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12, 三度のじゃ

のじゃは今日、部屋に居るとの事で俺はポチを連れて街に出てきた。


「おー、いるいる。下手くそだなー。」


どうやら監視が付いたようだ。


「気配がわかったら楽なんだけどね。」


「気配察知のスキル(能力)、使ってみます?あんまり煩いから、オススメはしないけど。」


「なに?それ。面白そうじゃん。」


『告。気配察知の能力を付与しました。』


「お?おおお、すげぇー。あ、いるいる。3人も居たのか?……う、おェェェ!ヤバイ、マジでヤバイ。タンマタンマ……おェェェ。」


『告。気配察知の能力を解除しました。次に能力を付与する場合は532日の期間が必要です。』


マジでヤバイ!脳みそを鷲掴みにされたような気持ち悪さ、ダメだ、絶対ダメなヤツだ!一瞬で何百と言う存在が頭の中に入ってくる。これは絶対にダメだ。


「脳が活発な生き物ほど存在感があるから、人混みだと自分の意識を保つので精一杯になるんです。だからオススメしないって言ったのに。」


「最初に言っとけよ。」


あー、気持ち悪ー。それにしても、監視が下手とか言ったけどなかなか巧妙に隠れていた。1人は囮なんだな。


俺は気持ち悪さの為、ふらふらしながら街中を歩いていた。


最初にギルドへ行ったが、ここに獣人は居なかった。国境付近にある村に獣人専用のギルドがあるとか。まあ王国と獣人連合は国交を開いて無いから公には出来ないよね。


次に商店も見てまわる。ヒトがやってる店は普通だけど、獣人が営む店はなんかおかしい。対応は親切だ……けど、余りに親切過ぎないか?ーーーそう言えば獣人の受け答えもはみんな丁寧だ。俺が居た時の獣人達は粗野で力がある者を基準にしていた。こんなに性格が良かったか?


そう思うと、獣人たちが不気味に見えてきた。


「獣人は乱暴だって言われてだけど、みんな礼儀正しくて良い人たちだよ。」


街のおばちゃんはそう言う。


「おー、獣人は親切だな。」


「良い人たちだね。」


街の連中は挙って獣人を良いと評価する。ーーーこれはヤバイ。獣人の種族を見る。なんだ?コイツら……戦闘狂ばっかりじゃないか!トラに狼にクマ。みな力が全てと語るヤツらだ。


獣人でも弱者になる連中は1人もいない。そう言えば、領主館に居たのは弱者となる獣人だった。


俺は急ぎ領主館に戻った。


「ちょっと不味いかも知れません。」


俺はのじゃに報告する。


「獣人たちは何か企んでいるのかも……」


「どう言うことじゃ?」


「わかりません。でも、なんか変です。」


俺は街で感じた事を話した。


だいたい獣人って、そんなに大人しかったか?と考えいたが……またまた違和感が。だいたい獣人ってそんなに頭が良かったか?


なんだ、なんかおかしいぞ。


「ギルドで確認したい事が出来たんですが……」


「影にお任せを。」


と言って影のお姉さんが指を鳴らす。なんかカッコいい。


しばらくしたら影の人たちが戻ってきたみたいだ。……まだ影の人たちを見た事ないんだけど。


「仰る通りでござった。」


俺は天井を見上げる。やーっぱりか……今日の俺、頭が冴えてる気がする。


「だいたい繋がりました。公爵様に確認したい事があるんです、が。」


「よかろう。おい、呼んで参れ。」


影のお姉さんが部屋を出て行った。


こうなると、黒幕もいるんだよなー。状況から考えたらそれしかないけど、目的もそれなのか。そうすると、のじゃが命を狙われていたのはなんで?


「王女様。勇者ってどんな存在なんですかね。」


「妾は知らんな。ただ神国の教義で認定される存在じゃ。今更勇者に意味はないの。」


「今の勇者の前ってどんなヒトですかね。」


「60年も前の話しじゃ。王でも知らんじゃろうて。」


「あのー、王女様はなんで狙われていたんですか?」


「知らん。そう言う話しが出ただけじゃ。」


なんじゃそりゃ。誰かが話しただけで囮になったのか?俺はのじゃを見て溜息をつく。あり得る話しだった。のじゃだしな……


「お呼びですか?王女殿下。」


「まあ座るがよい。」


公爵が座る。俺は公爵に礼をして


「失礼を承知でお聞きします。公爵様は獣人が嫌いですか?」


俺の言葉に目を見開き、それから睨みつけてきた。あー、やっぱりか。


「確信しました。おそらく、みんな嵌められてます。」


「どう言うことじゃ?」


「えーと、まず獣人の派閥ですが奴隷解放に賛同していない連中は奴隷狩りをしています。それもヒトの女、子供を。」


「はい、確認したでござる。ギルドで行方知れずの捜索願いが。それと、ソウタ殿の仰った通り、盗賊の討伐依頼が7件ござった。」


「7件!」


公爵が驚いているが、その通りで依頼があっても1件か2件だろう。


「そいつらは獣人の中でも狼種で街の中で沢山店を出していました。理由はわかると思いますが、商品の輸送を行う為でしょう。次に奴隷解放に賛同する連中は、はっきり言ってクズの集まりです。彼らに信念みたいなのは有りません。」


俺は言いきった。


「トラ種は好戦的ですが執着心が無いので奴隷解放運動なんて事に興味はないはずです。それにクマ種も同じで力を示したがるだけ、そう言った奴らです。」


みんなが俺を見る。


「公爵様。獣人はいつから居ますか?」


「それは……お爺様が亡くなる1年ほど前、だったと思います。そうですね5年になります。」


「5年と言うことは勇者が認定された年ですよね?」


俺はのじゃを見て聞いた。


「まさか、お主は……」


「そうです。みんな嵌められています。」


黒幕は神国。獣人排斥なんて緩い考えではない。ヒト種至上主義が本質だ。この公爵領は生贄にされる、それが始まりになる。王国に獣人の奴隷は居ないはずがここに居る。それは狼種が連れてきたのだろう。アイツらは自分より弱い者には容赦しないから。


トラやクマみたいな最強種は好戦的でヒトが嫌いだから奴隷解放なんてものに扇動された。そしてソイツらが公爵領の奴隷解放の目的で衝突すれば、あとはヒト対獣人の戦争が始まる。


恐らく、勇者が王国の姫騎士を神国に連れて来た時に行動するはずだった。が勇者が転けたので未だに動きが無かったのではないか、と俺は考えた。


「以上です。」


のじゃは拳を握り締めている。公爵は手で顔を覆っている。そこにチリンと鈴が鳴る。2番の鈴だから壁の中だ。俺は壁を斬り裂く。そして中に居た獣人を引き摺り出した。


「これが証拠ですかね。」


狼種の獣人だった。聞き耳をたてるにしても距離があり過ぎる。なら耳の良いヤツ、と言えば犬か狼だ。


「お前たちは神国と通じてるつもりだろうけど、殲滅されるだけだ。利用されるだけ利用されて、憐れだな。」


俺が知る獣人は頭は良くない。その通りだった。


「どうしてわかったのじゃ?」


「最初に違和感を覚えたのは、街で聞く公爵様と目にする公爵様が違い過ぎでした。奴隷の女の子が走り寄って来た時に何も言わず、また手を出す事も無かった。客の前に走る侍女は居ませんよね?」


「そう言えば……じゃったか?」


「そうなんです。それに表情は心配そうでした。」


「そうですね……あの子はそそっかしいから。」


「うちの連中もそそっかしいですから。」


「なんの事じゃ。」


ん、ん、と咳払いをしてから


「問題はこれからです。この街にいる獣人は好戦的な種族です。機会があればいつでも暴れてしまう。俺としては排除してしまう方が良いと思います。がそうもいかないでしょうね。」


「そうですね。せっかく交流の場が出来たのですから、失くしてしまう訳にはいきません。」


「奴隷を解放してしまえば良かろう。」


「あー、無駄だと思います。奴隷の彼らは獣人で言う弱者です。獣人は弱者には容赦しません。」


「どうすれば……」


「とりあえず狼種は捉えます。これ以上被害が出ても不味いので。それと証拠も必要になりますから、そうですね、大々的に盗賊狩りをしますか?参加は獣人達も交えて。そうすれば盗賊が獣人だったと自分の目で確かめられる。」


俺はみんなを見ながら


「ギルドには現在、獣人は利用していないので、まずは獣人も利用出来る環境を整えることが最優先ですね。頑張ってください、王女様。」


散々ギルドを利用して俺をこき使ったんだから、今度はお前たちが頑張って仕事をしろ。

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