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働くズース

 フラハの取材が終った後、エイリアはクーに戦闘報告、もといクーの話し相手をしなければならなかった。


 これは第二近衛騎士団長の重要な仕事の一つだ。


 ただ、クーは戦闘報告のようなつまらないものには興味が薄く、ヤカ村の特産品の話とお兄様の結婚式が行われる前に王宮に帰りたいというおねだりが話の大部分を占めた。


 ユニ、ミハル、フラハ、クーと相手をしてやっとズースのところにエイリアは来ていた。ズースは他の者と違ってエイリアの方から訪ねていた。


 ―サスケではないがフラハが私を小説の主人公に選んだ気持ちがわかるな。


 エイリアは本人が望む望まないに関係なく女性の相手に時間をかなり割いている自分を発見していた。


 「ズース、どうだ?」


 ズースには取り逃がした盗賊の足取りを探索魔法で探ってもらっていたのだ。


 「網に引っかかりましたよ。もう少し媒体になる者が多ければ精度をあげられたのですが、なんとかやつらのアジトをつきとめられるでしょう」


 探索魔法は一定範囲内の情報を得る魔法で、衛星となる者を周囲に派遣することでその範囲を広げることができる。


 この衛星になる者は魔法の素質がある者であれば簡単にする事ができるので、ズースが選別した魔法の才能がある騎士を盗賊の逃げた方向に向わせたのだ、


 「すまないな。君の仕事が多くて」


 「本当ですよ。楽が出来ると思って入ったここでこんなにコキ使われるとはおもいませんでした」


そういうズースの顔は楽をしていた時とは違ってやせて引き締まったものになっている。


―なかなかいい顔になったな。


 エイリアはそう思う。


 「でも、たまには仕事をしてみるのもいいものだろう?」


 「冗談は顔だけに・・・ああ、隊長の顔は冗談にはなりませんね。不気味なくらい美形ですからね。言っておきますが私はベルトロッサなんかとは違いますよ。有閑貴族としてのんびりするほうが性に合っていますね」


 堂々とさぼりたいと主張するズースだが、その作業に手を抜いたものは一つもなく、疎漏などない。やるからには徹底的にやってしまうのだ。


 むしろズースが推奨するベルトロッサのほうが仕事に不満こそ言わないものの、すこしでもその内容を楽にしようとしている。やる気をなくしかけたライサーをその気にさせたり、リシューを輸送隊長に抜擢したりと結果的に自分の仕事を減らすようにしむけている。


 もちろんそれはベルトロッサがいい加減なのではなく、要領がいいのだ。エイリアとしても後々使える者が増えるからそのやり方を歓迎しているのだ。


 一方でズースにはこのやり方はできないだろうと思っている。


 ズースのような研究者タイプは自分とその周りの少人数でする事に適している。今はズースのレベルにあった者がいないから一人でするしかないが、やがて探してやろう。


 もっとも、能力があってなおかつズースの愚痴に付き合えるような者は少ないかもしれない。そんな風に思うのだった。

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