第4話 町
*第4話 町*
「ねぇあれ…!」
奏が小さく見えた物を指差した。
「まっ、町よ!町が見えた!」
「依鈴、そんなに焦らなくても…」
依鈴は走り出す。
「だって久しぶりに私達以外の人と会えるのよ?早くいきたいじゃない」
振り向いて笑った。
「…そうだね。早く休みたいし。皆で走ろうか!」
夾は皆に聞く。
「いこういこう!」
「…」
「どうしたの?泉?」
「別に」
「夾、泉、奏早く!」
依鈴は浮かれたように走っていく。
「お姉ちゃん、早いよ!」
奏が慌てて追いかける。その後ろを泉と夾は走る。
町はとても活気づいていた。
「町よ。この世界で初めての…」
依鈴は辺りを見回しながら言った。
「ちょっと、あんたたち」
「はい?」
いきなり、御婆さんに話しかけられた。
「あんたたち、見ない顔だね。どこのものだい?」
「俺達は選ばれし者で王宮へ向かっているところです」
夾は前、長に教わった通りに言った。聞かれたらそう答えるように言われていたのだった。
「え…選ばれし者?お前達が!?なら卵を見せてみろ」
「た、卵って…あっあれか」
4人は一斉に卵を取り出す。
「その卵は本物じゃな」
そう言うと、御婆さんは周りに聞こえるような大きな声で叫ぶ。
「おーい、みんな。選ばれし者がきたぞー!!」
「なんだと!」
周りで声を聞いた人たちが4人の周りに集まってきた。
「ほーう、お前らが…」
そう言って、周りの人たちは4人を見つめる。
「あの…僕達、宿をさがしているんですけど、どこかありませんか?」
夾は人だかりに聞いた。
「俺んちに来たらいい」
男が名乗り出た。
「そりゃいい。選ばれし者たちはそこなら安全だ」
周りが口々に言った。
「ついてこい」
夾達は話し合った結果、泊まらせてもらうことにした。
夜になり、4人は部屋で明日からどうするかを話し合っていた。
「明日はお買い物にいこうよ!食べ物とか足りなくなると困るし…」
奏は言った。
「そうだな。薬とかも買い足しておかないと…」
「じゃぁ、明日はお買い物ね!」
依鈴はとても嬉しそうだった。
「でも、買い物をしたら、すぐに出なければいけないな。時間がない」
泉が静かに言い放つ。
その時。
コンコン。
ノックの音が聞こえた。
「はーい」
依鈴が元気よく答えた。
「町長があなたたちとお話がしたいと来ています」
「あっはい。どうぞ」
ドアから御婆さんが入ってきた。
「あっ、昼間の!」
泉を除く3人が声をそろえて言った。
その御婆さんは昼間、話しかけてきた人だった。
「ちょっといいかね」
「はい」
御婆さんはベットに腰掛けた。
「お前達は、フリュー族の者から何処まで聞いた?」
「えっと、この世界の事と、選ばれし者について少し」
「では、卵について何も聞いておらんな。みんな卵を出してみろ」
全員が卵を取り出した。
「その卵は、選ばれし者の証じゃ。そして、お前達1人1人のパートナーじゃ」
「パ、パートナーですか」
「そうじゃ。その卵はお前らの勇気で孵化する」
「勇気ですか?」
泉が質問をした。
「そう。たとえば、お前達が仲間を助けたいなどと思ったときだな」
そう聞いて泉はまた一つ疑問が浮かんだ。
「じゃぁ、戦っているときに沸いてきた力は何なんですか?」
「それはパートナーが自分の力を貸してくれているのじゃ」
「パートナーの力は各々違うからな。戦っていればそのうち分かるだろう」
夾は1つあることに気づいた。
「もしかして、パートナーってドラゴンのことですか?」
「よくわかったな」
御婆さんは心底驚いたような顔をした。
「なんでそんな顔をするんですか!」
夾は少し怒りかけた。
「いや、なんとなくな」
「…」
「パートナーか」
依鈴は楽しそうに言う。
「どんなのがでてくるんだろうね、奏」
「そうだね」
2人はとても楽しそうに話していた。
「話はこれでおわりじゃ。お前らは王宮へいくのだろう?なら、明日でたほうがいいぞ。そろそろ竜巻が発生する時期だからな」
「わかりました、ありがとうございます」
御婆さんは静かに出て行った。
「衣料品と、食料と…」
「私はこれとーあれとー」
「依鈴、無駄な物は買わないでよ…」
4人は市場に買い物に来ていた。
依鈴が持っているのは罠用の物だった。
「それ何に使うの?」
奏は不思議に思い、聞いた。
「え?これはお肉を食べたくなったときになにか狩ろうかと思って…」
「ちょっ、いらないから。肉とかちゃんと買ってくから!」
「なーんだ。つまんないの」
夾は依鈴をなだめるのに必死だった。
「泉、こんなもんでいいかな?」
「いいんじゃないか」
たくさんの荷物を持って宿に戻り、荷物をまとめた。
「よし、みんな準備はいいか?」
「いいよー」
宿を出たところで町長に話しかけられた。
「お前達、この世界を頼んだぞ」
「…はい」
そう、この世界は4人に託された。夾は内心、とても不安だった。なぜなら、この世界の人の命を預かっているのだから…。
こうして、4人は王宮へ向け出発をした。
話がぜんぜん進みませんね…。つぎは王宮へ行きますよ!!
しばらく更新が遅くなります(テストが近いため)。読んでくださる方々、ご迷惑をおかけしてすみません。