2章 力
ご無沙汰しております。ようやく私生活が落ち着きを取り戻しました。と言っても変わらず不定期になりそうですが。。。
ルーマンの町を逃げるように飛び出してから丸1日。スライムの群生地を突っ切ってきたおかげで時間はかかったものの特に危険と接触することも無く、道中スライムを刈りながら歩き続けてどうにかこうにか村にたどり着いたソルトは、食堂でのまともな食事に軽く涙を流した後(周りの人に若干引かれた)、小さな宿に入った。
「人の整備した道じゃなかったから、村に着くのにちょっと時間かかったけど剣の扱い方も分かってきたな」
荷物を置いてからベッドに横になるとバッグに入れっぱなしだったスマートフォンをなんとなく手にするが、すぐに違和感に気づいた。
「なんだこれ……」
見慣れたはずのスマートフォンは、いつの間にか液晶画面の付いたカードホルダーのようなものになっており、中には絵柄の無いタロットカードのようなものが入っていた。
「…ショルダーバッグが、マジックバッグになったみたいにこいつも変化したって事か?…ん~?『ミラージュカード』?」
液晶画面に触れてみると画面にミラージュカードという名前が浮かび上がり、いくつかの項目が選択できるようになった。何がなんだか分からずにいたソルトは、項目の中に「ヘルプ」の文字があるのを見つけると迷わずタップした。
――
ミラージュカード。それはあなたと共に成長する、あなただけの力。
あなたが屈服させた力をカードに写し出し、使役することができる力。
使役する力が大きければ大きいほど、使う魔力も大きくなる力。
――
「え、これだけ?」
何度確認してもたったの3行で終わってしまうヘルプを見て思わずため息が出る。他に何かないかと項目を見直すと「所有カード」という文字を見つけたのでタップしてみると液晶画面が切り替わる。
――
所持枚数
100/100
種別
スライム×100
――
ここまでで何となくだが、この力を理解し始めたソルトは「デッキ編成」をタップしてスライムを選択する。
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デッキ枚数
30/30
種別
スライム×30
――
「ま、モノは試しだな」
画面に表れた「決定」をタップするとホルダー内のカードが光り、絵柄の無かったカードにスライムの絵が浮かび上がった。
「1、2、3、、、きっちり30枚だな。全部スライムの絵だけど。で、どうやって使うかだけど・・・」
しばらく見つめた後、思いつきで投げてみるとカードは回転しながら地面に落ち、光と共にカードからスライムが現れた。
「おぉ……なんか昔見た漫画みたいだな」
ぷるぷると震えているスライムを見てソルトは変わり果てたスマートフォンを見つめた。
「…これ、中の連絡先やら写真とかは消えちゃったのかな……」
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「ここか」
翌朝、朝食を済ませた後、村の小さな冒険者ギルドに立ち寄って依頼を1つ引き受けてきたソルトは森の中の洞窟の前にいた。
「討伐対象は洞窟に住み着いてしまった夜行性の魔物、ウルフ6体。夜な夜な家畜が襲われて困っていると…お金が寂しくなっていたことと、ミラージュカードの扱い方を学ぶため…いざ行かん!!」
スライム以外の魔物を相手にすることが初めてのせいか少し弱気になりかけている自分を鼓舞してからホルダーに手をかける。
「秘儀…スライム大行進!」
一度に使えるカード上限は、デッキ上限でもある30枚。その分魔力とかいうやつも多く減るらしいが魔法を使えないソルトにはあまり関係ない。その全てのカードをばら撒き、スライムを30体呼び出すと洞窟に向けて30体のスライムと共に進んでいく。
洞窟は思ったより奥行きが無く、すぐにウルフの群れを見つけることができた。家畜を食して満腹になっているのだろうかスヤスヤと寝息を立てているのを好機として一気に攻め立てる。異変に気づいたウルフはすぐに目を覚まし臨戦態勢をとるが、大量のスライムを目にして面食らったのか隙が大きくソルトの剣技でも十分に相手にすることができた。カードで呼び出したスライムは、基本的にはソルトの指示を聞くようだがある程度の自立意識を持ち合わせているらしく、攻撃を指示していたにもかかわらず、何度かソルトに飛び掛ってきたウルフの前に守るようにして飛び出るスライムもいた。ウルフの数よりも早いスピードで減っていくスライム達。時間にしては5分もかからなかったが最後に立っていたのはソルトとスライム7匹であった。
「は~~…怖かったぁ……お前らもありがとな。戻って良いぞ」
足の力が抜けるようにその場に座り込んでから、嬉しそうにピョンピョン跳ねる7匹のスライムをカードに戻す。
「ふむ…やっぱりそうか」
戻ってきたカードは絵柄が半分消えているものや、8割も消えてしまっているものもあったがこれは昨夜宿で試したとおりだった。どうやらカードで呼び出した魔物は時間経過で絵柄をなくし、ダメージを受けてもダメージ量に合わせて絵柄をなくすらしい。絵柄が残っていればホルダーに戻してしばらくすれば元通りになるが、絵柄が消えてしまうと呼び出した魔物も消滅しカードも無地のものになってしまう。
「もっとも、100枚しかカードは所持できないらしいからその辺の調整は必要みたいだけど」
ホルダーの液晶画面には新たに登録されたカードが映し出されていた。
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所持枚数
83/100
種別
スライム×77
ウルフ×6
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