商人ギルドに登録です!
お待たせいたしました。第5話となります。拙い文章ですが読んでいただけるとありがたいです。
「商人ギルドへようこそ!商人のご登録ですか?」
「はい、お願いします」
商人ギルドへ着いたセリカは、受付でどこかで聞いたようなやり取りをしていた。
「ではこちらの書類に必要事項をお書きいただいて………はい、セリカ様ですね」
「…本当にどこかで聞いたようなやり取りですね」
「はい?」
「いえ、こちらの話です。続けてください♪」
「はぁ…えっと、セリカ様はどのような形態での商いを考えていらっしゃいますか?」
「お店を持つのも悪くないですけど、色々なところを旅したいと思っていますので『行商人』での商いを考えています」
「『行商人』ですね、かしこまりました!」
受付嬢はスラスラと書類に羽ペンを走らせる。書類の紙も羽ペンもなかなか高品質なものだ。さすがは商人ギルドと言った所だろうか。
「お待たせいたしました。それでは登録料及び年会費として銀貨5枚のお支払いをお願いいたします!……はい、確かに銀貨5枚頂戴いたしました。こちらが『行商人』のカードとなります。注意事項としては……」
受付嬢の懇切丁寧な説明によると、
・商人ギルドは国を超えた組織。
・商売形態により登録金、年会費、税金が違う。
・年会費と税金は入会日から1年以内に支払わなければいけない。年会費や税金が未払いの場合はギルドから除名される。
・徴収された税金は商業ギルドが責任をもって各国に納める。
・ギルドカードを紛失した場合、再発行の手数料は商売形態によって異なる。
・違法な商取引をした場合はギルドから除名処分となる場合がある。
と言ったような感じであった。これらも冒険者ギルドの時と同様に既に知っていた事であったので軽く聞き流す。
「…説明は以上になります。何かご不明点などはございますか?」
「あ、そういえば先ほど商人ギルドに登録する前に取引があったのですが、その分の税金はどうなるのでしょうか?」
この世界では、別に商人ギルドに登録しなくても商いはできる。ただ一回の取引につき国に直接税金を払わないといけないのだ。しかしギルドに登録していると、取引数に関わらず月に1回、商人ギルドに商売形態に応じた税金を払えば良いのだ。
「その場合につきましては申し訳ありませんが、税金が発生いたしますね……」
「あらぁ…そこを何とかなりませんかね?」
「税金の未払いは最悪逮捕されてしまいますよ?」
「いくら払えばいいんでしたっけ?」
税金として銀貨1枚払い商人ギルドを出ると、受付嬢に聞いたおすすめの宿屋へ向かう。空はもう既に赤く染まってきている。町の人達も帰路に着いたり酒屋に入ったりとしている。昼とは違った活気があるのも大きな町の魅力の1つだ。どことなくおいしそうな匂いも流れていて…
キュルルルル……
セリカのお腹が鳴った。
そういえばお昼ご飯を食べ損なっていました。折角ですからどこかで食べていきましょう!
「きゃっ!!」
お店を見て回ろうとした矢先、突然後ろから走ってきた男の子にぶつかられて思わずふらついた。
人にぶつかったのなら謝るのが常識です。いったいどんな教育されてきたのでしょうね。
ため息をつきながらも、ぶつかられた腰に手をやるとお金の入ったポーチがなくなっていることに気づいた。
……本当に、親の顔が見てみたいですね。
セリカは町を走り出した。