WildGirlと魔物達
まじか…
俺の心の叫びは叫ぶ程の気概もなく、只々目の前の森に消え去った。はずもなく
「いやいやいや待て待て待てぇぇぇぇぇ!!!」
俺は!確かに!ゲームをしていた筈なのだ!!目の前に森が広がる用な状況だったとはどう頑張っても言えはしない。精々、窓から見えるコンクリートジャングルのガラスに映る緑に休まらない心を如何にか癒していた程度。その程度の自然としか向き合っていなかったのだ。
それが目の前に森である。正確には周りに散乱した何かの死骸と鬱蒼とした樹々に囲まれた肥沃な………
樹海?
「ナニコレコワイィイイイイイ?!返して!!おウチに返してェェェエエエ??!」
俺には周囲に広がる光景を目にしてサバイバルライフを繰り広げられる余裕は無い。
手元には武器すらなく、衣類はゲームの初期装備、いわゆる下着状態だ。
ん?初期装備?……コレ、女物じゃね??声もいつもより高い気がしないでもない。
「そそそ…そんなバカな!!」
気付くべき所はそこでは無い。問題なのはこの衣類が、ゲーム内の見慣れた物だということだ。
コレはゲームの中なのか?運営は何をしているんだ。
ユーザーをこんな樹海にほっぽり出すのが今回のアップデートなのか?
何より寒い。当たり前だ。此処は樹海で、俺は下着オンリーの露出狂状態である。
縋る思いで口にする。
「これがゲームなのならば!!頼むから開いてくれよ!!メニューオープン!!!」
下手をするとただの痛い子である。どう対応して良いかも分からない。
ただ、天はまだ俺を見放さなかったらしい。原理は不明だが目の前に何かが浮かんでいたのだ。
「板?いやコレ、メニューっぽい!なんて書いてるか分かんねぇけど…」
ただし、日本語でも英語でもない、いっさい見覚えのない文字の羅列であった。
「ゲームと同じなら1段目がステータスだよなぁ…日本語でおk…ってマジか……」
日本語だった。見慣れた日本語でメニューが開かれてた。日本語最高。
おもむろにステータスをタッチした。
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名前 noname
性別 ♀
職業 村人
称号 〈最果ての森の住人〉〈到達した者〉〈極めた者〉〈忘却せし種〉
LV. 1
HP. 99999/99999
MP. 9999/9999
STR. 999
DEX. 999
INT. 999
AGI. 999
LUK. 10
SKILL. 〈爆声〉
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数字の暴力だった。
「どうすんの!!!!!!」
閑静な森を揺るがす爆音が響き渡った