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ミハル

しばらくしてミハルが訪ねてくる。


 「エイリア様、ご相談したい事があるのですが、いいでしょうか?」


 「どうぞ」


 ユニが許可を取っているにもかかわらず、ミハルは丁寧にことわってからはいってくる。

 ミハルはテントに入って来たものの、なかなか用件を切り出さない。よほどいいにくいことなのだろう。


 「ミハル嬢。遠慮する事はないよ。どんなことでも言うといい。今日の君達の活躍に対して私はとても感謝しているのだよ」


 「活躍なんて・・・。治療しただけです」


 「謙遜する事はない。それでなにかな」


 「実は・・・私に付文がいくつか来ているのです」


 付文とは婚姻を前提としたラブレターの事だ。


 「それは・・・うちの騎士からかな」


 エイリアが遠慮がちにきくと、ミハルは「はい」とうなずいてから続ける。


 「私はまだこういう事は早いので断ろうと思っているのですが、魔法兵団ではいただいた事もありませんし、中には上位貴族の方もいらっしゃるし、どうしたらいいのかわからないのです」


 ミハルは困惑しているのを隠さない。


 「ユニは『お断りしてもかまわないのよ。あたしは全部断るしね』と言っていましたが、私は彼女と違って階位もずっと低いですからやはり心配になって」


 「なるほど。断ったからと言ってどうこうする者などいないと思いたいが、私が言うのも残念だが我が騎士団には性質の悪い者もいるから確かに後が怖いな」


 「いえ、そのような事は考えてもいません。ただ、私もなれないことなのでお断りするにしても失礼があっては申し訳ないと思ったのです」


 あわてて手を振るミハルだが、エイリアはミハルの本心を察してやる。


 「いいよ。私から言っておくよ。返事を出す必要もない。もし、それが気にひけて自分で返事を出すのならフラハに相談するといい。彼女は『お断り』には慣れているからきっといいアドバイスをしてくれるよ。階位に関係なくね」


 「ありがとうございます」


 ミハルは騎士達を抑えてくれるだけでなく、お断りのアドバイスまでしてくれるエイリアにやはり相談してよかったと思った。


 ―エイリア様って任務以外の事は考えないようにみえて、他の事もちゃんと考えてくれるんだ。やっぱり素敵だな。


 ミハルはエイリアのきれいな顔を鑑賞しながらボーとしている。


 「まだ、何かあるかな」


 エイリアの言葉で我に返って、


「い、いえ。何もありません。ありがとうございました」


 ミハルはユニと同じように逃げるように立ち去っていく。


 「ふう」


 ミハルが去っていったのを確認してサスケがため息をついている。


 「どうした?」


 「いえ、フラハ様がリンクス物語の主人公にエイリア様を選ばれたのがよくわかった気がします」


 「どういう意味だ。ってサスケも読んでいるのか、あれ」


 恋愛物のリンクス物語をサスケが読んでいるとは意外だったが、


 「ええ。私も一応女性ですから。なかなかおもしろいですよ。そういえばフラハ様がリンクス物語の取材をしたいから『手が空いたら来るように』と言っていましたよ」


 「それを聞くと永遠に手をあけたくなくなるな」


 「しかし、早めに行かれたほうが後々面倒なことにならないと思いますが」


 サスケが遠慮がちに提案すると、エイリアも「それもそうだな」とため息をついたのだった。

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