第2話悪役令嬢アザレア=ダーガー
「ぬわぁっ!?」
っ!意識が戻った。
「ほ、本当に私は転生したのか?」
思わず1人呟いてしまう。辺りを見渡すが、周りには誰もいない。信じられない豪華な物が並んでる、広さは18畳ぐらいか。そう思って部屋を眺めていると鏡のようなものを見つけたので、近づいてみる。
ロリだ、恐らく7、8歳ぐらいだろうか。
『あー、聞こえますか?ななみん』
!?
突然、脳内に声が聞こえてきた。
これは確か私を転生させた女神の声だ。
「ええ聞こえるわ、転生したってことでいいのかしら?」
『相変わらず態度がデカいですねあなたは~私は一応女神ですよ全く』
『ええそうですよあなたは転生しました、それであなたはチートがほしいだの永遠の若さが欲しいだの言って私にはできないって言ってましたよね?ふ、頭の中で自分のステータスについて念じてごらんなさい』
自分について念じる?どう言うこと?
とりあえず念じてみる。
名前
アザレア=ダーガー
年齢
7歳
特殊
能力
不老不死
並列演算
言語超越
第3の目
全回復
ハスター交流
なんか出てきた。私の名前はアザレア=ダーガーらしい。年齢は7歳、やっぱロリだ。
しかし特殊能力が凄そう、文字だけ見てもよく分からないのもあるが。
「なんか凄そうね、でも詳しい説明が欲しいわ。なんとなく名前で想像できるのもあるけどよく分からないのもあるわ」
そう尋ねると、女神は得意げに微笑んだ。
『ふ、いいですよ』
『だけど、こんだけのチートをたくさん用意してあげたんです。まず感謝の言葉があってもいいのでは?』
くっ。だが、色々能力をくれたのはこの女神のおかけだろう。
「感謝してる」
『...まあいいでしょう』
『まず、不老不死。これはあなたに永遠の若さを与えます。あなたの成長は20歳で止まりそれ以降老いることはなく無限に生きれます。もちろん病気にも罹りません』
まじかよ、じゃあ前世の時みたいにアラサーアラフォーとかの言葉の呪いから私は解放されたってわけか。神じゃん。
「マジか、ありがとう女神様」
思わず素で感謝すると、女神が嬉しそうにドヤ顔になった。
『ふ、いいのですななみん。そして、私の名前はハスターと言います。女神様ではなくハスター様でいいですよ』
「分かったわ、ハスター」
『...まあいいでしょう』
「ハスター、次の能力を説明して」
『人をsiriみたいに使わないでください。そもそも私は女神ですけどね』
「ハスター、次の能力を説明して」
『...ふー。分かりました。次の能力は並列演算です。これは簡単に言うとPCみたいなものですね、情報を記憶出来たり計算を自動できたりします。これを使えばあなたは学園で無双できますよ。そういえば、今ではイキリ女になったあなたですが高校時代は毎日ぼっち飯だったそうですね(笑)今世では友達とお昼食べれるといいですね(笑)』
くっ。こいつ私の暗黒時代を知ってやがるのか。
母親が食べ残した惣菜と酒のつまみとかを弁当箱に入れて持っていき、学校で汲んだ鉄臭い水でそれを流し込んでいたあの屈辱のお昼休みを。
『ふ、少し意地悪なことを言ってしまいましたね。今のあなたの方が可愛くて好きですよ。生意気でムカつきますけどね』
ふん。
『まあとりあえず次の能力説明しますか、次は言語超越。これは会話出来る知能を持つ生き物なら何者だあろうと会話できます。動物だろうとドラゴンだろうとね』
夢の能力だ、猫と会話したい。
『そして次は第3の目は、第3の目を閉じてる状態、つまり能力を発動していない時でも相手の種族が常時確認できます。そして第3の目を開ける、発動させると、相手の種族やその世界での役職これまでの略歴や潜在的な力を数値化して分る能力。これは私たちが色んな世界や異世界から作り上げたデータベースを元に表示される。この図鑑は、AIのようなものがいろんな世界の生物の記憶や脳から収集した情報なので、その世界で判明してる事象ならほぼ全てわかるし、家族や友人でしか分からない情報も分かることがあるわ。載ってない相手は"???"と表示される。潜在的な力と言うのは運や身体能力、魔力、魔法の練度、もしくはこの第3の目みたいないる世界に関わらず使用可能な固有能力のようなものなどを私たちとAIが作成したデータベースをもとに算出される。まあ、最高精度のスカウターみたいなものね』
つよつよな目だ!!
『でも、第3の目は10日に一度しか開かないわ。それを留意しておいて使うことです』
なるほど。
『そして次が全回復。これは怪我を一瞬で治します。なんとこの能力は死に関わるような疾患でも治せるのです」
おお。ワンダフル!!
『そして最後がハスター交流。これは簡単に言うと私と頭の中でやり取りできるって感じです。もちろんあなたの思考が私に漏れたりするわけではないです。簡単に言うと電話とかメッセージアプリみたいなものですね』
…
「この能力いる?」
そういうとはハスターは悲しそうな顔をした。ちょっと可愛い。
『...ふ、あなたは転生する時の願いを言った時に[可愛い女友達1人]って言いましたね』
…まさか。
『ふ、その通りです。可愛い女友達とは私のことですよななみん』
「あなたもしかして友達いないの?」
『...いや、まあ。いるっちゃいるけど、って感じですかね』
これはいないやつの解答だ。
「ふ、私もぼっちよハスター。気にすることないわ」
『だ、だから!友達はいますってば!』
『ま、まあとにかく!女神の私を恐れないあなたを、私は気に入ったのです』
『...だから良かったら友達になりません?』
かわいいなこの女神。
「わ、分かったわ。今日から私たちは友達よハスター。25年ぶりぐらいよ、友達が出来るのは」
『本当ですか!?ふ、私にもようやく春が来たようですね』
『さっき友達いると言ったのですが実は私、3000年ほどぼっちだったのですよ。久々の感覚ですねこれは』
3000年、、、
「ま、まあこれからは私がいるわハスター。てか友達なんだから敬語やめたら?友達ってそういうもんじゃないの?」
『っつ。ななみん』
嬉しそうな顔でこっちを見てくるハスター。かわいすぎるこいつ。
『でもいきなりは無理なので少しずつタメ口使います』
かわいい。
てかこれで一応能力の説明は終わったけど、私はこの世界で何をすればいいんだろう。
「てかハスター、これから私この世界で何すればいいの」
『唐突ですねななみん。まあ寿命もないんだしとりあえず気ままに生きればいいのでは?あーでも気をつけてくださいね。あなたは全回復があるから完全に死にさえしなければ回復出来ますけど、普通に外傷では死ぬんで。だから、あなたの能力目当てで来る人たちに殺されないよう強くなってくださいね。』
気をつけてなんとかなるもんなの?
「それなら、なんか攻撃系のチートも欲しかったわね」
『それが無理なんですよ、私も攻撃能力皆無なので』
そうなの?女神って強いと思ってたんだけど。
「...ハスター、あなた弱いの?」
ハスターはくっ!と悔しそうにした、
『...まあ弱いですが私は不滅なので問題はないです。だから、もしあなたが殺されそうになったら私を呼んでください。決死の攻撃であなたを助ける努力をします』
『3000年ぶりの友達を死なせてくないので』
くっ!この女神可愛い。
「ふ、分かったわ。てかハスターは呼んだら来れるの?」
『その時いた場所にもよりますが数時間~1日あれば基本いけます。でも時空間移動はかなり疲れるのでふざけて呼ぶのはやめてください、怒りますよ』
「流石女神ね、じゃあしばらくは私はこの世界で気ままに生きてみるわ」
「ちなみにだけどもし私が人間や生き物を殺したりしたら怒る?」
『なんか悪いこと考えてるんですかななみん』
「そういうわけじゃないけどさ」
『別に怒りませんよ、私は友達のあなた以外の人間とかどうでもいいんで。なんなら2人でこの星を滅ぼして2人だけの楽園を作ります?(笑)』
そうなんだ、人間を守るのが女神の仕事かと思ったけどいいんだ。楽園は作らない。
「なるほど、じゃあ好きにやらせてもらうわ。色々ありがとうなハスター、なんだかんだ言ってあなたは私の恩人よ。落ち着いたらお茶会でもしましょう」
『!?お茶会、それは楽しみですね。』
「ええ、私もしたことないけど想像で言ってみたわ」
『ふふ、楽しみにしてますよななみん』
『自由に生きればいいと思いますが、敵は作りすぎないように。あなたは不老不死で色んなチートもありますが普通に死ぬし攻撃能力もないので、賢く生きてかつ魔法や武術も学ぶことをおすすめします。まあ友達からのちょっとしたアドバイスです』
「分かったわ、ありがとうハスター。また会いましょう」
『ええ、またね、ななみん』
その会話を最後に、ハスターとの交流は途切れた。