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X-36 学院祭直前

帝都中央学院・中庭


今日は学院祭だ。

「運営」の腕章をつけた私は一般客公開前、各催し物の見回りを先輩である風紀委員長と実施していた。

風紀委員長、バイリー・リル・フォード、剣術科中等部の15歳。

武闘派の古家、フォード伯爵家の二女である。

少年のような茶色い短髪、無駄な贅肉の無いすらりとしたモデル体形。

すでに身長は170を超えている。

うん。塚ってる。かなりヅカってるよ。男役だよ。

一緒に歩いてると、私より彼女のほうが注目を浴びる。特に女子から。

ただ、この風紀委員長……性格がね。まんまアレなんだよね。


「いやあ、今日からいよいよ学院祭っスねー!風紀委員長として、張り切っていくっス!」


いや、もうね、馬なムスメなんだよね。

鉢巻までしてるし。

出るとこ出るとヤバイよこの人。


ヅカってるけど、会話は後輩語。

いや、そこがまた彼女を彼女たらしめる所以で、女子達の好感度が爆上がりなんだけど。

黙っていればヅカ。しゃべれば後輩。

なんだこれ。完璧か。


そんな彼女と一緒に歩くと、逆に周りはピシっとする。

普段はクリスと連携しているが、クリスは「砂漠のオアシスカフェ」の出店代表なので私が同行してる。


「……そのテンションで風紀委員長って、どうなのよ」


「いやぁ、風紀ってのは“勢い”っスから!」


「勢いで治安維持するのやめて」



・砂漠のオアシスカフェ(クリスティーヌ)


「おお〜、ここは砂漠カフェっスか!雰囲気出てるっス!」


バイリーが感心している横で、私は紅茶を啜る。


「いらっしゃいませ、砂漠の風と紅茶をどうぞですわ、バイリー先輩も是非」


クリスティーヌは優雅に接客。


「……でも乾燥しすぎて紅茶が冷めるの早いわ」


「砂漠に加湿器は似合いませんわ」


「いや、紅茶には似合うんだよ」


「委員長的には、ここで水分補給禁止っス!」


「風紀委員長、紅茶禁止令はやめて」


いやマジで。



・戦術論から求める占いのエドモンド


「未来は戦術から導かれる。君の今日の運勢は……“側面突破”だ」


暗がりの中エドモンドが真顔で告げる。

その体格でそのセリフは普通に怖いぞ。


「側面突破って……どういう意味?」


「昼食は横から攻めると良い」


「……占いっていうより軍略指南ね」


「委員長的には、これ“風紀的に難しい”っス!」


「何が難しいのよ」


「昼食を横から攻めるって、マナー違反っス!」


え?それどういう状況?

食べ方は人それぞれでわ?



・大食い大会リュディア


「筋肉は食から!いただきます!」


リュディアがコッペパンを両手に持ち、スタッフの歓声と共に消していく。

いやちょっと、本番始まる前に食べるなよ。


「……速すぎる。平均値が乱れるわね」


「紅茶はどうなんスか?」


それを聞いてリュディアは得意げに語る。


「紅茶は飲み物!カレーも飲み物!」


「委員長的には、これは“風紀的に健全”っス!」


「……どこが健全なのよ」


「食べて鍛える!これぞ学院祭っス!」


いや分かるけどね。



・学院劇(レオニス&ミレーネ)


舞台裏。

レオニスは爽やかに笑い、台本を持たずに立っている。


「いやぁ、雰囲気は整ってるっスね!」


「レオニス様、私……緊張します」


ミレーネは台本を抱えて震えている。


「大丈夫だ。私が付いている。プロンプターの件も期待しているよ」


おまえ、セリフ覚えてないんかい。

さすが他力本願皇子。


「委員長的には、劇は“風紀的に華やか”っス!」


「……風紀って華やかさで決まるの?」


「決まるっス!」


絶対に違う。



学院祭見回り記録


バイリー:ヅカ見た目+後輩口調。風紀を“勢い”で語る。

クリスティーヌ:砂漠カフェ。乾燥しすぎて紅茶が冷める。

エドモンド:戦術占い。未来は側面突破。昼食マナー違反。

リュディア:大食い大会で筋肉論炸裂。カレーは飲み物。

レオニス:劇の雰囲気担当。台本は人任せ。

ミレーネ:緊張で震える。レオニスの無茶ぶりに気付いていない。

エリシア:紅茶と皮肉と平均値担当。見回りで紅茶の温度を確認。


「皆、風紀を守って楽しんでるッス!今年は期待できるッスね!」


うん。不安だらけだよ!

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