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僕らの学校

変な姉弟

作者: もさ

僕の教室には、変な姉弟の片割れ 2-3の小川 聡、通称キノコという奴がいる。その姉弟が「変わってる」といわれる理由は、二人の話し方、考え方、性別が全く違っており、それだけならまだわかるが、苗字、出身、全然違う。見た目以外は。

顔だけはコピーしたように、そっくりなのである。


”本当に姉弟なのか”


愚問だが、なんとなく思う理由もわかる。

あまりにも違いすぎる。だが確認を取ったところで、返ってくる答えは二つとも同じ。

「そうだよ」声のトーンは違えどもよく似ていると思う。

この二人は、特に聡は俺の長馴染みであり親友でもあるからあまり気になったことはなかった。

そして双子だ。一卵性なのだから似ていて当然ではないか。

苗字が違うのは家庭の事情だとか、そんなのがよく関わってくるからあまり触らない法が良いのだろう。

ただ、この間変な噂を耳にしたのだ。


”二人がいつの間にか入れ替わっている”


しかしそんなことはあり得ないだろう。俺と奴は親友だ、ほかのやつが気付かなくたって俺は気付く。

聡の姉、2-7の宮本 小百合さん、通称雪女。

いつでも冷徹、冷静、冷淡の3冷である。その上、怪しいときた。

色白で綺麗だが、けっして笑わない。

(感情表現がもっとあればな・・・)


僕が自分の姉のことを考えているだなんて、思ってもいないだろう奴は僕の方へとやってきて「帰ろう」と笑った。

「お前、小百合さんが笑ったとこ見たことあんの?」

「姉ちゃんかー。笑わねーけど、笑った顔多分俺と一緒だぜ」

「お前はお呼びじゃねーよ」

「ひでー」

ケタケタ笑いながら自分の荷物をサッと片付けて聡と一緒に廊下へ出た。



階段を降り靴箱まで来ると、小百合さんがやってきた。

「聡、今日一緒に帰るから」

ボソッ、とつぶやき聡の横へ立った。


僕たちは今日あったこと、この前遊んだ時のこと、趣味のこと、他にも色々なことを話した。

小百合さんはしゃべってる間、一度も笑わなかった。

だが話をするのが、嫌いなわけではないようで質問をしたって返ってくるし、怒ったりもする。

ただ、笑わないだけで一緒にいて辛くなるようなことはなかった。



家に近づいてきたとき、僕の靴紐がほどけ足に絡まった。

ゆっくりと道路が近づいてきて、顔面を強く打った。

頭を上げた時、ようやくこけたことに気付いた。


「てー・・・、格好悪いなー」

「「大丈夫?」」


二人ともが足を止めて、振り返った。

(こー見ると、本当にそっくりだなー。どっちがどっちか俺でも・・・。

あれ?本当にわっかんねー、小百合さん胸ねえもんな)


ただの興味本位で僕は口を動かした。


「もしかして、お前らほんとに入れ替わってんじゃね!」


空気が凍った。そんな感じがした。

焦った顔の長髪。顔に影を落とした短髪。

「なあ、功ちゃん。驚くなよ、お前だから言ってやるよ」

「「本当はね?」」


本当に同じ声で大きさ、高いとも低いとも、男なのか女なのかにも取れない、とても中性的な声。

それを吐き出す奴らの顔は本当に瓜二つで、妖しく微笑んだ。

僕はとても怖くなった。何故か、この二人が俺の知っている二人ではないかのような気がしたからだ。


そして、

「すげー!!小百合さんが笑ったー。笑うんだなー、ふーん。」

迷わず僕は声を張り上げた。

僕が何故、声を張り上げたのか、何故二人の声をかき消したのか、二人にはわかったのだろうか。

一度目を丸くした後、僕と反対の方向に向き直し、

「そうだね。功ちゃん、帰ろっか」と聡の声が聞こえた。


その声が髪の長い方から聞こえた気がしたのは気のせいだろう。







この双子、本当は主人公でコメディーをやるつもりでした。ただ、何故か5話くらいまで書いて主人公の書き難さに気が付き急遽主人公を入れました。主人公の名前は功輔です。

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