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付文

 結局エイリアはすぐにフラハのテントに来ていた。


 第三階位以上の者には一人一ずつのテントが割り当てられており、第一階位であるフラハには当然専用のテントがあるのだ。


 「全く勘弁して欲しいわ。見てよ、この付文の山」


 フラハは山と積まれた付文をうんざりしたようににらみつけている。


 「すごいな。でも、フラハほど美しくて、なおかつ第一階位の身分ならこのくらい当然だろう」


 「それって私に第一階位があるから付文されているって事?」


 「階位と美しさの両方さ。フラハはリント家の一人娘だし、出世と美しい妻が同時に手に入るなら誰だって心が動くだろう」


 エイリアは事実を包み隠さず言う。確かにフラハがいくら美しくても階位が低ければこれほど付文を受ける事もないだろうし、階位が高くても醜ければまた同様だろう。


 「はっきりいうのね。エイリアのそういうところ好きだけど、相手によっては嫌われるわよ」


 「相手を選んで言ってるよ」


 「とにかくエイリアから何とか言ってやってよ。こういうのって軍規違反なんじゃないの?」


 「無理だろ。この様子じゃあ軍規違反してないやつのほうが少ないくらいだ。いちいち処罰していたら第二近衛騎士団から騎士が一人もいなくなってしまうぞ」


 エイリアはミハルにはなんとかしてやると言っていたくせにフラハには自分で解決しろとちゃかしている。


 「まあ、そうかもね。あなたのお気に入りたちもくれているくらいだし」


 「あの三人も出しているのか」


 フラハ「そうよ」とうなずいて一人ひとりの文章の解説をしてくれる。


 「ベルトロッサはさすがよね。今までの付文の中でも一、二を争う完璧なできだもの。たいていの女の子ならこれだけで落ちるわね。ズースもかなり高度の比ゆ表現を使っていて難解だけどインパクトはあるかな。ライサーみたいに一言好きだとしか書いてないのもストレートで女心をくすぐるものがあるわね」 

 「付文をもらいなれているフラハにほめられるなんてあの三人もなかなかやるな」


 「もらいなれているって・・・魔法兵団ではこんな事なかったわ。そりゃあ少しはあったけど、この量は異常よ」


 「魔法兵団と第二近衛騎士団では構成人員が違うからな。第一階位のフラハに求婚するにはある程度高い位がないとまずできないだろ。階位に差がありすぎると大抵親が認めないからな。逆に言えば身分が釣り合っていれば後はフラハの気持ち次第な所もあるからダメもとでアタックしているんじゃないのか?」


 「じゃあ、エイリアはこの付文の山は魔法兵団と第二近衛騎士団の身分の違いであって人格の違いとは思っていないのね」


 「まあ、うちの場合は階位云々の前に性格的にも女性の事ばかり考えている騎士が多いのも事実だけどな」


 フラハに言われてエイリアは肩をすくめる。

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