収支①
盗賊団討伐の日から四日後の午後のリサリア王宮。
エイリアは自らの執務室で盗賊団討伐の残務処理に追われていた。
今回の盗賊退治の論功行賞は王から一任されているので、エイリアの評価がそのまま王によって行われる。
この盗賊退治の真の目的から出たのか、第二近衛騎士団に所属する上位貴族達の親が根回しをしたのか、盗賊退治をしただけのわりにはそれなりの褒賞が出ている。
―おそらく後者だな。こうなってくるとバカ正直に手柄を立てた者だけに褒賞を与えることはできないか。
論功行賞ひとつとっても政治の世界から切り離せない第二近衛騎士団にエイリアは嫌気がさすが、嘆いても仕方のない事だ。できるだけ公平にしつつ、上位貴族から不満がでないように配分する。
―上位貴族が自分の息子に与えたい分は自分で決めてはじめから割り振ってもらえたら無駄な作業が減るのだが、そこまでロコツにするのは嫌らしいな。
上位貴族にも正しくない事をする事への遠慮のようなものあるらしい。
エイリアが書類とにらめっこをしているとノックの音が聞こえる。
「団長、リシューです。入ってもよろしいでしょうか」
「入りたまえ」
エイリアは答えながら書類を引き出しに収める。
リシューは任されていた物資輸送に関する報告書をまとめてきたらしい。エイリアに報告書を渡すと説明を始める。
「リシュー。本当にこれだけしか経費がかからなかったのか」
エイリアがリシューの報告を受けて拍子抜けしたように質問する。
あれだけ無駄な物を大量に輸送したのにバカに安い値段で物資を輸送できていた。これでは必要な物資だけの輸送代よりも安いくらいだ。
「はい。ベルトロッサ殿がうまく商人に交渉してくれたようです。あの方はすごいですね。私ではこうはいきません」
リシューはそのまっすぐな瞳をきらきらさせて語っている。どうやらベルトロッサの下で働いているうちにすっかりベルトロッサに魅せられてしまったらしい。
―いったいベルトロッサはどんな手を使ったんだ?この様子じゃあリシューはわかっていないだろうがここまで安くできているのはまずまともな方法じゃないだろうな。
エイリアはそう思うがベルトロッサを責める気にはなれない。まともな方法ではなくても民から徴収した税を少しでも無駄にしないですんだのは嬉しい。
エイリアが考えたようにベルトロッサの使った手は確かにまともではなかった。
なにしろ汚職で儲けたお金で輸送費の穴埋めをしたのだから。




