第十一話 TS妹!歪んだ愛
注意!今回の話は、かなりシリアス目です!
ギャグ、ほんわかをお求めの方は戻るボタンをどうぞ!
「〇年〇月〇日
本日より被検体に試験薬αを投与を開始した、投与といっても食事に混ぜ込むだけ
すぐには結果が現れないようだが、ホルモンに微弱な変化を感じる」
「〇年〇月〇日
被検体の体、完全に性転換完了、副次的産物として、人間とは思えない能力を手に入れてしまった」
「〇年〇月〇日
被検体の思考が徐々に異性のそれとなっている事を確認、引き続き観察を続行する」
「〇年〇月〇日
驚く事に、被検体の周囲の人物の記憶が改竄されつつある、被検体はまるで元々男であったかのように」
「〇年〇月〇日
非常事態発生、被検体の暴走を確認、我々は即座にここから退避、遠方からのモニタリングに移行する」
◇
眩しい程に真っ白な空間、体は宙に浮き、自分の体も見えない。
直感的に、これは夢だと感じる。
場所はいつもの我が家、兄とワタシが何か楽しそうに会話している。
あと誰か二人いるように見えるが、黒く塗りつぶされていてよく見えない。
恐らく両親だろうと考えていると、兄貴がワタシに話かけてくる。
「歌はまたテストで満点をとったのか!すごいなぁ!」
「えへへ~、お兄ちゃんのおかげだよ!」
場面は変わる。
今度は二人で花火を見ているようだ。
「わー!わー!お兄ちゃんお兄ちゃん!綺麗だねー!」
「ああ、だがやっぱり俺の妹が一番綺麗だよな」
「急に何言ってるの!」
頬が赤くなっている気がするが、恐らく花火に照らされているからだろう。
そんなワタシに兄貴が抱き着いてくる。
「うおおお!俺の妹は嫁にやらんぞーーーーー!」
「あはは、くすぐったいよお兄ちゃん」
兄貴がわしゃわしゃと髪を撫でて来るので、こしゃばくて思わず体をよじる。
「だったら私はお兄ちゃんと結婚する!」
兄貴はワタシの言葉に目を丸くすると、にへらとだらしない笑顔を浮かべる。
場面は変わる。
「うえええ・・・お兄ちゃ~ん」
「大丈夫か歌!?待ってろ、痛いの痛いのとんでけー!!」
転んで泣いてるワタシに向かって、兄貴は一生懸命おまじないを発する。
すると、本当に痛いのがどこかいってしまったような錯覚に陥る。
「うぐ・・・痛くなくなってきた・・・」
「ほんとか!?歩けるか?」
ワタシはコクリと首を縦に振ると、兄貴が差し出してくれた手を掴み家路につく。
「えへへ」
「さっきまで泣いてた癖に随分と機嫌が良いな、どうしたんだ?」
「なんでもないよー」
場面は変わる。
「お兄ちゃん・・・歌、変な物がついてる」
「な!?大丈夫なのか歌!?」
「私、もうお兄ちゃんの妹じゃないのかな?」
「・・・何言ってんだよ歌、お前がどんなになろうと、お前は俺の大事な妹だっての」
涙を流すワタシの頭を兄貴がぽんぽんと優しく撫で、ニカッと笑みを浮かべる。
場面は更に変わり、時が流れていく。
「お兄ちゃん!歌、今日もテストで満点だったよ!」
「ああ・・・そうか・・・」
「どうしたの?お兄ちゃん」
すると兄貴は少し考えたように額に指を置くと、意を決したように口を開く。
「お前は俺の弟なんだし、良い加減お兄ちゃんはやめよう、これから兄貴と呼ぶんだぞ?」
「な・・に・・・言ってるの?私は・・・妹・・・だよ?」
「何言ってるんだ?宗太は産まれた時から弟だろ?」
「!?」
「うわああああああああ!?」
ワタシは暗い部屋で真っ青になって起き上る。
とてもとてもつらい、過去の記憶。
体は汗でべとべとになり、冷や汗が止まらない。
こんな過去の夢を見るなんて、兄貴成分が足りないからだろうか?
ワタシは軽くタオルで体を拭き、お泊りしている兄貴の家に視線を向ける。
内心のもやもやを晴らすべく蛇口の水で顔を洗い、少しだけ頭がスッキリする。
「・・・歌」
呆然と懐かしい名前を呟きながら、ワタシは机の上の、レポートに視線を向ける。
【性転換薬による、被験者レポート】
誰が書いたかも不明なレポートをめくりながら、ワタシの心の中でふつふつと怒りの感情が込み上げてくる。
「こいつの・・・せいで・・・!」
ギリッと歯を食いしばるワタシの口元に血が滲む。
だがまぁ今となってはもうどうしようもない。
不幸中の幸いというのだろうか、このレポートには薬の製造法も書いてある。
完全な状態になるまで毎日飲まないと効き目が薄れてしまうので、可能な限り兄貴にはワタシの食事を食べて貰わなくてはならない。
再び兄貴が泊っている家に視線を向ける。
「兄貴・・・すまない・・・だが・・・」
ワタシの目に怪しい光がともる。
「お兄ちゃんと結婚するのは・・・私だよ」
一応何でTSしてるかの設定も考えとかなくちゃだよなーと思って執筆。
不思議パワー!で片付けても良かったんだけどね!ヤンデレ弟路線で行きます。
そして評価が更に・・・!感激で鼻血が・・・(あっ




