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出陣

きらびやかな騎士達の一団が南東に続く道を進んでいる。その装飾された鎧には戦いのにおいはなく、華麗な印象しか与えない。それがリサリアが誇る〔踊る騎士団〕、第二近衛騎士団だ。


「エイリア。ピクニックみたいで楽しいわね」


「そうですね。いい日和です」


クーは姫専用の馬車の窓からはしたなく身を乗り出して、馬車の隣で白馬にまたがっているエイリアに声をかける。


「エイリアはそうしていると物語に出てくる王子様みたいね」


クーはうっとりした表情でエイリアの姿を眺めている

黒髪黒眼で白馬に股がるエイリアはこの大陸における王子のイメージにぴったりなのは間違いない。しかし、皇帝に血統が近い国でも黒髪と黒眼の両方を兼ね備えた王子は今ではほとんどいない。


「王子よりも王女なんじゃないの。エイリアの場合ドレスの方が似合いそうだもの」


ちゃちゃをいれてくるのはクーの護衛として馬車に同乗しているフラハだ。


「あ、それいい。すごいい。エイリア今度着てみてよ」


「クー姫。それは勘弁してくださいよ。フラハも余計な事をいわないでくれ」


「なんでよ。おもしろいじゃない」


「おもしろい必要はないだろ。遊びに行くわけではないのだ。まあ、遊びに行くと勘違いしている騎士もいなくはないが・・・」


三人はずいぶん平和な会話をしているが出発にあたって問題がなかったわけではない。

エイリアは後方に長蛇の列を成している輸送部隊を見てそれを思い出していた。


               *


「何事だ?この物資の山は」


エイリアは出発に先立って輸送部隊の様子を見に来たのだが、あきらかに多すぎる荷物に目を丸くする。

エイリアに問われた輸送隊長のリシューはその生真面目な顔をさらに引き締めて恐縮したように答える。


「エイリア団長、申し訳ありません。これらは騎士たちの私物なのです。必要のない物資を公費で購入する事は断固として認めなかったのですが、そのかわり作戦に必要な私物も隊で運べという要求を受け入れる事を私の一存で決めました。このことについてはいかなる処分でも受けるつもりです」


「いや、いいんだ。そのくらいの事はしかたないだろう」


―まったく、観光の旅じゃないんだから。


エイリアはそう思ったがそれは言わない。この程度のところで折り合いをつけなければあのバカどもは納得しないだろう。無駄な荷物の輸送に金はかかるが、公費でむちゃくちゃな物を買われるよりはよっぽどいい。

もっともこの考えもどうせベルトロッサあたりの入れ知恵だろう。まじめなリシューがそんな妥協案を考え出すはずがない。


―しかし、それをベルトロッサの責任にしないのはさすがにリシューだな。


真面目すぎるが、それだけに要領を覚えてくれれば将来この第二近衛騎士団を背負って立つ一人になるだろう。


「リシュー、君に頼んでよかったよ。これからもよろしく頼む。しかし、いろいろあるな」


わざと軽い感じで褒めながらエイリアは荷物を見るが、剣や鎧はまだいいほうで、屋外のゲームで使う器具や、戦戯のゲームボード、まくら、ベッド、くまのぬいぐるみまである。


―このぬいぐるみがなければ寝る事ができないといったものか?勘弁してくれよ。


あきれた顔で荷駄をながめているエイリアにベルトロッサがのんきに話しかけてくる。


「団長もどうです。団長もなにかもっていきますか」


「私はいいよ。あまり私物をもっていないんだ」


「そうですか。僕は乗せましたよ。私物。みてください、このバラの花束。フラハ嬢にクー姫、ユニちゃんにミハルちゃん、それ以外にも女の子がいればみんなに配るつもりです」


すばらしいでしょう、と自慢するベルトロッサに、


「どうでもいいが、村の娘にはちょっかいをだすなよ」


エイリアはしっかり釘を刺すのをわすれなかった

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