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ロストマジックメランコリー  作者: 葉嶋深殊
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ロストマジックメランコリー~ディスパイア~

この世界は人間が中心ではない。


……人間よって生み出された機械が中心になってしまっている。


それが何を意味するのか……――


20XX年……。


スマホなどとうの昔に廃れ、『質量の持たない画面』を売りにするエアーフォンが主流の時代。


この時代、人間を機械化するという技術が発達した。


人間の一部を機械化する技術は人々の生活を豊かにする、という理由から人権的にも許されるようになった為だ。


高速化する物流。


金も実物資産としてはなくなった。


人間の機械化は『買える能力』として進んでゆく。


人間の神経は、より電気を通す銀や銅の素材に代えられた。


しかし、人間を機械化するにはある程度の成長が必要な為、成人した人間にしか施せない。


故に子供だけはちゃんとした人間の姿だ。


一人の少年は思った。


機械に飲まれてゆく人間は醜い、と。


終身雇用が復活したとかなんとか。中学生の彼にはまだよくわかっていないようだが。


少年は白い髪をかきむしる。


勿論彼は終身雇用が復活する前の時代を知らない。


……企業は入社した人員にプログラムを配布する。


表は企業マニュアルプログラム。


……中身は社蓄化プログラムと言っても過言ではない。


「人間は機械に飲まれている」


少年は廃機械が山積みにされた空き地でパンをかじりながら呟いていた。


……戦わなければならない。


……機械に操られている人間を解放しなければならない。


父さんや母さん、姉さんは機械に飲み込まれた……。取り戻さなければ。


「……?」


少年のパンを持つ手に僅かな熱を感じた。


――刹那、少年の手からパンが消えた


「――手伝ってあげよっか?」


彼は声のした背後を振り返ると彼と同じ年ぐらいの暗い色に身をつつんだ少年が立っていたのだ。


「機械の世界をぶち壊すんだろ? 聞いちゃったよ。 むしゃむしゃ、うめぇー」


独り言をまさか誰かに聞かれていたとは、と白髪の少年は恥ずかしくなり機嫌を悪くしながら機械の山に座ってパンを頬張る少年に言う。


「僕一人でやる! あと僕のパンを返せよ! ……っていうかどうやって盗んだんだ?」


パンを飲み込んだ少年はにっこりと笑った。


「魔法」


「……まほー?」


「あぁ。魔法なら機械に対抗できる。」


黒いマントをビル風になびかせる少年は目を閉じ、息を大きく吸った。


「……。お前にも使える気がするんだけどな。」


「僕にも?」


「あぁ。」


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