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クリスマス -1

「今年は、少しはクリスマスらしくしたい」


 12月の半ばに、真知子が突然そんなことを言った。以前は互いにシフト制の仕事で、正月も夏休みも無かった。しかし、専業主婦になった真知子にとって、『毎日変わらない家の中』に季節行事を取り入れたくなったのかもしれない。


 休みの日、クリスマスツリーや、年末年始の買い出しも兼ねてホームセンターへ行く。自宅から近いホームセンターコーホクではなく、少し遠いホームセンターアメリへ行こうと、助手席の真知子が言う。2人で買い物に出るのも久しぶりなので、たとえホームセンターでも、いつもと違う店にしたかったのだろう。そう思うと、少し嬉しかった。

 駐車場に車を止める。平日の午前中だからさほど混んでいない。雨も降っているので、こんな日は屋上駐車場はがら空きなんだろうと想像できる。


 クリスマス用品の売り場は、明るい店内だというのに目がチカチカするほど電飾が派手に感じた。真知子は、数あるクリスマスツリーからどれにするか迷っている。途中トイレに行ったりしながら、かなり時間をかけて決めた。高さ1メートル以上の大きなツリー。この大きさでは、狭い1LDKの我が家に置く場所が無い。さすがに反対したが、真知子は譲らない。


「出すのもクリスマスぎりぎりにするし、終わればすぐしまう。極力、あなたに迷惑かけないようにするから」


 真知子はそう言って、僕を押し切った。


 ツリーや電飾、それに正月のしめ縄や鏡餅、あとは掃除用品。事前に決めていた物よりかなり増えていく。ちょっとしたものでも、真知子はよく吟味して選び、買い物に2時間を要した。

 おしゃれなアミューズメントショップならまだしも、こういう店でも女性というのは買い物が長いのだろうか。時々スマホを見たり、買う予定の無いペットコーナーへ小走りで消えたかと思うと、ほとんど人がいない材木コーナーの方からひょっこり現れたり。

 今日は真知子に合わせると決めてはいたが、さすがにちょっと心が折れかけた。


「ごめん、トイレ行きたい」


 駐車場で買い物カートを押している時、真知子が言った。

「荷物を積んで、たばこでも吸って待ってるね」

 そう言って真知子を送り出してから既に20分。缶コーヒーはとっくに飲み終わり、既に2本も煙草を灰に変えた。何かトラブルに巻き込まれたんじゃないかと心配になり、店内へ戻る。

 トイレの手前にあるエレベーターホール前に到着した時、脇にある階段から真知子が降りてきた。このフロアのトイレが混んでたので、他のフロアまで行ってたら遅くなったそうだ。急いで階段を走ってきたのか、真知子の頬が少しピンク色に染まっている。それに、グレーのコートが薄っすら濡れているように見えた。


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