四人を救え!
みさきの除霊をした翌日、ジョギングのために起きた龍に、朝から礼子が訴えかけてきた。
《龍君。今日は大変な事が起こるわ。学校へは行かない方がいいの。龍君の身に危険が、というより私たちも関係した何かが起こる。漠然としているけれどね 》
「礼子が言うのだから何かが起こるのだろうけれど、今日行かなくて済む問題なのかい? もし鈴木充が関係している問題だとしたら、ずっと学校に行かない訳にはいかないよ 」
僕はどういう事が起こるか不安であったけれど、避けられない事の気がしていた。
《そうよね。でも何かが起こるわ。それだけは覚えておいてね 》
「分かったよ。注意するよ 」
僕はそう礼子に言ったけれど、とても不安だった。それは僕だけの事では無くて礼子達……僕の守護霊たちにとっても関係した事らしいからだ。
不安を抱えながらも、学校へ向かう。校門についてみると、何故か空気が湿った感じがする。重い感じなのだ。益々、不安が大きくなったけれど、校門を入った。その時、僕の守護霊四人がそれぞれ声を上げる。
《あっ! やばいわっ!》(礼子)
〔結界……〕(百合子)
〈じ、磁力……〉(教授)
『ど、どうなってるんだ!』(勇次郎)
「えっ!? 何? どうしたのさ!?」
僕は驚いて皆に問い掛けたけど、返事はなかった。四人の身に何かが起こったのだろうか。
授業中も僕は懸命に彼らに話しかけた。時たま、遠くで声が聞こえるような気がするが、何を言っているのかは理解できなかった。
(結界? 確か百合子は結界と言った気がする。という事は、この学校に結界が張られている?)
僕は結界が張られていて、彼らの動きが封じられてしまったのではないかと考えた。と言うことであれば、結界の外に出れば大丈夫なのではないだろうか。
放課後、部活を休む事を顧問に告げて、一目散に校門を出た。
「百合子? 礼子? 教授? 勇次郎? みんな無事?」
すぐにみんなの名を呼ぶ。
しかし、返答はなかった。どうしたらいいのか、全く分からない。焦りが湧いてくる。その時、あの神社でいただいたお守りが、一瞬だけ熱くなった気がした。
(百合子が何かを訴えようとしているのかな? そうだ、次藤さんの所へ行こう)
次藤さん……次藤明は百合子の従姉弟にあたる人で、神社の神官をしている。以前にもお世話になった事がある。僕は自宅に帰る時間も、もどかしくて、そのまま次藤さんの元へ向かった。
(いつも助けてもらってばかりなんだ。彼らに何かが起きたのなら僕が助けなくちゃ。
勇次郎は僕の目標でもあり、今は大切な友達だ。いつものように道場巡りをしたいな。
礼子のお陰でいつも助かっている。今度、好きな甘い物をたくさん食べさせてあげるからね。
教授、もっともっと教わりたい事があるんだ。
百合子、いつもはあまり話さないけれど、たくさん話をしてみたいよ)
僕は四人の無事を祈りながら電車に揺られていた。




