第1話 召喚
*第1話 召喚*
「ここはどこなんだ?」
少年は広い草原に立っていた。
「えっと、まず僕は何をしていたんだっけ…」
少年こと笹枝夾は、小学校5年生。夾が寄り道をして学校から帰ってきたときのこと。
「遅くなっちゃった。今日は早く帰るって言ってたんだけど…」
夾は走って帰っていた。
玄関のドアを開けた。その途端、中から光が溢れ出す。
「うわぁぁぁぁ!」
夾は光に包まれた。
「そうそう、あの光…なんだったんだろう?…ここはどこなんだ?いきなり草原って…なにこれ、あの小説にあったりする異世界っていうの?
それだったりして…」
見渡す限り草原が広がっていた。
いきなり夾の耳に轟音が聞こえた。
「バサッバサッ」
「なんだアレ?」
だんだんその物体は近づいてくる。
「あぁぁぁぁぁ!ド…ドラゴン!?」
見えたものは黒色をした竜だった。
その竜は夾の前に下りた。
竜が降りた途端、轟音が地面の砂を巻き上げる。
「すごい風だな…てか、僕の前にいるドラゴンは何なんだ!!ずいぶん大きいな」
「笹枝夾〜〜!」
どこからか夾を呼ぶ声が聞こえた。
「え?だ…誰?」
「ここだ、ココ」
声の主は竜の背中にいた。
「俺はここらへんに住む、フリュー族だ。名をセツレイという」
夾はセツレイに近づく。
「僕は笹枝夾です。あの、ここはどこなんですか?」
「あぁ、ここは4大世界の1つ竜界だ」
「りゅ…竜界?」
昔、1つだった世界は神によって4つに分けられた。その4つとは、人界、天界、魔界、竜界だった。
この世界は竜界と呼ばれ、人間が住む人界とは違い、ここはドラゴンと人間が共存していた。
「な…なるほど…って頷いてる場合じゃないけど…」
「まず、その話は長のところへ行ってからだ。こいつに乗れ」
指差されたのは黒竜だった。
「えっ!」
「早く乗れ」
「あっハイ…」
有無を言わさない迫力がセツレイにはあった。
「いくぞ」
途端に、竜は飛び上がった。
「うわぁぁ!」
フワリという感覚が夾を襲った。
轟音と共に竜はセツレイたちの長のもとへと、飛行した。
「ここだ」
そういわれた場所は、さっきの草原とはまったく違っていた。
「も、森…」
「そうだ。あの奥に村がある」
竜は少しずつ降下した。
2人は竜から降りると村へ向かって歩き始める。
「すぐそこだ」
草を掻き分けると、そこには村があった。
「綺麗な村ですね」
ボゥっとした目つきで夾は村を見つめた。
村は緑が豊かで、子供達が走り回っていた。
「あそこに長がいる。会いにいけ」
「わかりました」
長の家は村の奥にあった。
セツレイは、夾を長の家の前まで送ると、竜の世話をしに戻ってしまった。
「…失礼します。あの…」
中にはいると、長らしき人物は中央に座っていた。
「お前が選ばれし者だな?まぁ、適当に座ってくれ」
「選ばれし者?」
夾は座ると長に尋ねた。
「あぁ。そこから説明をしなければならないな。セツレイからどこまで聞いた?」
「えっと、この世界が竜界っていうことだけです」
「そうか。まず、結論から言う。お前は、私に人界から召喚された選ばれし者だ。お前は旅をして、この世界を蝕む魔物を倒してくれ」
夾の聞いた話をまとめると、こういう話だった。
この世界に少し前から魔物が現れ始めた。魔物は竜たちを操って、この世界を乗っ取ろうと考えているらしい。
しかし、魔物はいくら倒しても減る気配が無い。魔物を倒し、この世界を救ってもらうために、伝説の選ばれし者を呼んだのだという。
「はぁ…その選ばれし者は僕なんですか。他に選ばれし者は?」
「いるぞ。後3人な。明日紹介しよう」
「わかりました」
夾は、村の人たちに準備してもらった寝床で寝ることになった。
「選ばれし者か…なんで僕が…」
「仲間もいるのか。世界を救うなんて僕なんかできないよ…あれ?そういえば、服装が変わってる?」
よく見ると、夾は学校帰りの服装から剣のついた軽装に変わっていた。首にはネックレスだと思われる物が付いていた。
「明日、また頑張ろう…」
夾は睡魔が襲ってきて、眠りに付いた。
1話 END
話が長ったらしくなってしまいました。会話文で結構話が進んでしまっているような気がします…。次話も頑張ります!