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イーズラの主張

エイリアはイーズラの元にいくと早速詰問する。


イーズラはこの度の働きの手柄話を取り巻きの貴族達にしていたところを邪魔されてあからさまに不機嫌そうだ。


「イーズラ、どういうことだ。なぜ盗賊を殺している」


「何を怒っているのですか。身の程もわきまえないゴミを駆除しただけではありませんか。私は村を守ったのですよ。褒められこそすれ、団長に叱責される覚えはありませんよ」


「そういう問題じゃない。君のした事は命令違反だ。私の命令は『盗賊はできるだけ生かして捕らえろ』だったはずだ」


「しかたがなかったのですよ。私に向ってきたし、私も自分の身を守るのに必死でしたから。みんなも見ただろう。あれは正当防衛だったな?」


芝居がかった口調で語りかけるイーズラに周りの騎士たちが


「確かにイーズラ殿の言われるとおり」


「愚かしいやつらでしたな。こちらが親切に降伏を勧めても無闇に剣を振り回して突撃してきました」


「盗賊のような下賤の者には我らの心優しさも無駄になってしまいましたな」


と我も我もと同意する。


―剣を捨てた者を取り囲んで嬲り殺したくせによくいう。しかも私への嫌がらせのためだけに殺すとは・・・。


「確かに私は命令違反と言われるかもしれませんが、それはこちらの身が安全であってこその命令でしょう?それとも自分自身の命を危険にさらしてまで盗賊どもの命を救えと?いくら団長が博愛主義でもそのような無茶な命令を騎士に出すはずがない。私はそう信じていますよ」


勝ち誇ったように言うイーズラだ。イーズラがどれだけ好き勝手しても唯々諾々と従う者だけを連れて暴れたに違いない。


―証人を捜すのは無駄か。


イーズラの態度からエイリアはそう判断する。イーズラは下劣な男だが他の上位貴族のようにバカではないから手抜かりはないだろう。

エイリアが押し黙ったのを見てイーズラは満足そうにうなずくと、さらに追い討ちをかける。


「しかし、ここまで言われるのであれば団長の隊は当然一人も殺さなかったのでしょうね」


「いやいや、イーズラ殿。団長の隊は戦いには参加されなかったとか」


イーズラの問いにエイリアが口を開く前に取り巻きの一人がすかさず答えている。イーズラ達にもエイリアの隊の失態は耳に入っているらしい。この情報の速さはエイリア隊の中にイーズラ一派の手の者がいるのを明らかにしている。


「さすがはお優しい団長だけはありますなあ。盗賊を殺すどころか、捕えることすらためらわれたのですな」


調子に乗ったイーズラがさらに追い討ちをかけようとするが、


「私も含めて処罰するさ。イーズラ、君たちも自分で言ったからには私の隊の人間を処罰するのに反対はしないだろうな。いや、むしろ君たちも処分を望んでいたと解釈するべきか。存分に処罰する事にしよう」


エイリアの黒眼が怪しく光る。


―このふてぶてしい態度は・・・そうか。


イーズラはエイリアの考えを悟って唇をかむが、すぐにとってつけたような笑顔になって話しを続ける。


「まあそこまでされる事はないでしょう。幸い村人に被害も出ていませんから。それでは私はこれで失礼しましょう」


取り巻きの騎士達は急に態度の軟化したイーズラに不満そうな表情をするがイーズラは取り合わないでその場から立ち去っていく。

騎士達は不承不承ながらもそれに続く。


―団長は処罰の名目で私の息のかかった者を排除しようとしたな。さすがに一筋縄ではいかないか。ふん、いまいましい。


イーズラは自分のテントにもどりながらもう一度唇を噛む。

エイリアの考えは確かにその通りでイーズラの疑り深さがそれを見逃さなかったのだ。


「やれやれ・・・」


―逃げられてしまったな。イーズラ自身の口から彼らを処罰するように言わせたかったのだがな。それほどバカではないということか。


エイリアは独り言の続きを心の中でつぶやくのだった。

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