お化け
「そう言えばエイリア知ってる?イーズラが鼻とりお化けに襲われたんだって。夜中に城下町のはずれを歩いている時にいきなり現れた黒い影に鼻を盗られたんだってね~。こわいなあ」
クーはもう外交論議に興味がなくなったのか話を変えてくる。
「お化けですか?大丈夫ですよ。姫には私が付いています。例えお化けであろうとも姫には指一本触ることはできないでしょう。それは保証しますよ」
エイリアはウインクしながらクーに微笑みかける。
「あ、エイリア本気できいてないでしょ。本当にお化けが出たんだよ。みんなそういってるもん。イーズラなんてそのショックで外を歩けなくなったらしいのよ」
「お化けだって城の中まで入ってきませんよ。夜中に城下町のはずれを歩いたりしないかぎり襲ってくる事もないでしょう。姫も夜遊びなんかしたらダメですからね、怖いお化けが鼻を盗りに襲ってきますよ」
いたずらばかりする小さな子供をおどかすようにエイリアは言っている。
「そうやってすぐ子供扱いする」
不貞腐れたようにいうクーに、
「そんなことはありません。私は姫の事は常に一人前のレディとしてあつかっていますよ」
わざとらしく恐縮したようにおおげさに頭を下げるエイリア。
「それが子供扱いっていうの。そんな子供だましにだまされないんだから」
「姫、機嫌を直してくれませんか。そうそう、新しいお菓子を作ったのですが味見してくれませんか」
「お菓子?そんなのでごまかされないんだから」
クーはそういいながらもエイリアがサスケに持ってこさせたお菓子を嬉しそうに食べはじめる。
―お化けか。そういう話になっているなら問題ないようだな。
エイリアはホッと一息ついて一週間前の出来事を思い出していた。




