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踊る騎士団~騎士団長はツライよ~  作者: 東野 千介
第四章 ゆずれないもの
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説得

エイリアは無駄な事だと思いながらもカルマの説得を試みる。


「心配しなくても私は決してレナの不名誉になるような事はしない。レスタークス殿下に対しても不忠になる事はしない。このことを知ることが出来る者はいないだろう」


 「貴公も騎士だろう。戦場で死んだらどうする。その時貴公の持ち物からその宝玉が見つかるという事も考えられる」


 カルマの当然の疑問にもエイリアは平然と答える。


 「私の側に常にいる者に私が死んだ時の〔ケットの炎〕の始末を頼んでいる。その者は私の命令は絶対に守り、実行するだろう」


 「なにを甘い事を・・・戦場であればその者も死ぬ事はあるだろう」


 「その者が私より先に死ぬ事はありえない。その者には私の死んだ時の始末を頼んでいる。その者は私の命令を守るためなら何でもするだろう。どんな辱めをうけようとも命令を遂行するはずだ」 


 エイリアはいくらでも何度でもカルマの気が済むまで答えようと思っていた。


 そうすることで〔ケットの炎〕を渡さなくてもカルマが納得できるならどんな質問でも答えるつもりだった。


 しかし、先にじれたのはカルマだった。カルマは話の進まないイライラのあまりにエイリアに対して言ってはいけないことを吐き捨てるように言ってしまったのだ。


 「あの親にしてこの子ありか。国の大事と個人の色事のどちらが重要かわからないのか」


 「・・・父の事は関係ないよ」


 少しの間があってエイリアが微笑みながら答える声の冷たさにカルマは背筋を凍らせる。


 にこやかに微笑みながら答えているにもかかわらずそれはカルマにはっきりと死を思わせた。


 父の事を持ち出されたら感情的になって熱くなる事の多いエイリアだが、今はカルマに鳥肌がたつほどに冷たく心を鎮めている。


 エイリアは本当に怒った時ほどより冷静になるようにつとめている。


 冷静な態度で臨まなければ自分の怒りが正確に相手に伝わらないと考えているからだ。


 怒りで叫んだり脅したりするのは相手の判断力を奪うのには効果的だがエイリアは相手の判断力を正常なままにして自分の怒りを伝えるのだ。


 それは「私がどれほど怒っているのかきちんと判断できないなんてかわいそうだろう」いうことらしい。


 つまり、エイリアがこういう怒り方をしている時はもう後がない。


 エイリアのその態度にカルマも覚悟を決める。


―例えこの男は殺される事になっても〔ケットの炎〕を渡しはしないだろう。しかし、わしはそれを持ち帰らなくてはならないのだ。殺すことにリスクがあるがこの男を生かしておく方が危険だ。


 カルマはそれ以上語るつもりはなくなったのか剣を抜く。


 その動作には一瞬の無駄もなく、鞘から剣を抜く時にまったく音がしなかった。

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