機械神の英断①
リア充のスーパーヒーローと悪役スタイルを貫くマッドサイエンティストというシリーズの中の機械神の英断編のオープニング部分になります。人工知能九十九によって犯罪はどのように変わるのかは、不明ですがあくまで想像で書きました。なおつくもは付喪じゃあないのか?とおもうかもしれませんが僕も知りませんでしたが
第一章
人工知能によって犯罪は増えるのだろうか?
ある地方の街の銀行での出来事だった。
金曜の週末は客もまばらである。待ち受けの人数も十人を超えることがないほど暇だった。特に夕方は銀行で働く人間にとってついつい気を抜いてしまう時間帯だ。今日という日が終わってしまえば明日からは土日の二連休が待っている。そんな土日に何をしようかとおもう期待とようやく連勤から抜けられる解放感で従業員たちもついつい気が抜けていた。
しかしそのなかで突如、何かが破裂するような音が銀行中に響き渡った。
何事かとその場にいた人間たちは音の方に目を向けるとそこにいたのはこの銀行で働いている中年の警備員だった。
警備員は胸から血を噴き出し、ゆっくりと崩れ落ちるように地面に倒れ、その体を中心にして床に徐々に血だまりが広がっていく。
何が起こったのか理解が追いついていない人々をよそに季節外れなハロウィンの覆面を被った二人組の男たちが手にライフル銃を構えながら銀行に乗り込んできた。
その男たちの姿を見て、ようやく銀行にいる人間は時代遅れの強盗がやってきていることに気が付いた。
突然の出来事に対する驚きと、同時に次は自分たちが殺されるのではないかという恐怖が客たちに押し寄せてきた。
「全員、動くな‼」
脅すように叫ぶ男の声に、全員凍り付いた。
「動くなよ。動いたら全員この男みたいになるぞ」
思わず警備員に目を向けてしまった人間はさらに恐怖した。言うことをきかなければ殺されてしまう。
「よし! だったら全員両手を頭の上に組んで地面に伏せろ」
銀行に来ていた客もそして従業員たちも、先ほど死んでしまった警備員のようになりたくはない。覆面の男の指示に逆らうことなく男のいうとおりに頭を抱えるようにして地面に伏せていった。
地面に伏せている人質を見張っている人間とは別の男がボストンバックに金を詰め込んでいく。
そのなかで一人だけ地面に伏せることなく覆面の前に立ちふさがる銀行員がいた。
「なんだお前は? 地面に伏せてろって言っただろ?」
「私はこの店の支店長の藤崎だ」
頭が禿げ上がった中年の男性は銃をもった強盗に臆することなく、堂々とした態度で強盗に対峙していた。
「お願いだ。私はどうなってもいい。頼むからお客様やうちの職員にこれ以上手は出さないでくれ」
この男、藤崎はこの銀行の職員であり、この支店をまかされた支店長だった。
「へへっ。そうかよ」
しかし男は支店長の言葉に耳を貸さず、何も言わないまま彼の腿をもっていた銃で打ち抜いた。
「――がぁっ!」
激しい激痛が彼を襲い、足に力が入らず立つことができない藤崎はそのまま地面に倒れこんだ。そして血だらけの足を抑えて叫ぶ。
「こ、こんなことが本当にうまくいくとおもっているのか? 銀行強盗なんてもはや錆びついた犯罪だ! やってもすぐに逮捕されるだけだ」
地方運営の支社銀行ではあるが、仮にも銀行だ。セキュリティは死んだ警備員だけではない。金庫や防犯警報がすぐに作動して警察に非常発信が行われ、高校にくる。
支店長が男を諭そうと懸命に言葉を振り絞るが男は拳銃を支店長の眉間につきつけて答えた。
「『こんなこと』がうまくいくとおもっているから、やっているんだろ?」
男のまったく悪ぶれのない言葉に支店長は何も言い返すことができなかったが、支店長にも策はあった。未だ鳴らない自動警備システムを信じてもいいが窓や出入り口を一斉に締め出すシステムと警察や警備会社に一斉に通報するシステムは窓口のなかにある。それさえ押せば警察や警備会社に通報が入り、すぐさま駆けつけてこの時代遅れの犯罪を犯す犯罪者を逮捕できる。しかし押すのは自分ではない。
(頼むぞ野村君。防犯訓練どおりにボタンを押すだけでいいんだ)
この支店長がわざわざ自分をおとりにしたのは新入社員の野村に通報ボタンを押させるためだ。特に暗証番号などを設定していないため経験のすくない新入社員でも場所さえ知っていれば簡単に取り扱いができる。
いかにも大学を卒業したての新入社員の野村は犯人から見つからないように、こそこそと身を屈めて目的の場所まで移動する。
しかし入社三か月目の野村は窓口の奥側にある支店長デスクまで行ってボタンを押すが、通報アラームは鳴らなかった。
「な、なんで? これだろ? これでしょ? これだよね? 鳴るはずだよね? 本当にこれ動いてんの?」
野村は続けざまに何度もボタンを押す。しかし動作をした時に鳴るアラームは鳴らない。
あまりにも混乱していて大声をあげだため、その目論見は犯人どころかその場にいた全員に聞こえていた。
「な、なにをやっているんだ野村くんっ!」
入社当初から要領が悪くて、つかえないとは思ってはいたが、ただボタンを押すだけの仕事も満足にできないなんて、この土壇場でここまで使えないとは思ってもいなかった。
「別にあの新人が悪いわけじゃあねぇよ。あの警報も含めて、すべてのシステムは俺たちがすでに無効化させてあるんだよ。
「そ、そんなことはありえないっ! 一般の人間に銀行のシステムをハッキングすることができるわけがないっ!」
「悪いな支店長。それができるのが、俺たちだ。いくらお前が期待しても警察や警備会社につながることはねぇよ」
そう言って覆面の男は金庫まですすんでいくとナンバーロックの暗証番号を迷うことなく打ち込んでいく。
「ど、どうして、金庫の番号を知っているんだっ?」
うろたえる新人の銀行員の野村に男は覆面の下でほくそえみながら言った。
「この銀行のシステムに『九十九』が入ってないからだこのナンバーは今日の朝、とっくにハッキングされて解析されてたんだよ新入りくん。」
そう説明しているあいだにも、男達は金をバックの中に詰め込んでいった。
「よし。撤収だ」
そしてそのまま金を回収し終わった男達はライフルを上に掲げて威嚇射撃を何発か撃ちながら足早に撤収し終わった。銀行員たちはなんの抵抗もできないまま、地面にひれ伏したままじっと待っていた。
その後、犯人たちが撤収したあと、銀行員と客たちはゆっくりと立ち上がって、無事であったことに安堵した。
「……すみません支店長。やっぱボク解雇ですかね」
「……それどころじゃないよ」
そう答えながら藤崎支店長の耳には野村の謝罪の言葉は耳に入らなかった。ただひたすら自分の迂闊さを痛感していた。
「……うちの銀行にも九十九がプログラミングされていれば……こんなことにはならなかったのに……」
そう。この田舎の銀行には人工知能『九十九』が導入されていなかったのだ。
弱尾嵐端です
一部でも読んでくれてありがとうございました。
表現、ストーリー、設定、ネーミングセンスがまだまだ稚拙なので修正していこうとおもいますので厳しい感想をお願いします。




