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踊る騎士団~騎士団長はツライよ~  作者: 東野 千介
第二章 なかまたち
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会議の後で①

「ふう」


 エイリアは溜息をつく。予定とは違い、いくつか課題が残ったもののなんとか無事に会議は終了した。


 ―クー姫のおかげだな。危うく我を忘れるところだった。私もまだまだだな。


 あそこでクーが怒っていなければ自分が怒っていた。

 そうすれば今頃この会議はめちゃくちゃだっただろう。

 しかし、その怒ったクーは会議の内容が気に入らなかったのか、すねたように口も利かずに出て行く。


 「あたし、ちょっと見てくるね」


 とフラハがその後をおいかける。


 「それじゃあ、僕も帰りますね。ここにいてもしかたないですから」


 ズースも続いて帰ろうとすると、エイリアが引き止める。


 「待ってくれ。ここにいるメンバーでもう少し、作戦の詳細について話しておきたいんだが」


 しかし、ズースは軽く手を振って、


 「ああ、お気遣いなく。僕はいいですよ。みなさんで決めて下さいよ。作戦の細部の話し合いに参加しなかったからって、仲間はずれにされたとか思いませんから。もし、他の貴族たちが団長たちの決めた作戦に口出ししてきても、その時は今日みたいに団長たちの意見が通るように考えて立ち回りますよ。なにより私も忙しいんですよ。団長に頼まれた事をするのがね」


 最後に皮肉を言って会議室から出て行くのがズースらしい。

 ライサーはまだ放心状態だ。

 エイリアもそうだが、プロビオまで正しいはずの自分を庇ってくれなかった事に悲しいような情けないようなわけのわからない気分になっているのだ。

 プロビオはライサーの剣の師でもあるのでエイリア以上に関係が深く長かった。それだけにショックが大きい。


 「ライサー。言いたい事があるだろう。言ってくれないか」


 「別に・・・エイリアのせいじゃねえよ」


 ライサーは吐き捨てるようにいうと、バン!とドアを強烈に叩きつけて部屋を出て行く。

 エイリアは後を追おうとするが、ベルトロッサが止める。


 「僕がいきますよ。前に団長がライサーを良く知ってくれって言っていたでしょう。仲を深めるいい機会です。それに頭に血が上った今のライサーには僕の方がいいでしょう」


 「すまない。頼む」


 エイリアの言葉を背にうけてベルトロッサはライサーを探すが、部屋から出るとすぐにみつかる。ライサーは勢いよく出て行ったわりにはあまり遠くに行っていなかったのだ。


 ―さては団長に追いかけてもらいたかったな。


 ベルトロッサはそう悟るが、エイリアを呼ばない。

 

 ―団長だって忙しいのだ。子供のようにすねているライサー一人にいちいちかまっていたら大変だろうと判断する。


 「ライサー」 


 ベルトロッサが呼びかけると


 「なんだ、お前かよ」


 「お前はないだろう。僕はちゃんとライサーって呼んでいるのに」


 「何か用か。ベルトロッサ殿」


 わざわざ言い直すライサーの言葉にはまだとげがある。


 「用ってほどのものじゃないけどさ、ライサーは団長に気にかけてもらっているからうらやましくなってさ」


 「俺がエイリアに気にかけてもらっているって、何の話だよ」


 ライサーはベルとロッサの言葉に意外なものをきいたという反応をする。


 「盗賊団の調査を命じてもらったんだろ。特別扱いしてもらってるよな。ホント」


 「なんか釈然としねえな。どうしてそれが特別扱いなんだよ」


 「ライサー、なんのために団長が君に調査を命じたのかわかってないのか?」


 ベルトロッサがあきれたように言う。


 「団長は君をこの作戦会議に参加させたかったが、本来作戦会議に参加できるのは第三階位以上の貴族だけだ。副長は副長だから第四階位でも参加していたけどさ。だから、調査の報告という名目を作って君を参加できるようにしたんだぞ。それも他の上位貴族からは反対の声があったのを無理に押しきったんだ」


 「別に俺が参加させてくれって頼んだわけじゃねえよ」


 「それはそうだろう。だが、団長は君を作戦会議に参加させた。君が将来この第二近衛騎士団を背負って立つ騎士になると見込んで、そのためには早くから作戦会議に参加させて経験を積ませておく必要があると考えてのことだ。いかに団長が君に期待しているかわかるだろう。君も騎士ならその期待に応えるべきだろ」


 「お前はエイリアの期待とやらに応えるのかよ。悪名高い女好きのくせに」


 「ああ。僕は団長の期待に応える。それがこの国の民のためになるからな。もっとも踊る事と女好きをやめる気はないけど」


 口のへらないベルトロッサにライサーはあきれながらもここまではっきり言いきる態度にはすがすがしいものを感じている。


 ライサーはこういうストレートな物言いこそ騎士らしいと思っているのだ。


 ライサーの様子が軟化したのを見て、ベルトロッサは本題に入る。

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