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クーの私物

エイリアは無駄な荷物を運んでいる輸送部隊を眺めながらいつの間にかため息をついていた。

その憂いのある表情に気付いたクーが


「私も個人的な荷物もってきちゃったの」


と舌をだしている。


「なんです?」


クーの悪意のないいたずらな笑みにエイリアも微笑んで答える。クーが個人的な物を持ってきたとしてもかわいいものだと思っているのだ。

しかし、その数秒後にエイリアは顔を強張らせる。クーが持ってきたものは・・・。


「じゃ~ん。私が持ってきたのはこれ、〔王宮の華〕よ。その中の〔リンクス物語〕に特にはまっているの。すっごいおもしろいのよ。バックナンバーも持ってきたから後でエイリアも読んだらいいわ」


「・・・それは楽しみですね」


―〔王宮の華〕はどこまで浸透しているんだ。いいかげんにして欲しい。


エイリアは言葉にならない疲労を感じながら、馬車の中のフラハをにらみつける。


―ふふ、エイリア驚いている。でも、もっとすごい事があるんだけどいましばらくはその事には触れないでいてあげよう。


エイリアのあからさまに沈んだ顔を見てフラハは人の悪い事を考えている。


―人が悪いだなんて!私はただ、エイリアがショックを受けるのを少しでも遅くしてあげようという純粋な親切心からそう思っているのに、失礼だわ。


自分で自分につっこみながらフラハはにやけてしまっている。


フラハの不自然な笑みに嫌なものを感じているエイリアだったが、ライサーに声をかけられてそれを忘れる。


「ベルトロッサの野郎の荷物見たかよ。あいつはそこそこまともなやつかと思ったが、所詮上位貴族だぜ」


ライサーはベルトロッサの持ち込んだバラの花束の事を言っている。


「ベルトロッサも好きでやっているわけじゃないさ。上位貴族で彼だけが私物を持ち込んでなければ他の者の立場がないだろう。貴族同士の無用な摩擦を避けるための彼なりの配慮なんだよ」


「そんなもんかねえ。エイリアはあいつの事を好意的に見すぎている気がするけどな」


ライサーはぶつくさつぶやいているが、ライサー自身もベルトロッサが他の上級貴族とは違うと思っているからこそ、怒っているのだ。


「そういうライサーこそずいぶんとベルトロッサと仲良くなったみたいだな」


「ちっ、エイリアまで師匠と同じような事を言わないでくれよ」


ライサーはやぶへびだったとばかりに馬を走らせて離れていった。

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