いや何でもねぇ!!か、体ふいてやるよ!!!」


アンタへの嫉妬で意識飛んでました。なんて言えるかボケぇえぇえ!!!



……本当は自分でふいてもらう予定だったんだが。


オレは山下をベンチに座らせて、牛乳のついた腹の辺りを濡れタオルでふいてやっていた。


山下は山下で、オレにされるがままといった感じで、自分でふくと言い出すタイミングを完全に無くしてしまっているようだった。


……今からでも遅くない!!!自分でやると言ってくれ!!!何でオレが野郎の腹なんざふかにゃならんのだ!!!


「おーい、勇二ぃ〜!ジャージ持って来たぞぉ!!…………!!」


……そんな驚いた顔で見んな。オレだってやりたくてやってる訳じゃねぇんだ。成り行きだ、成り行き。


「ゆう……じ………アンタ何てふしだらな!!………お母さんアンタをそんな、出会って間もない男とイチャつくような子に育てた覚えはありません!!!」


「………オレはお前に育てられた覚えがねぇよ。逆に脳細胞育ててやったろ?」


まあ何て口の悪い!!と、キイキイ声を上げる純也を完全スルーして、山下に体操着を渡した。


ああ、体操着っつっても、ウチの学校の場合学校指定がねぇから、ジャージは自由。オレのはナ○キだ。


「すまんがこれで我慢してくれ。多少汗臭いかもしれんが……牛乳よりマシだろ。」


「ああ、悪ィ。」


山下はオレからジャージを受け取って、肌の上から直に着た。鎖骨が見えてセクスィー、だ。



「本当悪かったな、山下。シャツは洗濯して明日返すから。」


「え?ああ、すまん。」


「何で山下が謝んだよぉ、悪いのはコ・イ・ツ。気にすんなってぇ。」


純也ぁあぁああぁああぁあ!!!


悪いのはテメェだあぁああぁ!!!


「ああ、いつもは体育館裏で飯食ってるから、そこ来てくれるか?オレもジャージ返さねぇといけねぇし。」


山下は少し俯いていた。指で掻く頬がほんのりと赤い。


ほんのりと赤い?


「了解っす…………なぁ、山下。」


「ん?」


「お前風邪ひいたのか……?」


だとしたらマズい!!!この学園にオレの居場所が壊滅的になくなってしまうじゃないか!!!


「そ、そんな事ねぇよ!!じ、じゃあまた明日な!!」


山下は何故か顔を真っ赤にして走りさってしまった。


つくづく意味の分からない奴だ。


「っつーか山下ちゃんと喋れるんじゃん。」


始めの無言は何だったんだ?


「……あ、勇二!!もうすぐチャイム鳴るぞ!!!」


「マジか!?じゃあ教室帰るか……。」




 

……その後帰った教室で、オレは女子と、一部の男子から、総無視を食らった。


ちょっ!!!


オレ何も悪い事してねぇじゃん!!!!



 

 

 

 

 

「山下。」


次の日、つまり今日の昼(このフレーズ二回目だな)、オレは体育館裏に来ていた。勿論シャツの返還のためだ。


「ああ、仙台……。」


仙台って誰かって??………オレに決まってるじゃねぇか!!!


「昨日は悪かったな。コレ、シャツだから。」


「ああ、コレ、ジャージ。ありがとな。」


相変わらず、何故か頬がほんのり赤い。マジこいつ風邪ひいてんじゃねぇのかと思う。しかしクラスどころか学校総無視食らうのは辛いから敢えて言わない。


「……………。」


しかし気まずい。


山下のお友達がぜんっぜん喋らねぇ。お友達っつっても、二人。これまた美形で有名な桃時蓮斗と、木野誠。ここまで美形が揃ってると物凄く居辛い。しかも何かやたらとガン見してきてるし。何か怖えぇ!!


「わ、渡すもん渡したし、オレ帰るな。」


気まずすぎて立ち上がった。そそくさとその場を立ち去ろうとした。


「ちょい待ちぃ!!」


関西弁で呼び止められた。………桃時だ。


「な、なに……?」


「そんな逃げるように行かんかてええやん。ちょい話そぉ?」


な、なにを話せとおっしゃるのですか!!?


「そ、そうそう!!僕達何か本当に友達少なくてですね……。」


敬語は木野だ。


「い、いや、友達なら成りたがってる人なら一杯いるって……。それに、オレ今から残った課題やらなきゃいけないから……。」


オレは、三人にくるりと背を向けた。


「仙台!!!」




山下に腕を掴まれ、止められた。


山下は、自分の行動に驚いているかのように、少し目を見開いていた。


「な、何だよ……?」


オレが尋ねると、山下は顔を一気に赤くして、俯いた。


「……な、何でもねぇ……。」


「何もねぇなら呼び止めんなよ……。つーか手ぇ放して?」


「わ、悪ィ!」


山下が手を放したから、オレはじゃあなと手を振って走り出した。……こんな意味わかんねぇ奴等と一緒なんて、凡人のオレには荷が重いって!!!


後ろの方で、少し言い争うような声がするのは、きっと、きっときっと気のせいだ。


この瞬間、一連の牛乳騒動は幕を閉じた!!やっと開放されるぜ!!!


……しかし、それにしてもオレには山下の態度が理解出来ない。アイツ、この前見た時はフツーに皆と話してたぞ?何でオレの時だけどもるんだ?


見た目とのギャップこの上ないっつーか。山下は、見た目不良系なんだよ。金髪だしな。あ、因みに俺は黒毛和牛だぜ!!……あ?突っ込んで欲しいのが見え見えだって?…………氏んでしまえ!!


おっと、話が大分逸れちまった。山下が不良の話だったな。人は殴ったりしねぇみたいなんだけどさ。ちょっと悪っぽいって言うか。ピアスの穴開けてるし、制服着崩してるし。…まぁ制服着崩すくらい誰でもやってるけど。背とかも高ぇし。良い体格してんだよな………。性格はクールってカンジで。んでもってイケメン………。


モテねぇワケねーっての。


……………ヤベ……何かちょっと泣けてきた。




「勇二ぃ!!お前何処行ってたんだよ!!!オレ超ーー退屈だったんだからよぉ!!!」


教室に戻るなり、純也に抱き付かれた。


「お前のまいた種の処理してたんだよボケ!!!ひっつくな暑苦しい!!!」


今ちょっと疲れてるんだからそっとしといてくれ!!


すると、純也はしゅん、として俺から放れた。なんだ?やけに素直だな、気持ち悪い。


「……お前、何かあったのか?」


ルギア掴まえ損ねたとか?


「………帰り話すわ……。」


……どうやら深刻な話らしい。暗い話じゃなかったらいいんだけど。ホラ、何かと居辛くなるだろ?


「おう……。本当大丈夫か?」


余りにも異常だと思う。俺が心配すんのも無理ねぇって分かるだろ?しおらしいんだ、純也がだぞ!!?


とにかく、決戦は放課後らしい。


………それまで、昼寝でもしていようか。





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