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13, 結末なのじゃ

のじゃ王女はギルドでの根回しで忙しそうです。公爵様は民衆を扇動する為演説をかましています。そして俺たちは国境付近の村を襲撃します。


狼種の獣人は、やはりこの村を拠点にしていた。のじゃの兵士を連れて来たが、狼種の確保は難航する。


村を確保して捕らわれて居た者を保護したが、既に大半の人が連れ去られていた。あとのことは国の仕事だ。村に向かってくる盗賊を捕縛する為に兵士達は残して、俺は公爵領へと戻る。


ギルドでは既に動きがあり、獣人を交えた討伐隊が何組か出発していた。


2日後、成果は上々のようで、盗賊とかした狼種が4組ほど殲滅される。その中にヒトの子供が居たから、証拠としては充分だった。


これで公爵領で暴発する獣人は少なくなるだろうと思う。あとは黒幕の神国をどうするか。


「俺の意見いいですか。」


俺は手を挙げて言う。


「なんじゃ?」


「今回の事を獣人連合に全てチクったら良いと思います。それで神国を世界共通の敵にする。勇者は人類の敵だ!みたいな。」


「やり過ぎではないでか?」


公爵が心配そうに聞いてくる。


「やり過ぎですか?黙ってたら公爵領は蹂躙されてましたよね。」


「う……それは……」


「王国もコケにされましたよね。」


「う……」


「ギルドも勇者には迷惑しましたよね。」


「……そうです。ほんと、大変でした。」


「ほらー。神国は迷惑な国です。」


これで俺の仕事は終わりになる。いいことだよ。あとはみんな頑張って。


公爵領に居る獣人達には隠す事無く全てが公表された。ギルドも公表するべく動き出した。王国側ののじゃ王女もハトを飛ばしたようで、急ぎ帰還する準備にはいった。


あとは王都に帰るだけなんだけど、そうはいかなかった。


「今更暴動を起こしても遅いと思うよ?」


「そう言ってくれるな。我々も理解している。」


俺たちは暴徒たちと対峙している。獣人が領主館に攻めて来たのだ。


俺は目の前にいる獣人を見て嫌悪していた。獣人たちの中で最強種である鬣族。ライオンとか百獣の王とか、獣の頂点にいる種族である。そして……俺の家族や村の者を皆殺しにした種族でもあり、俺を甚振って捨てた奴らだ。


「あんたらみたいな、プライドの塊が雑用をしているとは、滑稽だなぁ。」


「……フ。」


最近、俺の身体に異変を感じている。妙に感覚が鋭くなってい、今なら壁の向こうを透視できそうな気がしている。理由は、なんとなくわかる。気配察知を試してからだから。


それで感じた。最強の鬣族たちが何かに縛られていることに。


「あんたら……奴隷か?」


俺の言葉に怒気を纏った視線が集中した。


最強種族を隷属させるとは、また厄介なのがいたもんだ。隷属の魔法は、まず相手のこころを折らないと掛かりが悪くなる。まあね、弱っちいヤツに命令されても、知るかボケ!みたいに反発する精神が残る。その為、強者が弱者に隷属させる、と思ったらいい。と思う。


おそらく鬣族より強い獣人は居ない。俺は見た事も聞いた事もない。それを隷属させている、更に強いヤツが存在する。


ヤバイなー。獣人を滅ぼすほどの力はヒトには無い。身体能力に差があり過ぎる。


あとはのじゃ達に丸投げして終わりって思ってたけど、これはひっくり返されるかも知れない。それにしても、どんな存在だ?勇者じゃない、確実に言える。だとしたらどんなヤツだ。


俺が思考の海に沈んでいた時、鬣族最強、いやこの世界で最強の男が前に出てきた。


「我らを隷属させた方は、神だ。」


あー、神さまはそんな些末なことしないって。と言いかけてやめた。こいつらの目、危ない宗教にハマってるヤツみたいだから。……ん?宗教、か。


あー、見えちゃった。そうかー。


この最強種族を隷属させるなんて、と思ったけど、簡単だ。獣人はバカだから、洗脳されたんだ。


俺は奴らをじっくりと見る。とにかくジーっと見つめる。


俺の視線にたじろいだのか、最強の男は後ずさる。ーーー奴らを縛っているものが見えた。隷属ではない。従って奴隷の首輪をつけていても、奴らは奴隷ではなかった。


仕方ないかー。俺は溜息をつきながらペンダントを外し男の元へと歩いて行く。男は身構えたが気にせず肩に手を乗せた。


パリン。


乾いた音がして男を縛っていた魔法が劣化して弾ける。俺には解除とか魔法に関するものは使えない。ただ劣化するだけ。洗脳も魔法の一種だ。なので俺には効かないし、俺が触れるものは劣化する。


男はきょとんとした目で俺を見ていた。俺はうんうんと頷いて


「お前たち獣人はバカだから、簡単に洗脳されちゃったんだね。」


「……」


居た堪れない気持ちになったんだね。俺にはわかんないけど、同情するよ。


男は拳を強く握り締めて俯いていた。よっぽど悔しいんだろう。……俺にじゃないよ?これで暴動も防げた。よかったよかった。


男が落ち着いたのでいろいろ説明して協力してもらい、全員の洗脳を解いてやった。ーーーなんでお礼を言わない?なんで俺を睨む。


その後、各種族の代表が集まり話し合いが行われた。なぜか、獣人は俺を睨んでいるが、それはお前たちがバカだからだろう。と声にしそうな俺をのじゃが止めた。


獣人は一旦国に帰るそうだ。何割かは残るみたいだけど。それと領主館に居る獣人の奴隷は国に戻っても奴隷だから、残るそうだ。奴隷の首輪は俺が外してやった。


それと、奴隷解放と言っていたが、これも洗脳されていた。道理で違和感を感じていたと思う。


もう全てひっくるめて俺が解除していった。


これで公爵領に対して悪感情を持った者が居なくなり、お互いが交流を始めるのだろう。


ところで獣人たちだが、なんか凄い盛り上がっている。「神国討つべし!」と。俺は知らないよ。自業自得だし、関係ないし。


こうして一連の騒動は終結することになった。


あー、ちなみに。のじゃが襲撃を受けたこと。あれはまったくの偶然でした。襲撃したのは獣人だけど、俺と同じように山脈を越えてきた連中で、偶々野盗となった。そう言うヤツは結構居るんだ、とか。


俺は深く考えてみた。


今回の騒動。のじゃの勘違いから始まり、勇者が勝手に潰れて、のじゃのへたっぴな戦略で公爵領の騒動を解決させた。しかも全てに俺が関わっていた。これ、神国が知ったら報復されるかなぁー。






王都へと無事に帰ってこれた。


その後の神国がどうなったかは、俺には関係ないので知らないよ。


ギルドはギルドで大忙しだった。なにせ統一ギルドが誕生するかも知れないから。ゲームなんかでギルドは世界共通とか言うけど、それって国と国の交流があってだからね。そこ勘違いしないように。


ヒトと獣人の確執は万年を超えて続いている。そこへ、今日から仲良くしようね。なんて通じる訳がない。


まあこれからだよ、これから。


神さまは言った。この異世界に変化を。充分変化したと思うよ。エージがヒトと獣人の棲み分けをした。今回は歩み寄りへの一歩を踏めた。俺たち良くやった、と思う。


世界を変える。イコール、内政チート。無理無理。みんな本質がわかってない。まずね、技術が無いのに知識を与えても結果は出ない。本質は、技術は知識でなく経験だから。


知識で言ってもおかしいんだよ、異世界って。金、銀、銅はお金って誰が植え付けたんだ?銅なんて利用価値がいっぱいあるのに。銅なべなんて熱伝導率最高なのに。


でも、ここで難儀な事になります。銅なべを使ったら家が燃えます。熱がこもると家の素材が乾燥して燃えやすくなる。これは経験しました。普通の家に囲炉裏はありません。中途半端な知識で囲炉裏を作り家族で火を囲んでいたある夜、天井から火が出て家は燃えました。


竃は家の外側にある事の理解がなかった。……昔の事だし。


井戸に滑車をつけたら領主に狙われました。そしてみんな死にました。


このように、内政チートは時間を掛けて秘匿或いは公開の判断も必要になる。そんなポンポンと変化していく訳がない。そんな幻想は命取りになります。


今回の報酬を貰う事出来ました。金貨620枚。概ね4カ月での収入です。多いとは思うけど、なんかスッキリしない。


のじゃはなんぞ言いたそうだった。でも、聞きたくありません。さっさとお暇しましたとも。


これからの事を真剣に考えないと、また厄介事に巻き込まれる、気がする。特に神国とか、また神国とか、やっぱり神国とか。必ず動いてくるんだろうな。はー、ヤダヤダ。

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