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小説を書こう

 重い荷物を抱えたまま、玄関ドアを開けて中に入る。その瞬間、『日常に帰った』という安心感と共に、疲れがドッと込み上げてきた。


「ただいま」


 2泊3日の出張。予定では夜になるはずだったが、最終日の仕事が順調に終わり、夕方には帰宅出来た。日の入りが早くなった秋の夕方。空が暗くなり始めた代わりに、路上はネオンや車のライトで明るい。土曜日ということもあり、駅前は特に人も車も多く、煩さとまぶしさを感じるほどだ。1LDKの我が家に入ると、部屋は蛍光灯が煌々と灯っているが、妻の真知子がいない。入浴中なのだろう、洗面所の方から水音が聞こえてくる。

 テーブルに、開いたままのノートパソコンが置かれている。スクリーンセイバーが起動していないモニターが、真知子はお風呂に入って間もないと教えてくれた。


『小説を書こう』


 モニターに映し出されているそれは、「書こう系」というジャンルが確立されるきっかけとなった小説投稿サイト。1年ほど前から、真知子はここで小説を書いている。恥ずかしがって、僕には読ませてくれない。それはちょっと寂しいが、創作について興味の無い僕が真知子の趣味を侵すよりはいいのかもしれない。


 昨今、30過ぎての結婚なんて珍しくもないが、子宝に恵まれず30代後半に差し掛かり、真知子は不妊治療を受けていたことがある。それ以来、体調を崩すことが多くなった。

 不妊治療に専念するため、昨年仕事を辞めた。しかし、心身ともに負担は大きかったようで、今は中断している。その後も体調は安定せず、仕事復帰もままならず専業主婦。

 子供も仕事も出来ない。真知子はそれが辛かったようで、日に日にふさぎ込むようになってしまった。

 読書が好きで、映画やドラマの批評を始めると止まらない。感受性も強くて発想力が豊か。そんな真知子が小説を書こうを知り、自分で書くようになった。それ以来、徐々に明るさを取り戻したように思う。特にここ半年ほどは活発になり、友達と女子会だのランチだのと出歩くようにもなった。


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