表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

7, お天道様が許しても、俺は許さん!

穀倉地の街ベンゼルに着いた。


道中は丸無視されてのイジメが横行される。って、ほんとガキのする事だよ。姫騎士、第2王女のエスティリカも一緒になってはしゃいでるし、絶対泣かしてやる!


今回の旅の目的は護衛だが、俺にはあと二つの目的がある。一つはギルドの悪口を言いふらしてやる事。Dランクの俺に指名なんかしやがって、と、ある事ない事ぜ~んぶブチまけてやるんだ!グヘヘへ、ざまーみろー。


二つ目は金山を探すか情報を手に入れる。これは是非とも達成しなければならない。


以上、影の目的を胸に秘め、今日も何事も起きない事を祈っています。


宿屋での部屋割りでまた(・・)一悶着が起こる。


「お前は馬小屋でいいだ、ぶっ!」


勇者にビンタを張る。睨んできたのでビンタを張る。さらに腕を上げたら


「ごめんなさい、ごめんなさい……」


勇者は泣いていた。コイツの扱いはコレだな。その間、神官と魔導師の二人は揃って、両拳を胸の前で握り、見た目可愛く、「やめて、やめて」と懇願してくる。俺がイジメてるみたいでバツが悪い。


翌日みんなでギルドへと顔を出す。因みに、コイツら全員Bランクだ。どんなコネを使ったのやら。俺もBランクにする、と言われたが丁重に、頑なに、断固としてお断りをした。


ギルドでは、勇者が勇者であると言わんばかりに悦に入っていて少女たちも恍惚の眼差しを送っている。バカじゃないの?ほら、みろ。悪そうな人たちが寄ってきたー。


悪ガキどもと悪そうな3人組がヒソヒソし始めた。内容は、森に近い穀倉地でオオカミが来て農民が困っている。のでオオカミを討伐しに行こうよ。と言う事だった。


「他の人たちは?」


一応聞いておく。掲示板にはオオカミは群れで行動する為、討伐には人数を揃えるように注意喚起されていた。


「えー、勇者様だから大丈夫でしょー。」


軽く言ってくる悪者に勇者も図に乗り


「俺だけで充分なんだよっ!」


まあ失敗してもオオカミだから、ゴブリンよりちょっと強いだけだし、俺は関係ないし。ーーーと、思ったのは間違いでした。






「コラッ!勇者、先に行くな!」


「ひえェェェー」


「この、この!」


そりゃオオカミだから、囲まれても問題無く倒している勇者と、使えない神官と魔導師を守っている姫騎士がどんどん離れて行く。既に悪者3人組の姿は亡くなって、いや逃げてしまった。オオカミの数が多すぎだよ。


「あっ!?やめ……」


時既に遅し。魔導師が火の塊を飛ばした。それも沢山。オオカミなんか関係なく火の海になる麦畑。火の勢いでオオカミたちは一目散に逃げて行った。


ゴーゴーと燃える畑を目にしながら立ち尽くす俺たち。そこへ意気揚々と帰還してきた勇者。


粗方燃えてしまった畑を目にした農民の人たちは、その場に崩れ落ち咽び泣いていた。


居た堪れない気持ちで見ていた俺とは違い、勇者たちはオオカミとの戦闘に興奮したままだった。


ギルドに戻ってきて


「バカもーんっ!!」


ギルドの長にどやされる。その足で領主に会いひたすら頭を下げる。ギルドの長も領主様も、顔が真っ赤を通り越し真っ青になっていた。


損害は王家に負担してもらう事になり、俺たちは復旧のお手伝いをさせられる事になった。それから3日、針の筵とはこの事だと思う。俺たちを見る視線が痛い痛い。街中でも視線が鬱陶しい。


「次の街へ行こう。」とか言ってる勇者たちだが、領主の命令で街を出る事を禁止されてしまった。更にギルドでも身分証のカードを一時的に没収された。


俺はコツコツと復旧作業に精を出して心象を良く見せる努力をする。バカガキたちは、言わんでも分かる通りやる気ナシだ。見る間に見られ方が変わっていく。しばらくすると姫騎士も作業を真面目にし出した。理由は、王家から手紙が届き、顔が青くなっていたからだろう。


俺にも手紙が届く。いやー、いっぱい愚痴が書いてあった。


王家からの手紙で被害の規模がわかった。穀倉地の4分の1が燃えてしまった、と。王都では魔導師を火炙りにしろっ!と言う声が日増しに大きくなっている、との事だ。


ギルドでも動きがあった。せっかくBランクにしてもらったのに、もう最下位のEランクに落とされた。それが不満で噛み付いたガキ共は更なる罰則が追加されて、一人金貨500枚の罰金がついてきた。


俺?俺はコツコツと心象を良くしたから?ランクもそのままです。


領主の命令と王家の命令で復旧が終わるまで街から離れられなくなった。何ヶ月掛かるのかな~。






あれから2ヵ月。ほんと~に長かった復旧作業にも目処がたち、やっと一息つけそうだ。その間にもいろいろ問題を起こすガキどもだったが、他の、しかも善良な冒険者に迷惑をかけるのはやめて欲しい。


あれは作業を始めて1ヵ月過ぎたころ、冒険者たちの噂話しを勇者たちが拾ってきた事から始まる。


「ねぇねぇ、あのハゲがいるチームって酷くない?」


魔導師が話しを持ってきた。


「何ですか?」


姫騎士が話しに乗っていく。


「それがね、……」


要するに新人イビリをしている、と言う事だ。ーーー俺にはそうは見えない。確かに新人が一人で活動するのは難しい。だからベテランがチームに入れて面倒を見ているところが結構ある。その中でも、噂のハゲが率いるチームは厳しいので有名だった。


噂を流した冒険者は、そのチームに誘われケツまくって逃げた奴で、噂の内容も酷い中傷ばかりだ。本当に酷いチームならギルドも他の冒険者も黙ってないのに、このボンクラたちは気づいていない。


噂に踊らされ、終いには新人に声を掛けてしまう。その行為が周りの冒険者から冷たく見られている事にも気づかない。


その新人を見たときにダメなのは直ぐにわかった。


案の定、勇者たちの言葉に踊らされ別のチームに移っていく。そのチームの素行の悪さはなかなかのものだ。まあ、あの新人には合ってそうで、俺から言う事は無かった。


しばらくして、新たな新人を迎えたチームにボンクラたちはちょっかいを掛けようとしている。今度の新人は真面目で根性がありそうな有望株に見える。


ハゲのおっさんの目が期待しているように見えた。様子を見ようとしていたが、ボンクラたちは前回の結果で慢心したのか、執拗に引き抜きに掛かっていた。


そんな時、森に入った冒険者のチームが戻って来ない、と言う話しが出た。森へ入るにはある程度の実力がないと無理な事は、みんな知っている。帰って来ないチームは以前、引き抜いた新人が所属したところだ。


俺たちにも捜索の依頼がきて参加する事にしたんだが、俺の予想通りの結果になる。


チームは帰って来た。新人を囮にして。そのチームの悪行は新人の補充が激しい事。入れ替わりではない。


そんな事が起きてもボンクラたちには痛痒は感じなかったようで、また新人に移籍を進めていた。ハゲのおっさんも、他の冒険者からも嫌そうな顔をされる。


はぁー、と溜息をついて新人のところへ行く。


「おい。自分の目で見て、耳で聞いて判断しろ。本当に酷い扱いを受けているのか、噂に踊らされるな!」


俺の言葉に真剣に考える新人と、睨むだけのボンクラたち。


俺に頭を下げ新人は去って行く。ハゲのおっさんが俺を見て頭を下げていた。


それからの新人はよく笑っていたし、ハゲのチームも更に真剣に対応していた。ーーー俺の時もそうだったが、冒険者って意外とお人好しの奴が多いな。


ちなみに、ボンクラたちは未だにボンクラだった。お前ら復旧作業を手伝えよ。






やっと街を旅立つ時が来た……長かった~。


街を出るにあたり、勇者に対して罵詈雑言の嵐だった。


「二度と来んなー!」


「勇者のバカー!」


「勇者死ねー!」


「魔導師死ねー!」


俺は民衆の声を届けてあげるため、ゆっくりゆっくり馬車を進めた。石が飛んで来ないだけありがたいと思う。そんな所にあの新人が駆けて来た。そして俺に頭を下げて


「ありがとうございました!」


そう言ってまた駆けて行った。民衆の中にハゲとその仲間たちが俺に向かってサムズアップしてきた。俺もそれに答えてサムズアップで返す。そうしてこの街から旅立つのだった。ーーーと感動の話しでいいだろうに勇者たちは


「ふざけんなー!俺は勇者だぞー!」


「最低ー!アンタたちこそ死ねー!」


とか民衆とやり合っていた。ーーーチャンチャン。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ