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妙メモリー

スポンサーがついていた転校生の話

作者: みょめも

これは中学3年生のときの話だ。

東京から転校生がやってきた。

名前を財前さんといった。

艶のあるロングヘアーが特徴的な女の子で、僕らの学校の女子とは少し違う独特なオーラを纏っていた。


そして容姿もさることながら、僕らが1番驚いたのは「スポンサーがついている」ことだった。


彼女の制服には誰もが耳にしたことのあるファッションブランドや飲料水のメーカー、カメラのメーカーなどのロゴがいたるところに貼り付けられていたのだ。


「やっぱり都会から来た子は違うなぁ」


東京から来たというだけで僕たちは彼女に羨望の眼差しをおくっていた。


財前さんには自転車メーカーのスポンサーがついていた。

登校するとき必ず緑色の自転車を漕いできた。

最初はみんな「毎日自転車で来れていいなぁ」と羨ましがっていたが、それこそ雨の日でも雪の日でも自転車で来ているのを見ると次第にそんな声も聞かれなくなった。


財前さんにはサイダーのスポンサーがついていた。

給食の時間、彼女のテーブルにだけ牛乳の代わりに、炭酸が置かれる。

最初はみんな「サイダーが毎日飲めるなんていいなぁ」と羨ましがっていたが、わかめご飯と豚汁、筑前煮にサイダーなど食べ合わせの悪そうな給食を見ると次第にそんな声も聞かれなくなった。

しかし、財前さんはどんな給食でもサイダーを事も無げに飲み干していた。


財前さんはスポンサーの意向で水着NGだった。

水泳が嫌いだった僕はプールサイドで見学する彼女を羨ましがっていたが、財前さんはプールで泳ぐ僕らをいいなぁと羨ましがっていた。




そんなことがありながら1年経ち、卒業式を迎えた。

僕らは担任に名前を呼ばれ登壇し卒業証書を受け取っていったのだか、財前さんが呼ばれ登壇したとき、彼女の前に何やら見慣れないものがあった。

誰もが目にしたことのあるファッションブランドや飲料水のメーカー、カメラのメーカーの社名が、彼女の足元から頭の上にすーっとスクロールしていった。

それは彼女が登壇してから降壇するまでスクロールし続けた。

あのとき見た自転車メーカーやサイダーの名前もあった。


ようやく最後のスポンサー名がスクロールし終えると、

「ご覧のスポンサーの提供でお送りしました。」

と言い残し、財前さんは消えてしまった。


そのとき初めて気づいた。

僕らはお送りされていたのだ、と。


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