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タイトル未定2026/02/09 21:38
週末になると、父はパチンコ屋の開店前から並び、夜ご飯の時間になっても帰ってこない日が続きました。
そして帰ってきたかと思えば、食卓はいつも緊張の場でした。
父は、少しでも気に入らないことがあると、夜ご飯をひっくり返しました。
自分の皿だけのこともあれば、フライパンごとひっくり返されることもありました。
母は、限られたお金の中で必死にやりくりしながら、毎日ご飯を作っていました。
それでも、食材が足りず、仕方なくカップラーメンで済ませなければならない日もありました。
理由は分からないけれど、なぜか父のアサリだけ砂抜きがうまくいかず、噛んだ瞬間に「ジャリッ」と音がすることがありました。
卵を割ると、血が混じっていることもありました。
本当に些細なことだったはずです。
それでも、そうしたことが引き金になり、父の機嫌が一気に変わることがありました。
毎日、夜ご飯の時間が近づくたびに、私は胸の奥がざわつきました。
今日は何が起こるのか。
何も起きないで済むのか。
そんなことを考えながら、息をひそめるように食卓に座っていました。
夜ご飯は、空腹を満たす時間ではありませんでした。
それは、いつ爆発するか分からない時間を、ただ耐え続けるための時間だったのです。




