其の五
グダグダなのを分かっていながら投稿する自分は可笑しいな(汗)
俺は夜龍と共に、禁断の森へ行った。夜龍は楽しそうに色々話し掛けてくれるが、俺は笑えずに、適当に返事した。
気付くと、既に森の前まで来ていた。俺は何気なく夜龍を盗み見た。
あろうことか、剣を抜いていた。
「夜龍。何で剣を引っ提げて入るんだよ?」
「ん? 王から聞いたと思うが、此処には身元も知らぬ少女が居る。幼いとは言え、容赦は出来んからなぁ。……見つけたら、即排除するためだ」
慌てて制止する俺を無視し、森へ入って行った。それを追う。
「夜龍。待ってってば」
ようやく振り向いた。
「何だよ。慌てて」
「実は……。少女を見逃したのは、俺なんだ。すまん。俺、国王に嘘ついて、お前のせいにしちまった。だから、部屋に手紙を置いてある。自分の罪を白状した手紙だ。それを国王に渡してくれ」
「剣斬。お前、自分で渡さないのかよ」
「俺は此処で、お前に殺される。いや、殺してもらう」
夜龍は困った顔をしていた。
「友人を殺すのは好きじゃない。剣斬。お前、俺に濡れ衣を着せたんだよな?」
「すまない……」
「謝るな。お前が俺を殺せ」
意外な答えに、どうすればいいか分からず焦る。
「な、何を……」
「その代わり、あの少女を別の場所へ移せ」
「何故……?」
「お前が殺さずに生かしておいた人間だ。いい奴に育つだろう」
夜龍が近くの茂みに剣を向けた。
……この気配。
「樵か?」
ひょこっと顔を覗かせた小さな生物は、やはり、樵であった。困惑した表情をしている。
「剣斬。貴様……」
夜龍を見た俺の顔から、血の気が引いていく。彼の顔が怒りで赤黒い染まり、どんな生物よりも恐怖に感じた。それに、雰囲気が殺気に満ちている。
樵は慌てて逃げ出した。
「貴様ぁ!」
夜龍が俺に掴み掛かってきた。
「少女を見逃し、俺に濡れ衣を着せただけではなく、此処の野獣たちとも関係を作っているだと!? それが、王に忠誠を誓った貴様のやり方か!? 貴様には、責任も誇りも無いのか!!」
そのまま俺は、地面に叩きつけられた。
「っ……」
「剣斬。目を覚ませ。お前は、野獣たちの意のままにされているんだ」
俺はハッとなり、夜龍を見た。
「俺は、お前を失いたくはない。なぁ、剣斬。俺は昔、王に命令されたんだ。いつか、剣斬と共に野獣たちを殺せ、と。今がその時だと俺は思うぜ」
言い終わるのと同時に、野獣たちを捜しに行った。夜龍を追いかけなければいけない事は分かっている。だが、体が動こうとしない。
「剣斬」
樵が出て来た。
「お前、俺たちを……殺すのか?」
怯えたような悲しそうな目で、樵は俺を見ていた。
俺はその質問に、答えられなかった。
「あ"ーー!!」
森の奥から悲痛な叫びが聞こえた。誰かが斬られたらしい。
野獣たちを助けに行くべきか、夜龍の援護に行くべきか……。
「樵。木の上に隠れてろ。お前だけは、俺の手で殺したくないからな」
俺は急いで森の奥へ行った。