16, ドール
ラブドールを召喚します。
今まで稼いできたお金が累計で200万円を超えていました。なのに、お前ら、幾ら使ったんだ?言え!言ってみろ!
現在の予算は113万円しかない。このままではダメだ!
ラブドール召喚!
金額にして80万円。高っか……まあいい、念願のラブドールだ。楽しみです。
出てきました!
見た目は黒髪、黒目の清楚な女の子。名前は静ちゃん。おおお、可愛いー。……で、なんで人形が動いているんだ?わっ、こっち見た?な、なんか不気味なんだけど……
人形が普通に歩いて近づいて来る。
「こんにちは、お兄さん。」
「……」
え?なんで喋ってんの……
「新しい名前をつけてね。それとエッチなことはNGだからね。」
なんですとー!その為のラブドールなのに、なんで、なんで……俺が混乱しまくっていたらポチが
「あ、それ魔核を入れてみたの♡上位精霊の魔核だから、とっても強くなってるよ♡」
「な……」
なんちゅう事してくれたんじゃー!!誰が戦闘人形が欲しいと言ったー!……俺のハーレムが、ハーレムが……
エロ本も一日かかって却下された。理由が18禁とか、俺は未成年じゃ無いっちゅうに。DVDはハードが無い。プレイヤーにテレビにバッテリーが……グヘヘ、俺の人生設計には是非とも準備しなければ。想像してたら妄想の世界に入っていた。
そんな俺を冷たい目で見ている人形とポチ。
「お兄さんっておかしいね。」
どっちだよ。おかしいって、面白いのか?へ、変態ってか?
「ほっとけ。」
俺は憮然としてそっぽを向く。見た目は可愛いのに……人形だから可愛いって思えるのに、動いちゃったら、別の何かじゃん。あーあ。
もう興味が失せてしまった。ポチも、俺の事をわかってない。良かれと思ったんだろうけど、人間じゃないし、この世界でも人間じゃないから興味が持てない。だから人形だったのに……あーあ。
名前、名前と煩い。
「じゃあ、タマで。」
「ひどー。それって酷いですよね。」
ポチが何か言ってるが、お前のせいだからなっ!人形だったら静ちゃんて呼んだのに。
ポチとタマが言ってくるが、結果は覆らない。少女のタマを見ても、うん、なんとも思わなくなっていた。
次はのぞみちゃんかな。ショートボブにボーイッシュな感じの、いや待て待て、お姉さんでもいいかな。遙さんとか瑞穂さん。おおお、金髪外人でステファニーとか……もう俺の頭の中では次の人形のことでいっぱいだった。その為にはお金がいる。
俺はギルドに向かう。またお金を稼ぐ為に。
「それで、謎の集団って何ですか?」
俺は、ギルドに入って直ぐに拘束された。今、ギルド長をはじめ、数人と話しをしている。
内容は何処そこの村が占拠された。でも、被害の報告はない。でも、領主には反抗して来る。でも、その集団は拡散している。ーーーでも、でもと、何が言いたいんだ?
「それを調べて欲しい。」
何やねん。それは俺がやることか?
「それ、冒険者の仕事何ですかね?」
「王女殿下にも推薦されているしの。」
またのじゃか……いい加減、勘弁してくれよ。
「お金、先に貰って良いですかね。」
渋い顔をする面々。だけど、ギルドは信用しない、と俺は決めている。
「別に嫌なら断りますから。」
「わかった。半金にしてくれ。」
はー、と溜息をつき了承した。依頼の内容は謎の集団の調査。それ以上は知らない。
俺はギルドを出て目的地へ向かう。場所は共和国との国境に近い村に領主が居る街。謎の集団の縄張りがその近辺で活動している、とのことだから。
本当は馬で移動したかった。今までは俺が馬に乗ってもポチは浮いてるか消えてるかだった。けど今度はタマがついて来た。二頭の馬は経費として感化出来ない。結局歩きで移動するしかない。ほんと余計な荷物を作りやがって。
まあ、道中で魔物を狩る姿を見たけど、はっきり言って気持ち悪い。145㎝の少女がステゴロで魔物を殺してまわる。もう違和感の塊だよ。ゲームやアニメでは定番かも知れないけど、実際、目にすると気持ちの良いものじゃない。
強さは、この世界で最強だと思う。お菓子のお金は自分たちで稼いでよ。
目的地の村に来た。普通の村だ。村人たちを見て……あー、そう来たか。ほとんどの人は洗脳されていた。宗教と言うもので。だって、聖女とか言ってるし。
俺の仕事は終わりだな。原因がはっきりした。
領主が居る街に来た。こっちは酷い有様だった。聖女派とそうでないものとの対立が起こっていた。で、その板挟みにあっている領主。
そして俺は見てしまった。聖女と言う少女を。
「あれは最悪だなー。」
思わず声に出してしまった。
「跪くのじゃ。」
「は、はー。」
なんじゃあれは。俺たちのアニメ文化をバカにしてんのか!責任者出てこい!
見たまんま。聖女とか言う少女は洗脳しまくって、人々を支配下に置いていた。あー、目か。あの目は普通じゃないな。なーんだ、種がわかればそんなもんだ。終わり終わり。しゅーりょー。
何故か俺は囲まれていた。あー、周りはみんな跪いていたが、俺だけ反応してないからか。聖女がとことこと近づいてきて俺の目を見てくる。
「どうしたのじゃ。跪くのじゃ。はよーするのじゃ。跪けなのじゃ。」
あああ!?うるせー。のじゃのじゃ喧しいんだよ!
「泣かすぞ。コラッ!」
「ひっ……」
聖女は泣き出した。それも盛大に。また声に出てたようだ。
囲ってた連中が襲いかかって来るが片っ端から殴り飛ばす。殴られた端から洗脳が解けてぼー立ちになっていく大人たち。その中でワンワン泣いている少女。
何なんだよ、これは……俺が泣きたくなってきた。とにかくズラかる、それしかない。
俺は王都に帰ることにした。だって、解決までの料金は含まれてないし。それにめんどくさい。
王都に戻って来た。
ギルドで見て来たことを報告するが、納得してない様子だった。まあね、宗教って神国を思い浮かべるけど、ちょっと違う気がする。どちらかと言うと、洗脳による詐欺だからね。
俺の仕事は終わったから、あとは好きにしてよ。俺はギルドを出た……直ぐに王城に呼びつけられた。
こっちが本家の、のじゃだ。気品があるように感じる。
「えーと、のじゃが……王女様が解決された方がいいと思いますよ。」
「お前は、ほんに失礼な奴じゃ。」
「申し訳ないです。」
「それで?妾が出る理由はなんじゃ。」
「その聖女は洗脳の能力を使っています。洗脳と言えば」
「公爵でのことか……成る程。」
しばらく考えていたのじゃが
「わかった。軍を出して制圧する。そして聖女なる輩は拘束するとしよう。其方も軍に同行せよ。」
のじゃがのじゃと言わない。
「やれば出来るじゃん。」
「煩いのじゃ!」
あ、また声に出てた。
それからの行動は早かった。騎士団だけの移動にして洗脳は俺が解いていった。と言うより、片っ端から触っていくだけだった。聖女は目隠しをされて拘束されていた。
実害は大したことなかったが、あの目はダメだろうね。どうすんだろ。民衆は洗脳を解いたら普通に戻り、普通の生活に戻っていった。そして聖女は王都まで護送される。
少女には辛い結果が出る。目は潰されることになったから。しかも両目だ、全盲として生きていくには優しくない世界だ。泣いて、もうしないと言ったところで信用される訳もない。
尋問の結果、公爵領であった事件に加担していたのは確定した。だが、まだ少女。主犯ではない。少女の言い分は。
「お姉様に頼まれた。」
だった。
何処の何奴だよ。まったく胸糞が悪くなる事件だった。
少女が言うには、お姉様に目を貰った。お姉様の頼みを聞いた。お姉様の願いを叶えたかった、だ。この少女こそ純粋に洗脳されていた、と俺は思った。




