(五)ゴーグル少年と魔女少年
お前は何を言ってるんだ、と思われたかた。
正しいです。主に後者へですよね(自分で)
今回は二点だけ、どなたかのお話の種にしていただければとまとめてみました。
少しだけですが、ゆるりとどうぞ。
1.ゴーグル少年
スチームパンク風ちびキャラ少年です。
走りながらゴーグルを装着して、めざすは自分の飛行機なのかな……?
ちびキャラだからこその手軽さで描けた、初めて世界観の一枚でした。
2.男のこの魔女
文字部分は要らないな……と思われるかた、いつでもメッセージやご感想で教えてください。
フリー挿絵としてのご使用の場合のみ、取り払ったものを追加で記載します(*´∀`*)
ちなみに、私の妄想はこんな感じでした。
* * *
――日が暮れた辺境の森。
男は獰猛なオオカミの群れから逃れつつ、一心に“魔女の庵”を探した。
この地には、永遠を生きる秘薬の魔女の伝説がある。男はそれだけを頼りにここへ足を踏み入れたのだ。
「くっ、どこに……。頼む、居てくれ。でないと、父が」
オオカミの爪で抉られた箇所の服は破れ、じくじくと痛む。
何度か群れの襲撃を受けた。手持ちの剣と松明で応戦したが、後者は突破口をひらく際、奴らに投げつけてしまった。おかげで今はこんなに真っ暗だ。
おまけに大きく張り出した枝は頬を打ち、木の根が足をとる。しかも空腹だった。
故国を理不尽な理由で追放された。
長かった旅も、もう終わりなのかもしれない……こんなころで。
はぁ、はぁ、と苦しい息が続く。肺は悲鳴を上げている。蒼い闇に大樹のシルエット。眼の前にわずかにひらけた草地があり、月明かりが差していた。
男は樹にもたれた。
オオカミに追いつかれる前に、息を。もちろん逃げおおせるほうがよっぽどいいが――
自嘲の笑みを浮かべたときだった。
パキ、と地小枝を踏む音がする。ハッと音のほうを見遣った。
(!)
すわ、新手の獣かと身構えたが、そうでもないようだった。唸り声もしなければ飛びかかる気配もない。目をすがめ、もしや人かと誰何する。
「誰だ」
「誰って。あんたこそ誰さ? 一人? なんでいんの」
「え、お、俺は」
カラカラの喉がひきつるほど驚いた。
とくに警戒心を感じさせず、ざくざくと近寄るのは小柄な人物。声が若い。少年だ。
大きなとんがり帽子を被っていて、ゆったりとしたマントかローブをまとっている。
男は礼を失さないよう、できるだけ居住まいを正した。
「俺の名はクロウ。旅人だ。その……連れが、病に倒れてしまって」
「連れ?」
「父だ。町の宿屋に寝かせてる。俺は、父の病を治せるのは魔女しかいないと聞いて、ここに」
「――は?」
足音が止まった。眼の前に少年がいる。
きれいな顔立ちだ。濃い色の帽子と服に映える金の髪は短く整えてあり、気の強そうな眉が透けて見える前髪はさらりと光を弾く。
「えっ、それは……魔法か? 明かりが。まさか君は」
――――女の子なのか、という問いは辛うじて飲み込んだ。
もはや、少女か少年なのかわからなくなった相手は、呆れたように嘆息し、目尻を吊り上げている。
「オレがこの森の魔女だよ。いや男だけどさ」
「男」
「男で悪いかよ。で? 質問を変えるぞ。あんたは、なんで、こんな夜中に森でうろうろしてんだ。死ぬぞ? 父親、そんなに具合悪いのかよ。急ぎか?」
「えっ、あ、あの」
彼の持つ細い棒状の杖からいくつもの明かりが生まれ、あたりを照らす。
いまやくっきりと田舎に相応しくない美貌をあらわにした存在に、クロウは気圧された。ぽつり、と「迷子になりました」と呟く。
とたんに、少年あらため魔女の眉が跳ね上がった。
「……迷子? バッカじゃねえの。家くる?」
「はい。お願いします」
体格に似合わず、しょぼん、と肩を落とすクロウは、こうして幸運とまみえた。
* * *
私の場合は青年が相手でしたが、ひょっとしたら女性かも。同じ年頃の少年かも。壮年かも老人かも――
たくさんの可能性があると思いました(*´艸`*)
ではでは、ご覧くださり、ありがとうございました。
おそまつさまでした!