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キセキの価値  作者: 字書きHEAVEN
4/7

【3】

 それから約一ヶ月が経った。

 御堂さんから連絡は来ない。

 何度か進捗を先生に聞いてみたが、そのつど「役所がやることだ時間がかかるのは当たり前だろ」の一言で一蹴されてしまった。

 それにしても今日は珍しい日だ、すれ違う人たちの服のブランドが首都で流行っているものばかりだ。

 確か、先週今月の新作として発表されたものを着ている人もいる。

 何か祭りでもあっただろうか。そう思いながら僕はまた事務所に入ろうとした。

『……協会は、警察と連携し犯人特定に努める」とのことです。以上、御堂教授の会見でした』

 いつもとは違い事務所内からテレビの音が聞こえる。

 御堂さんに何かあったのか。

「先生。何かあったんですか?」

 僕は急いで中に入り先生に詰め寄った。だが、先生はテレビを消すと、「ちょっと出てくる。数日で戻る」。それだけ言って事務所から出て行ってしまった。

 何があったのだろう。先生がいなくなった事務所で僕はテレビを付けた。

 チャンネルを変えて御堂さんに関するニュースを探す。

 どうやらかなり大きなニュースだったらしくすぐに見つけることができた。

『保管協会は先日、A一〇地域から発見された本物と思わしきサファイアを紛失したとの発表がありました。原因は内部の研究員による窃盗とのことです。サファイアの持ち主はわかっていませんが、協会のセキュリティ体制について、各方面から疑問の声が上がっております』

 なんということだ。僕たちの依頼の品が盗まれてしまっていた。

 どれくらいそうしていただろう、僕は驚きのあまり少し放心していたようで、ニュースは次の話題に移っていた。

 先生を追いかけよう。きっと先生は御堂さんに直接会いに行くつもりだ。

 僕もいてもたってもいられなくなり、先生を追おうと思い事務所を飛び出した。

 事務所の扉を開けた瞬間。

 目の前に大勢の人だかりができていた。

 そうか、見慣れないブランドや服は、この地域以外からやってきた報道陣の物であったか。

 行動するのが遅すぎた。この人の海の中を僕一人で突っ切る自信はない。

 僕はすぐに中に戻り、扉に鍵をかけることにした。

 先生は数日で帰ると言っていた。信じて待つことにしよう。

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