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TS兄貴!  作者: ヒロメル
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第五話 TS兄貴!ワタシの兄貴が可愛すぎる

授業が終わり真衣と共に帰宅中、家の方向に視線を向ける。


『兄貴、聞こえるか?』

『ひゅい!?』

『ワタシだ、兄貴に女を教えてもらう為、今日真衣を家に連れていく』

『ほあ!?へぇ!?』


真衣と話をしながら、同時にワタシは自宅の方にいる兄貴に話かける。

ちなみにワタシの声は兄貴にしか聞こえないようにしている。

犬笛、やモスキート音にも近い、兄貴音だ。

兄貴はスマホを持っていないから仕方がないので訓練したのだが・・・訓練した甲斐があった。


「それで?従妹ちゃんの名前はなんていうの?」

「名前か」


そういえば考えた事も無かった。

兄貴は兄貴だからな、しかしこういう時に困るのか。


「サクラだ」

「へぇ桜ちゃん」


確か兄貴のやっているゲームではそんな名前を付けている筈だ。


『という訳だ兄貴、真衣の前ではワタシ達兄弟の従妹、かつ名前はサクラになった』

『へあ!?』


さっきからまともな言語を聞き取れないが、まだワタシの聴覚を調整する必要があるか?


『何で真衣ちゃんが!?嫌だよ!というか何でその名前知ってるの!?』


どうやら上手くチューニング出来たようだ。

しかしやはり嫌か、兄貴はベテランの引きこもりだからな、そう答えられるのも想定はしていた。


『そうか、ならばやはり断っておくか・・・ワタシとしても兄貴との空間に邪魔者が入るのはあまり好ましくないからな』

『・・・・・・・・・・やっぱり良い、頑張る』


どういう心情の変化だ?だが兄貴にしては良い兆候だし、これを見逃す手は無い。

折角なので、兄貴の引き籠りも少しづつ改善していこう。


ニヤリと眼鏡を上げていると、真衣がワタシに並走しながら頬に指を当てている。


「でも、急にウチが行ったらビックリするんじゃないかな?」

「問題無い、連絡は済ませている」

「へぇ~?いつの間に」


今である。

俺は眉を顰めてジト目を送って来る真衣から視線を外す。

何かの間違いでこの兄貴音を盗聴でもされたらマズイ、ワタシのようなごく平凡な学生でも習得にそこまで時間はかからなかったのだから、真衣が習得していないとも限らない。


これで準備は整ったのだが・・・。


ワタシは目につけているコンタクトレンズ型カメラを注意深く観察する。


「今は誰かと話している様子は無い・・・か・・・」

「え?急にどうしたの?」

「いや、少しな」


忘れられない悪夢を見た日以降、兄貴の事が心配なあまり製作した防犯コンタクトレンズ。

今はカメラをリビングにしか仕掛けていない、兄貴の部屋にも設置したいと思っているのだが。

それは・・・兄貴のプライバシーの侵害になりうるのではないか?と踏みとどまった。


兄貴が火傷をした時は全速力で戻ろうとしたが、ちゃんとした対処をしていたので何とか早退せずにすんだ、シベリアからとってきた氷も役に立ったようで良かった。

しかし兄貴が朝と昼に食器を洗浄していたのを見た時は感動で授業中に涙した物だ。

ちなみにトイレの回数は10回、少し頻尿気味か?


だが問題はそこではない、今日の昼間に兄貴の部屋から兄貴の声の波長が見えたのだ。

いや、兄貴の物だけではない、複数の男の声も一緒に・・・だ。


兄貴は通信機具等持っていない筈だが、中には結婚、彼女等の不穏な台詞が聞こえて来たので、看過する事は出来ない。

婿に出すにはまだ早い・・・いや、今なら嫁か?


真衣と話しながらそうこうしていると、自宅に帰宅。

驚く事に、あの引きこもりの兄貴が玄関の中でもじもじしているのがわかる。

ワタシは感極まったように扉を開けると、兄貴がビクリとする。


「あの・・・おかえり、宗太お兄ちゃん」


ズキューン。

そんな幻聴が聞こえて来たような気がする。

何とか平静を保ちブリッジする程度で済んだが、あやうく心臓発作で死ぬ所だった。

どうやら兄貴は従妹設定をちゃんと実戦してくれているようだ。


そんなワタシを何か残念そうな物を見るような目で見ていた真衣は、視線をワタシから兄貴に向ける。


「はろはろ~、宗君のお友達の真衣ちゃんだよ~」

「あ、うぁ・・・その・・・」


真衣がにこやかに笑みを浮かべ小さく手を振るうのを見て、兄貴は震えながらリビングの扉に隠れ、少しだけ顔を覗かせる。


「よろしく・・・真衣ちゃ・・・真衣お姉ちゃん」


ああああああ兄貴ーーーーー!?

ワタシですら心臓発作を起こしかねなかった台詞を真衣にまで!?

いかん、このままでは真衣が死んでしまう!


「きゃー!かーわーいーい!」


しかし杞憂だったのか、真衣は兄貴を見てデレデレしているだけだ。

流石はワタシの幼馴染、まさか兄貴必殺の一撃を耐えきるとは。


どうやらワタシの人選は間違っていなかったようだ、真衣なら兄貴を立派な女にしてくれるだろう。


「立ち話もなんだ、兄・・・サクラよ、少し真衣と遊んでもらいなさい」


こうして、第一回兄貴矯正計画が幕を開けるのであった。

さ、更に評価とブクマが増えているだとぉ!?

や、やばい、感謝の気持ちで震えが止まらねぇ・・・!

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