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踊る騎士団~騎士団長はツライよ~  作者: 東野 千介
第二章 なかまたち
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作戦会議①

第二近衛騎士団が盗賊団討伐の任務を受けてから五日たっていた。この五日間はエイリアの人生で一番忙しい五日間だったわけだが、六日目の今日はエイリアにとってもっとも気の重い会議が始まろうとしていた。


 作戦会議に参加しているのは、第二近衛騎士団の主であるクー、そして団長のエイリア、第二近衛騎士団に所属する第三階位以上の貴族10名(ベルトロッサとズースを含む)と副団長であるプロビオ(第四階位)、盗賊団についての調査を担当したライサー(第十一階位)、魔法兵団から借りてきたフラハ(第一階位)だ。

 

 まず、口火を切ったのは上位貴族たちだ。


 「そもそも我々がたかが盗賊ごときの退治に駆り出されるとはね。エイリア殿は栄誉ある近衛騎士団が軽く見られている事について団長として不満を言うべきだったのではないかね」


 「確かにそうですなあ。我らにそのような雑用とも言える任務を押し付けられるとは。いえ、団長に対して不満があるわけでないのですが、いささか我らが騎士団全体の名誉に関わってくる事ですからな」


 不満がないと言いながらもあからさまにエイリアに不手際があったと言いたげだ。もっともらしく騎士団の名誉などと言っているが、〔踊る騎士団〕とあだなされるほど、戦いに出てない騎士団に名誉もなにもないだろう。


 「私がいたらなかった事でこのような任務を受けたのは申し訳ありません。しかし、王命が下った以上この任務を成功させるのが第一ではないでしょうか。皆様がたには不満もあるでしょうが、なにとぞお力添えをお願いします」


 エイリアはあくまで低姿勢だ。

 これには列座する上位貴族たちもその自尊心を満足させたのか「まあ、それほどまでにおっしゃるのであれば」と鷹揚にうなずいている。これは予定されていた行動だったのだろう。王命に逆らう事はできないが、とりあえずエイリアに文句の一つでも言わねばこんな面倒な事はできないといったところなのだ。


 「それでは皆様異存がないようなので、我が騎士団が討伐する盗賊団の詳細を調べてくれたライサーから説明してもらいます」


 エイリアに言われてライサーはガタリ!と音を立てて不機嫌そうに椅子から立ち上がる。

 エイリアに対する上位貴族たちの態度の悪さが頭にきているのだ。


 「今回エイリア団長から盗賊団の調査を命じられたライサーです。この盗賊団に対しては四人の騎士が実際に戦っており、彼らの話を聞くと大規模な勢力のようです。四人の騎士は近隣の村が襲撃された時に駆けつけ、これを撃退。数は百人ほどもいましたが鎧袖一触、騎士たちが突撃すると蜘蛛の子を散らすように逃げ帰ったとの事です。その逃げ足が速かったために残念ながら取り逃がしたが、村人の安全を守る事を優先したとのこと。また、騎士達と村人に負傷した者いなかったと報告されています」


 ライサーがここまで言った時、貴族の一人が満足そうにうなずく。


 「そうであろう。盗賊ごとき浅ましき者どもは所詮その程度よ」


 「しかし、騎士の姿を見ただけで逃げ出すとは案外かわいいところもあるものよな」


 「まったくですな。やはり我らがでるほどの事でもないようですな。階位の低い者を十数名派遣すればよいわ」


 そういって笑いあう貴族たちをライサーは軽蔑にするように見て、コホンっと軽く咳払いをしてから報告を続ける。


 「しかし、私が直接村人から得た証言は騎士たちのものとはかなり食い違っています。まず、盗賊団の人数ですが四十名ほどだったそうです。そして『騎士たちは盗賊を蹴散らすどころか、剣弾かれ、馬から蹴落とされ、散々の目にあって逃げ帰っていった。盗賊たちはそれをあえて追う事もせず、村から食料などを強奪したが誰一人殺すことなく、女一人さらうことなく去っていった』と証言しています。物は奪われても村人自身には被害がなかったのは騎士達のおかげではなく、盗賊たちがあえてそうしなかったのが事実のようです」


 この発言に一座は一瞬静まり返るが、やがて会議の出席者達は大いに騒ぎ出す。

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