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あはん♪うふん♪

「セリカが戦うところ初めて見たけど凄いのね~。っていうかちょっとひいたんだけど…遅延呪文なんていつの間に仕込んでいたのよ」

「仕込む時間なんて町にいた時からいくらでもあったじゃないですか。それよりこの人達を縛るの手伝ってくださいよ~」


それは、まさに一瞬の出来事であった。賊達がセリカに飛びかかろうとするやいなや、セリカの目前に魔法陣が現れ稲光が鞭の様にしなり、5人の賊を執拗に襲いかかったのだ。電気の鞭にしばかれる度に感電して悲鳴をあげる賊達に対して笑顔を絶やさないセリカ。アンナはおろか馬車に繋がれている馬ですらこの光景に目を背けたのは言うまでも無い。数分と経たずに賊達は気絶をし、何処から取り出したのかセリカは縄で賊を縛り上げ始めたのだ。


「これでよしっと。セリカ~全員縛り終えたわよ~」

「ご苦労様です!時間もありますし、このまま村に向かって冒険者ギルドだか駐屯兵にでも引き渡してしまいましょう!手間賃くらいはくれるでしょうからね♪」

最後の1人も乱暴に荷台の隅に詰め込むと、再び馬車を発進させた。





「しけてますね」

冒険者ギルドに賊を引き渡して受け取った銅貨5枚を見つめて吐き捨てるように言ってから、それでも大事そうにポーチにしまうセリカ。賊の引渡しを受け付けたギルド職員も申し訳無さそうにしている。

「連行していただいた男達の1人でも賞金がかかっていれば金銭的な報酬も上がるんですが……ただ、賊の逮捕協力で得られる評価は通常の依頼より大きいのでランクを上げたい冒険者の皆さんは率先して賊を捕まえてくれるんですよ!今回の件でセリカさんとアンナさんの評価もしっかりと・・・」

「冒険者のランクを上げることに興味は無いですね♪」

「セリカ程じゃないけど私も本職じゃないし興味ないわね」

「そ、そうですか」

「あ、評価の分を換金できたりします?」

「セリカってば、がめついわね~。いくらなんでもそれは無理でしょ」

たまたま手が空いていたのが自分だけとはいえ何でこの2人の対応をしてしまったんだろうとギルド職員が苦笑いを浮かべていると、セリカとアンナの背後から一人の女性が近づいてきた。


「賑やかねぇん。おふたりさん」

2人が振り返ると一般的な冒険者が使うような革鎧を身に纏っているにも関わらず、色香を醸し出す女性が笑みを浮かべていた。

「おや、あなたはダンスコンテストで優勝していた・・・」

「サヴィーヌ…」

「はぁい、アンナ♪それと、そちらの方はセリカねん?あなたの売っていた化粧水をファンの方からプレゼントされたのだけれど、とってもいい感じよん!」

「それはありがとうございます♪良かったら追加購入なんていかがです?」

突然現れたライバルに対し、目の奥で闘志を燃やすアンナ。一方で、突然現れたお客さんに対し、目の奥を金色に光らせるセリカ。2人の反応の違いを可笑しそうにクスクス笑うサヴィーヌ。

「今のところは平気よん。いっぱい貰ったからねん」

「そうでしたか。ご入用になったらいつでもおっしゃってくださいね!」

「それよりサヴィーヌは、こんなところで何をしているの?」

「冒険者ギルドに来ているのだから目的なんて決まってるでしょん?と言っても今回は依頼を受けに来たんじゃなくて情報収集に来たんだけど…この人知っているかしらん?」

サヴィーヌが取り出したのは一枚の手配書。

「手配書?サヴィーヌ、あなたって賞金稼ぎもやっているの?」

流れのダンサーが自衛の為や旅費を稼ぐ為に冒険者を兼任していることは珍しい事ではない。しかし、その場合は専ら低級の魔物を相手にすることが多く賞金首を狙うなんてことはしない。その事を不自然に思ったアンナがサヴィーヌに疑問をぶつける。

「ん~ちょっと訳ありなのよねぇ~この人を捕らえることが依頼?みたいな感じなのよん。こう見えて私Bランクだしねん♪それで、2人はこのサトウっていう男を知っているかしらん?」

「私は見たことないけど…黒髪なんて珍しいから会ったら覚えているはずだしね。セリカは?」

「そうですね~………無いですね!」

険しい顔で手配書を見つめていたセリカも見たことないと断言する。

「この人、ルーマンの教会で事を起こしたんですよね?それでしたら、こんなところにいないで、今頃別の国に行っていると思いますよ?」

「う~ん、それもそうよねん。中々足取りが掴めなくて困っちゃうわよねぇん・・・」

色っぽくため息を吐くサヴィーヌにアンナがはっと気づいたように指を差す。

「それよりサヴィーヌ、思わず流しちゃったけどあなたBランクなの!?ダンサーが本職でしょ!?」

「あらん?古来より武術の奥義を伝承するために踊りの中に密かに隠していたとされる話しもあるし、踊りに乗じて暗殺…なんていうのもあったのよん?踊りを極めることは武術の――・・・」


受付前でわいわいとしている3人の前で、すっかり蚊帳の外にされていたギルド職員は、早く帰ってくれと頬を引きつらせていた。


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