表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/63

不親切なチュートリアル

「なに?勇者を見失った!?」

「そうなのよん…急に光に包まれたかと思えば気配もなく…転移魔法の類だと思うけど」

「転移魔法か…まぁいいでしょう。策ならいくらでも…ふふふっ」




「…ここはどこだ?」

地下迷宮をひたすら走って息が切れる頃、急に身体を光が包み込んだと思ったら広い草原に立っていた。どうしたもんかと辺りを見渡していると白い人影が現れ声をかけてきた。


「こんにちは勇者サトウ」

「……」

「そう身構えなくてもいいよ。ここは僕の作った空間、僕の呼んだ者しか入れないから彼らが追ってくる事も無いしね。っと、自己紹介がまだだったね。僕はホープ、最後に残った希望さ」

少年のような声で語りかけてくる白い人影をケイは変わらずに距離を取り警戒を怠らない。

「言っている意味がよく分からないんですけど」

「それもそうだ。じゃあ分かりやすく説明しよう」


ホープが言うには「世界」というのは星の数ほど存在し、それが互いに干渉できないように「扉」が固く閉ざされているらしい。だが遠い昔に無理やり「扉」を開けた者がおり、その所為で元々この世界に存在しなかった魔物や魔獣が流れ込んできてしまった。その時に一緒に「扉」を潜ってきた異界の青年、つまりおとぎ話の勇者が何とか「扉」を閉ざし束の間の平穏を取り戻したという。


「…まぁ魔物達はこの世界で生態系を築いてしまい完全には元通りにはならなかったし僕もその時のいざこざで力の大半を失ってしまったんだけどね」

「…おとぎ話の説明は分かりました。それで?」

「あの男がどういうわけか君を召喚しようとして「扉」の鍵が外れてしまった…といえば分かるかい?今はまだ完全に開いていないから大丈夫だけれど、いずれ世界は混沌に包まれる…君にはその「扉」を閉めなおしてほしいんだ」


ふざけた話だ。無理やり連れられた挙句その所為で起こった事をなんとかしろなんて…


「…あなたが自分で閉めればいいのでは?もちろん俺も元の世界に戻した上で」

「言ったろ?力の大半を失ったって。今の僕にできる事はこの空間を作る事とこれ以上「扉」が開かないようにする時間稼ぎだけだよ。それにこのままだと君の世界も危ないっていうのはなんとなく分かるだろ?「扉」が開ききってしまえば世界は繋がってしまう…絵の合わないバラバラのジグソーパズルを無理矢理一枚にしようとすることなんだ」

「…なぜ俺なんです?ただの学生ですよ?」

「僕が干渉…ていうか話す事ができるのがこの世界の住人ではない君だけだからね。ちなみにこうしている間にも僕の力は弱まっていて、もうじきこの空間も消えてしまうんだけど」

「ずいぶんと身勝手な…」


面倒ごとに巻き込まれたとため息をついていると空間にビシッと亀裂が入り始める。どうやら本当に時間が無いようだ。


「…これから僕は力を温存するために眠りに入る。必要最低限の知識は君に与えておくからこの世界を頼むよ」

「あ、おい!まだやるとはっ」


突如として地面が割れ浮遊感に包まれる


「おわっ!あぁぁぁぁぁぁ・・・」

「もちろんお礼もするつもりだから安心してね」





町の人通りのない裏道に突如として光が現れケイが転がり出る。

「いってぇ……あいつ乱暴だな」


辺りを見渡すと目の前に文庫本が置いてある。

「『世界のガイドブック』…知識ってこれか?」

ぱらぱらとページを捲るとこの世界の常識や国の地図なんかがざっくりと載っていた。

どうやら今いる国は聖アテナイ国とかいうところの首都らしい。

とにかく状況を把握しようと歩んでいき、屋台が立ち並ぶ表通りに行き着いたところであることに気づいた。



「俺、無一文だ…」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ