善悪って何かしら?
精神疾患や発達障害に対する差別、偏見が無くなりますように…と書き始めた小説ですが、やっと一番書きたい言葉が見つかった気がします。
病気は(あえて言うなら)「悪」です。
でも病気になった人は「悪」ではありません。
病原菌や苦しめるものが「悪」だと思うのです。
皆様はどう思われますか?
「じゃ、また来年会おーね〜。」
ようやく今日最後の患者さんとの「お話」が終わった。
アタシはもう長いこと、このキラキラクリニックで精神科医として働いている。
たまに手こずることもあるけど、そこそこ給料は良い。
ちょっぴり労働時間は長いけど、サービス残業じゃないし。
ここに通ってる人達に比べたら、苦しくもなんともないわね。
「じゃあね」
しっかりと、キラキラクリニックの扉を閉める。
世の中はすっかりクリスマスから抜け出して、年越しの準備を始めてる。
大きなスーツケースを抱えて駅へ急ぐ学生、お酒でご機嫌なお父ちゃん、イルミネーションを見ながら肩を寄せるカップル。
みんな幸せそうね。
良かった。
でも、不幸せな人も少なからずいるのよね。
両親を不慮の事故で亡くし、うつ病を発症した優しい息子さん。
酔っ払いに殴られ蹴られ、適応障害になってしまったイケメン。
過労死ギリギリまで働いて、睡眠薬の過剰摂取で運び込まれてきた女の子。
そんな彼らを少しでも楽に、
欲を言えば幸せにするのがアタシの仕事。
もしかしたら世の中の人は、発達障害や精神疾患に
偏見や嫌悪感を持っているかもしれない。
無差別殺傷事件みたいな凶悪犯罪の犯人が
障害者だったりすると、無理もない話よね。
でも1つだけ、知っておいてほしい。
発達障害や精神疾患でも一生懸命働いて、もがいて、
生きている人がいるということを。
うつ病よりも、ご両親が亡くなった事故を引き起こした
あおり運転の方が悪なのではないかしら?
適応障害よりも、「駅員なら殴ってもいい」「サービス業には何してもいい」「お酒を言い訳にすればいい」という考えは悪くないのかしら?
薬物の使い方よりも、五体満足で生まれ愛されて育ってきた健常者をなぶり続け、おかしくなるまでこき使った企業に間違いはなかったのかしら?
「患者さんは被害者だ!!絶対悪くない!!」なんて
言うつもりは無いわ、彼らにだって欠点はあるもの。
悪の原因が変わらなければ、悪い結果は生まれ続ける。
あら、アタシとしたことが暗い話になっちゃったわ。
皆さん、良いお年を♡